複雑・ファジー小説

Re: ANIMA-勇者伝-【11/6更新】 ( No.403 )
日時: 2014/11/06 18:52
名前: 愛深覚羅 ◆KQWBKjlV6o (ID: rdOgUgjF)



 しばらく歩いていると疲れてきたので、広場へ向かう。広場には沢山の食べ物にあふれているらしく、食べ歩きでもしながら今後を考えようと話した。
広場は丁度国の中央にある。その真ん中に影ノ皇の仰々しい銅像が厳めしい顔をして飾られていた。その銅像の傍を通るたびに銅像に向かって様々な人が礼をしている。グライト達も習って頭を下げた。
ふと広場の向こう側から何か声が聞こえてくる。盛り上がっているらしい。グライト達もそちらへ足を運んだ。

「我らが影ノ皇はもうすぐ誕生する! 祝え! 宴だ! 宴だ!」

盛り上がっている中心で何やら演説をしていたのは女性だった。女性は修道女のような格好に大きな黒い羽、よく見ると何処かで見たような気がするのは気のせいだろうか。
修道女はそのまま乱暴に酒を担ぎ、まき散らした。さらに盛り上がる会場。客はほぼ半狂乱で楽しんでいる。
修道女にあるまじき行為、言動。グライト達はポカンとそれを眺めていた。そんなグライト達に気付いた一人の客が訝しげな顔で話しかけてきた。

「ん? 何だお前等、楽しめと言っただろう? 影ノ皇が再びこの地をおさめるのだ。嬉しくないのか?」

疑うような声色に、周りの客達もざわめき立つ。グライト達は突然の視線に驚き、何と言っていいものか迷う。
そんな三人の前にズカズカと現れた男は言った。酔っ払っているらしい。グライト達の胸倉を乱暴に掴むとまくしたてる。

「反逆者だろう! お前達、そのフードをとってみろ! この国の者ならば笑みをたたえ我らの輪に加わる事だろう」

その男の意見に同調した周りがそうだ、そうだと捲し立てる。さて困った。この危機をどう乗り越えるべきか。
そう思っていた時、客を割って二人の人が現れた。男と女、女の方は先ほど真ん中で演説をしていた修道女だ。隣に立っている男にこっぴどく怒られたのか、ムスッとした顔でグライト達を睨んでいる。
男は黒い帽子をかぶってコートを着ていた。背中には修道女と同じような黒い大きな羽がある。

「おいおい落ち着け。この者達は私が引き取ってやろう。お前達、私に続きなさい」

男はそう言ってグライト達の腕を引っ張った。野次馬は始め文句を言っていたが、国王ではないかと言うその言葉がたちまち広がり、集まっていた者たちはそそくさとその場を散って行った。
国王、そう聞いた三人は始め当惑していたが、国王と言う言葉を信じ、ついて行く事にした。