複雑・ファジー小説
- Re: ANIMA-勇者伝-【オリキャラ募集中】 ( No.97 )
- 日時: 2014/02/14 20:36
- 名前: 愛深覚羅 ◆KQWBKjlV6o (ID: u/Zf4dZT)
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広場につくとそこにはミキとクウゴの姿もあった。手にはライムが掴まれている。どうやら捕まったらしい。
グライトは大きな声を上げて二人を呼んだ。振り返る二人に駆け寄り、手の中のライムを見る。
ライムは不満顔だ。
「見つかったんだ?」
そう言うグライトにしがみつくライム。重さでふらついたグライトは後ろのソラにぶつかった。「いたっ」そんな声があがる。
グライトはソラに謝り、クウゴは再びライムを引きはがした。
「さて、時間はかかりましたが……ってあれ? 黒猫さん見つかったんですね?」
ミキは仕切り直そうと声を上げたが、グライトの肩に乗っているリーブルを見て驚きの顔をする。
「そうだよ、木刀持ってきてくれたんだぁ」
そう言ってへへっと笑うグライト。ミキはリーブルの頭を少し撫でて本題を切り出す。
「とりあえず七つの秘宝とかそこら辺を教えてもらいますか? ライムさんはこのリーフ大陸が出来る時からいたのなら、ありかぐらい知っているんじゃないですか?」
ライムは先ほどの不機嫌は何処かへ行ったのか、その質問に笑顔で答えた。
「しらないよ。私はカミサマじゃないからね。でも〜ありそうな場所なら知ってるかも」
「と言うと?」
「あんね、リーフ大陸の中央に大樹があるんだけどそこの奥になんか不思議な道がありそうな予感がするんだ〜。まぁそこは私の家なんだけどね」
そう言ったライムにグライトは「へぇ〜」と声を上げた。
「となると、そこへ連れてってもらえませんか?」
「いいよ! ラータちゃん達はお友だちだから招待してあげる!」
軽くそう言ったライム。乗っているブランコが前へ後ろへと楽しそうに揺れた。
「あと僕個人の質問なんですが……あなたは歴史書を見た事がありますか?」
「れきししょ?」
「この世界の事が事細かに書かれた歴史書で……少し古めかしい茶色の皮の表紙に、達筆で歴史書ってでかでかと書かれているのですが……」
「うーん?」
「桜花和国にあった歴史書です。この間桜花和国に行った時なくなってたんですよね……あれってあなたが書いたんじゃないのですか?」
首を横に振るライム。ミキはその反応に少し肩を落とした。
「そうですか」と諦めた時、ライムはパッと何かを思い出したように顔を上げた。
「図書館にそんな本あったかもしれないわ!」
「本当ですか! 是非行ってみたいです」
「うん、じゃあ図書館寄ってから私の家に行く事にしましょ」
ライムは早速とブランコを前進させた時、黙って聞いていたクウゴが「俺も聞きたい事がある」と言った。
振り返るライム、「なぁに?」と首を傾げてクウゴの言葉を待った。
「俺が聞きたいのはドラファー帝国とパルメキア王国の戦争についてだ。サクヤに聞いたから少し知っているが……どうも疑問があってな」
そう切り出したクウゴ。顎に手をやりながら話を続ける。
「あそこは何をめぐって戦争をしているんだ? 領地なんて言うしょうもない事で桜花和国まで巻き込んであそこまで大きく戦うとは思わない。状況も聞きたいな、どっちが今優勢なんだ?」
「それは……難しい問題なんだよ」
「と言うと?」
「あそこは私みたいな子たちに何も教えてくれないの。でも状況は教えてあげれるわ! あのね、今優勢なのはドラファー帝国だよ。ゴンドラ大陸の植物たちがそう言っていたの。迷惑だとも言ってたわ」
ライムはそう言ってうーんと首を捻る。
「でも正確な情報は無いから、あんまり私の口からは言えないかも。怖いお兄さん、ごめんね」
そう言って眉根を寄せるライムにクウゴは「なら」と言葉を付け加える。
「お前はどう考える? 万物の知恵を持って考えられる道があるだろう? あと怖いは余計だ」
「うーん、私の予想ではぁ……ドラファー帝国に大きな力が手を貸していると思うの。桜花和国なんて目じゃない大きな力よ」
そう言ってライムはパンッと手を叩いた。
「でもこれは私の考え。知りたいなら実際行ってみるのがお勧めだよ。私はいつもそうしているから。じゃあ図書館に向かおうよ! ね、ラータちゃん達っ」
ブランコはその言葉と共にフワフワと動き出す。その後ろにミキとクウゴがそれぞれ難しい顔で後ろに続いた。
先ほどまでの話を聞いて、理解できないグライトとソラは遅れながら足を動かした。
「なんか色々あるんだな?」
「そうだねぇ。俺にもわかんないなぁ……どうおもう? リーブル」
チラリと肩に乗っているリーブルを見る。リーブルは「にゃぁ」と一声上げただけで後は知らんぷりだ。
その様子を眺めながらソラは呆れる。
「猫になんてわかるわけないだろ。そうだ、グライト! 図書館まで競争しようぜ!」
「えーまってよぉ!!」
二人は前を歩いていたライムやミキ、クウゴを抜かして大きな図書館まで走り出した。後ろではミキが「危ないですよ」と声を上げていたが、二人は人込みをかき分け、図書館に近づいて行った。
◆
図書館にたどり着いた。中へ入ると屋根は高く、階段が沢山通っていた。
ライムはその階段をブランコに乗りながら浮遊して目的の本がある場所へと足を運ぶ。
「ここだよ」
手に取った本を見てミキは声をあげそうになった。
「……こ、これです。ちょっと中を見ていいですか?」
受け取り、ペラペラと紙をめくる。少ししてミキは「やっぱり」と呟いた。
「栞、この栞僕が挟んだものです。……一体なぜ此処に?」
ミキはそう尋ねるが、グライト達はおろかライムでさえ「さぁ?」と首を振るばかりだ。
とりあえずミキはその本を読み進めた。そこでミキは突然声を出す。
「あれ? このページ……」
ミキは難しい顔をして指を指す。
そこには何も書かれていなかった。空白のページが存在している。次のページへ行くと無惨に破り取られていた。
なんでだろうか? 皆それぞれ疑問に思う。だが答えはもうない。此処に何が書かれていたのか? それはわからなくなっていた。
「ミキさん前見たって言ってたよね? その時何が書かれていたか覚えてないの?」
グライトが沈黙を破る様にそう尋ねる。ミキは「残念ながら」と首を振る。
再び静寂が五人を包む。
「とりあえずこれを買い取る事が出来るか図書館司書さん達に聞いてきますね」
ミキはそう言って一階へと降りて行く。
残されたグライト達は顔を見合わせ、ミキが帰ってくるのを待った。
少ししてミキが上がってきた。大丈夫だった、そう言って本を鞄に直している。
次はライムの家だ。グライト達は図書館を出た。
結局疑問が残っただけだった。