複雑・ファジー小説

Re: ANIMA-勇者伝-【10/23更新】 ( No.388 )
日時: 2014/10/27 22:26
名前: 愛深覚羅 ◆KQWBKjlV6o (ID: L43yfzZ2)

第四十八話 全ての元凶がそこに

 朝、げっそりとした顔で飛び起きたグライトは慌ててリュウを起こし、カントスの元に行った。
昨日リーブルが持ってきた写真を見せると、カントスとリュウは顔を蒼白にして慌てだす。その物音を聞いて降りてきたユーノは何事かと目を丸くしていたが、事情を把握し、すぐさまこの家を発つ準備を始めた。

カントスのおかげで漁師の船に乗せてもらい、グライト達は最後の秘宝の元へと走る。最後の秘宝の場所、それはクシア大陸だ。
クシア大陸にはグレイト王国があり、そこから全てが始まった。
敵陣に乗り込む気構えでグライト達は気持ちばかりが焦る。漁師の人達がいなければきっと途中、無駄に足を食っていただろう。
クシア大陸までたどり着くには半日はかかるが、漁師の人達のおかげで朝のうちにつきそうだ。感謝の言葉を述べるがどうにも軽く感じたグライト達は、お礼として漁師の手伝いを申し出た。漁師は忙しい、足を引っ張らない様に、船がすんなりクシア大陸まで着く様に、全力でグライト達は手伝った。そうして気を紛らわしていると冷静になってくる。

これからどうしよう? もし黒雲が全てを覆ってしまったら? その時はどうすれば……?

手伝いを一つ終えるたび、グライトはそんな考えがよぎるばかりだ。
この先グレイト王国で何が起こらないと言うわけでもない。クシア大陸は全ての大陸を斬っての先進国だ。きっとなれない事も多いだろう。その中心がグレイト王国である。
グレイト王国はかの有名なアンブラーの本拠地、うかつに足を踏み込めばグライトの持っている秘宝の魔力を感じ取り、奪いに来るだろう。何故なら秘宝は影ノ皇にとって鍵となるものだから。

あぁどうしよう……。

そんなグライトの思考を止める様にリュウが声をかける。心配そうな顔で覗きこむリュウにグライトは返事を返すだけで精一杯だった。

「もうすぐつくぞ、グライト」
「そうだね。急がなきゃ」
「……グライト、何があっても無茶だけはするんじゃねぇぞ」
「わかってるさ」

ムッとして返したグライトだが、その時になればどう行動するかなんて自分でもわからない。もとより冷静さにかける所があるのは自分で自覚気味だ。
その時、漁師の人達が声をあげる。どうやらついたらしい。覚悟を決めてグライト達は階段へと歩いた。