複雑・ファジー小説

Re: ANIMA-勇者伝-【オリキャラ募集中】 ( No.40 )
日時: 2014/01/30 17:27
名前: 愛深覚羅 ◆KQWBKjlV6o (ID: u/Zf4dZT)



 マーティンのおかげでかなりスムーズに進んだ洞窟。今三人は大きな扉の前に立っていた。その扉は気で出来ていて、あちらこちらに蔦が張り巡らされている。いかにも古風な感じだ。
木の中にこんな大きな扉がどうやって入っているのか、グライトは気になったがミキやマーティンを見る限りそれは普通らしく、グライトはうんうんと納得していた。
マーティンは遠慮なくその扉の取手に手をかける。簡単に開いた木の扉はギギーといかにもな音を鳴らしながら開いた。

グライトはそこで息を飲む。

扉の向こう側にグライトが追いかけてきた黒い猫、リーブルが大人しく座っていたからだ。どうやって此処までたどり着いたのか、気になり駆け寄る。

「リーブル! どこにいたんだよ」

リーブルを抱き上げると、リーブルは体の下に何かを隠していたのか手を伸ばす。リーブルの視線の先には折れた木刀の先があった。短いそれは懐に入るぐらい。何故こんな物を大切にしていたのだろうか? グライトはこの猫の考えている事が読めない。
とりあえずそれも拾い上げ、懐に直してしっかりとリーブルを抱いた。
ミキがその隣で興味深そうにリーブルを眺めている。リーブルはミキを見ながら興味なさげに視線を動かした。

「ふぅん、これがグライト君の言っていた黒い猫ですか? 特に変わった様子はない、普通の猫ですね……」
「だから言ったでしょ? 導きの者なんて大したもんじゃないよって」
「……そうですね、でもまだ可能性は残っています」
「そうかなぁ」

グライトは相変わらずこの猫を普通の猫と思っているみたいだ。
 マーティンはそんな二人を差し置き、先に進む。この部屋の中心へマーティンが立つとそれを囲むよう大きな魔法陣が現れた。魔法陣はマーティンの周りをグルグルと回り、円柱状の何かを呼びだした。
それを見ながらグライトは興味深そうに近づく。ミキは少し警戒しているようだった。

「何かの能力? 神様だから、なんか特別な事でもしたの?」
「いや、これはこのダンジョンの仕掛けだ。この丸い穴、これに俺の持っている石を嵌めこめばこの先に続く扉が開く。そこに守護神アメリアがいるんだ」

そう言ってマーティンは、手に持っていたよくわからない幾何学の模様が描かれた石を嵌めこむ。石はピッタリはまり、輝きを燈した。それと同時に奥の石の扉が開く。

まばゆい光に包まれて、グライトとミキは目を瞑った。

次に目を開けると——美しい女性が水面に座って待っていた。