複雑・ファジー小説

Re: ANIMA-勇者伝-【オリキャラ募集中】 ( No.74 )
日時: 2014/02/09 16:32
名前: 愛深覚羅 ◆KQWBKjlV6o (ID: u/Zf4dZT)



 屋敷の裏へ回ると、魔法陣の様な物がそこにある。そこの中心にメイルを立たせた。サクヤはそれから何か御経の様な物を唱える。その言葉に反応し、魔法陣は赤く輝いた。赤い輝きはメイルの体を包み込み、見る見るうちに大きくする。
メイルが丁度屋敷の屋根を越えるか、越えないかぐらいになった時、サクヤはグライトを抱えて飛び上がった。

「メイル、頼んだ」

サクヤが短くそう言い、メイルの背中を優しく叩いた。メイルはそれに反応し、一声上げる。
グライトがその高さに驚いて腰を引かしている間にメイルは風のように走り出す。
うまく小回りを利かせて道路を走るメイルに通行人は目を丸くしていた。
グライトはそのスピードに圧倒されすごいすごいとまくしたてた。サクヤはその隣で得意気な顔だ。

 しばらく走ると国の入口が見えてきた。ミキとクウゴの姿もある。グライトは「おーい!」と大きく声を上げ、手を振った。遠くからでもわかる二人の驚きの顔。
二人の目の前で停止する巨大な白い狼。二人は驚いて声も出ない様子だ。

「サクヤさん、ありがとう!」
「あぁまた話しでも聞いてくれ」

ぎゅっと手を握って握手を交わしたグライトとサクヤ。ミキとクウゴは状況が読めず唖然としていた。

「さ、サクヤさん? なんでグライト君と……?」

やっと口を開いたミキはハッとした顔でそう尋ねる。

「少し話しをしていたんだ」

サクヤはそう言って口を少し持ち上げた。グライトを地面に降ろしてサクヤは再びメイルの背中へ乗る。ミキの方を向いて尋ねた。

「次はどこに行くつもりだ?」
「リーフ大陸へ向かっているのですが、その後はまだ考えていません」
「ならライムを探してみたらどうだ? 歴史について、この世界について興味があるんなら一度会ってみるといい。ライムは色々な情報も持っている事だしな」

そう言ってサクヤはメイルに指示を出す。
ゆっくり歩きだすメイル、サクヤは「じゃあまた縁があれば」と言って再び来た道を引き返した。
グライトはそんなサクヤを見送りながら大きく手を振る。そんなグライトの横に立っていたクウゴはふはっと噴き出す。

「ライト、お前って奴は……」
「ん? なに?」
「何でもない。行こうぜ、そのライムって奴を探そうか」
「うん、リーブルも」
「じゃあ門番に手続きを済ませてきます」

三人は最後、もう一度大きな桜を振り返り、桜花和国を出た。
相変わらず国の真ん中にある桜の木は雄々しくも華麗にそこに佇んでいる。まるで三人を見送っているようだった。