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複雑・ファジー小説
- Re: ANIMA-勇者伝-【11/24更新】 ( No.412 )
- 日時: 2014/12/13 14:31
- 名前: 愛深覚羅 ◆KQWBKjlV6o (ID: QBvEkUjp)
第五十四話 境界線にある真実
四角い世界だった。何故かそう分かった。
目は明いているはずなのに視界は真っ暗で何も見えない。自分が立っているのか座っているのか、生きているのか死んでいるのか、わからなかった。
ただぼーっと黒を眺めている。
心配事があったはずなのに、脳みそはまだ覚醒してはくれない。早くしなければならないはずなのに体は石のように動かない。
しばらくすると目の前に光るものが現れた。強い光で始め認識できなかったそれは、どうやら扉らしい。大きな扉だ。金色の淵にステンドグラスがはめ込まれている。ただ、ドアノブは無かった。もしかしたら窓かもしれない。だが、それは扉だと頭の中で強く思った。
扉はグライトの目の前で浮いている。気付けば足元に黒い猫がちょこんと座っていた。リーブルだ。
リーブルは前足でその扉をつついた。すると扉はそれに反応し、光を放ちながら解かれた。そしてグライトにどんどん近づいてくる。グライトはその場から一歩も動かずにして扉を潜った。リーブルも勿論扉の向こう側に居る。
グライトを呑みこんだ扉はまた塞がれた。残ったのは黒い闇だけだった。
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