複雑・ファジー小説

Re: ANIMA-勇者伝-【10/22更新】 ( No.387 )
日時: 2014/10/23 22:14
名前: 愛深覚羅 ◆KQWBKjlV6o (ID: /z9KW9Ro)



 その日、もう一度カントスの家に泊まる事になったグライト達は漁師等からたんまりもらった魚をありったけ食べると疲れたのか、すぐ自室へと戻った。ユーノが一人部屋、グライトとリュウが同室だ。

 深夜、碧く光る美しい三日月を見てあのネックレスを思い出していたグライトは、ふと黒い影が窓をよぎるのがわかった。
もしかして、そう思いベッドから這い上がったグライトは窓辺から顔を出し、外の黒を見る。

「やっぱりリーブルだ。どうしたの、珍しい。あ、そうだ聞いて! 秘宝がもう六個も集まったんだよ! この調子だと最後の一個を見つけるのも苦労しないかもしれない」

興奮気味にそう語りかけるグライトに、リーブルは「にゃあ」と一言鳴いただけだ。引き揚げろとでも言うのだろう。どうもこの家の窓は上らへんについている、そのうえ分厚い。猫の力じゃ到底開かなかったのだろう。
グライトはリーブルの言うとおりそっと抱きあげると中へと入れる。リーブルはさっそくグライトのベッドの真ん中へと寝ころんだ。

「まったく……で、どうしたの?」
「にゃあ」

リーブルは察しろとでも言いたげに鳴き声を上げた。だがグライトはわからず首を傾げるばかりだ。
リーブルはそんなグライトの様子に呆れたように欠伸をした。そしてどこからか取り出した一枚の紙を咥えて渡す。

「手紙?」

グライトは恐る恐るその紙を開いた。なんだか見てはならない様な物の気がしたからだ。そんな気持ちとは裏腹に、あっさり開いてしまった紙を見てグライトは戸惑った。

「なに、これ……」

そこに印されていたのは文字では無く、どこかの空を映した写真。だが、空と言っても透き通るような青では無く、どす黒い黒だ。その黒い空を見た瞬間、思い浮かんだ言葉は「黒雲」。黒雲に覆われた大地は酷く枯れて見えた。見覚えのある神木までもが映っていて、これが本物だとしたのならばここはきっと……。

グライトは先ほどまでの浮かれた気持ちが一転、暗黒へと突き放たれたような気分になった。