複雑・ファジー小説

Re: ANIMA-勇者伝-【オリキャラ募集中】 ( No.66 )
日時: 2014/02/04 21:18
名前: 愛深覚羅 ◆KQWBKjlV6o (ID: u/Zf4dZT)



 「サクヤ・セリフィアム」と言うのはこの桜花和国を統べる女性だ。
華狼の血を濃く継いだ彼女は、幼少期から噂になるぐらい強かった。大きくなった今も性格も気丈で、この国で支持が高く、ほとんどの華狼が彼女について行っている。
サクヤは愛国心が強く、仲間を守るため王という枠にとらわれず、いつも最前線に赴き的確な指示を与える。今や国外でこの統率のとれた狼の群れに、戦場で敵う者はいないと言われていた。

 そんな女王の元にグライトとミキ、そしてクウゴがやってきた。サクヤは事前に連絡は来ていると言い、屋敷の中へ案内してくれる。
サクヤの屋敷は和装で、屋根は今時珍しい瓦だ。中へ入ると広い石畳の庭が広がっており、家に上がると沢山の襖が並んでいた。
瓦も襖も初めてみたと言うグライトに、ミキは大人しく話を聞くよう言いつける。

客間まで来てみるとすでにサクヤはそこに座っていた。

「はるばる我が国まで御足労感謝する。私はサクヤ・セリフィアム……この国の長をしている」

そう軽く自己紹介するサクヤにグライト達三人もつられてかしこまる。
サクヤは毅然としたピンク色の瞳をグライト達三人に向ける。その鋭い瞳はグライト達を敵か味方か吟味しているのだろう。
少し挿し触りない話しをして、グライト達に敵意や悪意が無いと感じ取ったのか、安心したように薄く笑う。あまり争いごとを好まない性格らしい。

サクヤは体を反転させて客間から個人の間へ招き入れた。反転させた体に反応し、その藍色のショートの髪が揺れた。
桜の匂いがする、グライトは瞬時にそう感じ取り笑みをこぼす。どうやら桜の匂いと言うのはほっとさせる何かがあるみたいだ。
サクヤは襖をあけて廊下に立つ。

「こっちへ参れぬか? マーティンからの伝達では、あなた方に何か有益な情報を与えてやってくれと言う話しだ。私の持っている情報と言えば現在、このソレイユで起きている戦争状況ぐらいだから……それでいいなら多少は教えよう」

そう言って足を進めるサクヤ。遅れを取らないようミキとクウゴも続く。

「グライト君、早く来ないと迷子になりますよ」

ミキが後ろで突っ立っていたグライトを気遣いひっぱる。グライトは「うん」と言いながらもキョロキョロとしながら歩いている。もしかしたらと思い、あの黒猫・リーブルを探しているのだ。
そんなグライトに歩行を合わせてこそこそと話しかけてきたのはクウゴだ。ニヤニヤしながらグライトを見ている。グライトがなんだと尋ねるとクウゴは笑いながら話しだした。

「サクヤに見惚れてただろ?」
「そんなことないよ。確かに綺麗な人だけど……」

そんな事を言いに来たのかとグライトはクウゴを見上げる。クウゴは軽く笑ってそれだけじゃないと続けた。

「戦争の状況って言ってたろ? 俺もちょっと知ってるんだが、どうやら最近、国同士のささくれが激しいらしくてな……」
「それがどうかしたの?」
「俺的にはどうもきな臭くてさぁ。ライト、お前首突っ込んで生きて行ける自信あるのか?」
「どう言う事?」
「……ま、集中して聞けって言う話しだ。お前集中力なさそうだから」

そう言ってクウゴはサクヤの元へ歩調を速めた。サクヤに何か話しかけているようだ。
グライトは先ほどのクウゴの言葉が気になった。なぜわざわざクウゴは集中しろと言いに来たのだろうか? そんな事、面倒くさがり屋のクウゴがわざわざ言いにくる事自体がおかしい。
なにかある、そう感じたグライトだが、その何かがわからなかった。
そうこう普段使わない脳を巡らせていると、ミキが心配気に見てくる。

「どうかしましたか? 顔色が悪いですよ。クウゴに何か言われましたか?」

心配そうにグライトの顔を覗き込むミキ。グライトはなんでもないとごまかした。