複雑・ファジー小説
- Re: ANIMA-勇者伝-【オリキャラ募集中】 ( No.46 )
- 日時: 2014/01/31 21:19
- 名前: 愛深覚羅 ◆KQWBKjlV6o (ID: u/Zf4dZT)
第四話 出発の朝
グライト達三人は地上に出た。どうやら一日たったらしく、朝日が昇っている。そんな中、再び自分の住んでいた村であるフィユ村をグライトは見た。相変わらず半分だけ真っ暗な闇に覆われている。一体何のためにこんな事を……そう思い一瞬難しい顔になったグライト。
そんなグライトにマーティンは尋ねる。
「これからどうする気だ?」
その質問にグライトはマヌケな顔で頭にハテナを浮かべた。
「アメリアはああ言っていたが、お前がどうしたいかまだ聞いていない。本当に探すのか? 伝説の七つの秘宝を……」
心配そうな視線にマーティンの優しさが垣間見えた気がする。
グライトは顎に手をやりのんびり考え始めた。そして答えを出したのか、マーティンに向き直る。
「あの綺麗な人のために頑張ってみようかなぁ」
呑気な答えと共に、へへっと笑うグライト。きっとアメリアの姿を思いだしているのだろう。浮ついた考えを簡単に見透かしたマーティンは「はぁ〜」と長い一息を漏らす。
「あのなぁ……」
そう言いかけて口を噤んだ。本人がそれで良いと言っているのならやらしてみるのもいいかもしれない、そんな考えがふと浮かんだからだ。それはけして悪いことではないし、それにグライトにはもう住む場所もない。と言う事は帰る場所が無いと言う事だ。
そこまで考えてマーティンは隣で先ほどから黙っていたミキを見た。
「お前、次何処行くんだ?」
唐突に質問を変えたマーティンに隣で黙っていたミキは訝しげな視線を送る。
「まだ決めていませんが……此処から近いリーフ大陸にでもまた行こうかと思っております。あそこは何度行っても楽しいですから」
そう言ったミキにマーティンは嬉しそうな顔で言った。
「ならグライトもつれてってやれ。きっといい経験が出来る。そうだ、そこへ行くんなら途中にある桜花和国に寄ってみるといい。あそこの長、サクヤ・セリフィアムにも話しをつけといてやるから、何かいい情報でももらえるんじゃないのか?」
な、と力強く言うマーティン。ミキは特に断る理由もなかったので同行することに決める。それに一度述べたように桜花和国の長には会ってみたかった事もある。
そんな中、二人の会話をグライトはそうそうに聞き流してリーブルと遊んでいたみたいだ。ミキは呆れて先に歩きだす。
マーティンはグライトを立ちあがらせた、そして簡単に説明を済ませる。大人しく聞いていたグライトはマイペースにミキの背中を見ながら、マーティンに質問を投げかけた。
「マーティンさんは行かないの?」
「俺はこの大陸を守らなきゃならない。それにあそこ、お前の村に魔防壁を張ったのも俺だ。そんな遠くに行っちまったら魔防壁が弱まって進行が進んでしまう。今もああやって止まってるように見えるけどな、ちょっとずつ進んでるんだ。流石に俺でもあの雲を止めるのは精一杯って事だ」
少し肩を落としてほほ笑むマーティンが、その時は神ではなく人に見えたグライト。「ふぅん」と言ってミキの傍までグライトは歩いて行った。ミキは既に始まりの樹からかなり遠い所に居る、追いつくには少し走らなければならない。
「じゃあ行ってくるね、マーティンさん。元気でね!」
元気よく手を振って走るグライト、その隣にリーブルも走っている。
少し心配だったが、送りだしたマーティン。そこでグライトの隣のリーブルを見てふと何か思い出したようだが、それは告げなかった。確証がなかったからだ。
そのままマーティンは姿をくらます。それを振り返ってたまたま見てしまったグライトは「あぁ、やっぱり神様なんだ」と何となく呟いていた。