複雑・ファジー小説
- Re: 〜闇の系譜〜(外伝) ( No.171 )
- 日時: 2018/12/18 20:49
- 名前: 銀竹 ◆4K2rIREHbE (ID: qToThS8B)
- 参照: http://www.kakiko.cc/novel/novel6/index.cgi?mode=view&no=18787
サミル「皆さん、こんにちは。サミル・レーシアスです。最近、寒くなってきましたね」
ダナ「全く、老体には堪えるな。これから更に寒くなっていくと思うと、気が滅入るわい。若い頃は、寒さなんてそう気にならなかったものだが……」
サミル「本当ですね。こんな寒空の中でも、薄着で走り回っている子供たちを見ると、自分も年をとったものだと改めて思います」
ダナ「ほほほ、子供の体力っちゅうもんは、底なしじゃからのう。わしも、心だけは若いんだがなぁ」
サミル「またそんなこと言って。ダナさん、もう七十越えてるんですから、無茶しては駄目ですよ」
ダナ「何を言っとる、お前ももう立派なじじいじゃろうが。それに、闇の系譜には、じじいが多く登場しておるからの。わしが特別年寄りってこともなかろう」
サミル「まあ、それはそうかもしれませんが……」
ダナ「とは言っても、流石に、七回目の座談会にして、じじい二人が並んでいるというのは、絵面的に地味じゃな。今回のゲストには、ちゃんと若い坊が来てくれるんじゃろう?」
サミル「ええ、そう伺っていますよ。今日は、銀竹とも付き合いが長いヨモツカミさんの作品から、男の子が一人、来てくれるようです」
ダナ「ほう、そいつは楽しみじゃの。では、早く本番に入った方がよいじゃろうて。わしはさっさと退散するとしよう」
〜闇の系譜〜座談会⑦
『世界線を超えてⅢ』
サミル「それでは早速、座談会を始めていきましょうか。本日のゲストは、複ファ板で連載中の『継ぎ接ぎバーコード』から来てくれています。どうぞ、お入りください」
クラウス「こんにちはー!」
サミル「とっても元気ですね、こんにちは。はじめまして、私はサミルと言います。君の名前を教えてもらって良いですか?」
クラウス「サミル! ……さん! はじめまして、オレはクラウスって言う……言いまーす!」
サミル「クラウスくんと言うのですね。今日はよろしくお願いします。あ、無理に敬語を使わなくても大丈夫ですよ。どうぞやりやすいように、楽しんでいって下さい」
クラウス「あはは、無理してんのバレたな。目上の人には敬語使いなさいって言われてたからやってみたけど、やっぱよくわかんねーや!」
サミル「確かに敬語が使えるのも大事ですが、ここはそんなに畏まった場でもないですしね。お互い気楽にいきましょう。クラウスくんは、甘いものとかお好きですか? お菓子でもどうです?」
クラウス「えっ甘いの超好き。チョコとか! いやでも待て、知らないヒトに食べ物貰っちゃ駄目って言われてるし、サミルも食べ物で釣っちゃ駄目だぞ!」
サミル「知らない人だなんて、そんな寂しいこと言わないで下さいな。私達、たった今、知り合いになったではありませんか。それにほら、今日はクラウスくんが来ると思って、お菓子を沢山用意したんですよ。食べてあげないと可哀想だと思いませんか?」
クラウス「そっか、今知り合ったから知り合いか。確かにお菓子が可哀想だ、食べるー!」
サミル「はい、どうぞ。好きなだけ食べて大丈夫ですよ。ところでクラウスくん、昨日の夜はちゃんと眠れましたか? 目の下の隈が気になりますが……」
クラウス「昨日の夜っていうかいつも眠れてないぜ! だからこの隈はもうファッションみたいな? あいでんててー的なものなんだ!」
サミル「あ、あいでんててー? は分かりませんが、あまり寝れてないのは良くないですね。クラウスくん、まだ若いですし、沢山寝たら、身長もまだ伸びるかもしれません。温めた牛乳など飲むと、よく眠れますよ」
クラウス「ホントか!? 流石にもう伸びないと思ってたけど、温めた牛乳か……! ちゃんと寝ればトゥールよりも高くなれるかもしれないな。頑張るぜ!」
サミル「ふふ、寝る子は育つ、と言いますからね。トゥールさんというのは、お友達ですか?」
クラウス「友達というか、仲間かな? トゥールは凄いんだぜ。人間とトカゲの中間みたいな変な見た目してるけど、背高いし、強くてかっけーんだ!」
サミル「人間とトカゲの中間……獣人みたいなものでしょうか? いいですね、背が高いとかかっこいいとか、男としてはやはり憧れてしまいますよね」
クラウス「獣人? ていうか、そういう〈能力〉なんだけど。見た目はジッと見てるとキモいけど、爪がシャキンってなってて、めっちゃ強いんだぜ。まあ、別に憧れはしないけど」
サミル「そうなのですか? 私なんかは、子供の頃、そういう普通の人にはない強さ、みたいなものに憧れたりしましたけどね。私は運動音痴だったので」
クラウス「サミル運動できなかったのか。でも、運動駄目でも他ができたタイプってぽいよな。今、すごいちゃんとした人って感じだし」
サミル「大人になってからは、身長も人並みになりましたが、小さい頃は背が低くて、運動も全然できなかったんですよ。だから、『鈍臭い』と『サミル』をかけて『どんくサミル』などと呼ばれて、同年代の子供たちにからかわれていたものです。兄がなんでもそつなくこなすタイプだったので、それと比較されたりして、余計にね」
クラウス「どんくサミルウケるな! そっかー、オレ兄弟いなかったけど、いても比べられちゃうんだなあ」
サミル「まあ、兄も自分の能力を鼻にかけるような人ではなかったので、劣等感みたいなものは抱いてなかったんですけれどね。クラウスくんとそのトゥールさんは、いつ知り合ったのですか?」
クラウス「もう六年前だから、オレが十二の頃だなー。あの頃のトゥールは今よりもっと荒んでたから、なんか怖いって思ってたけど、ずっと一緒にいるうちに、あいつただの陰キャで、明るいオレのノリについてこれなかっただけだったってことに気付いたから、たまにだる絡みしてやってたけど、上手くあしらえなくて困ってんのが面白かった!」
サミル「トゥールさんは、恥ずかしがり屋で人見知りだったのですね。気の合う友人というのも良いものですが、自分とは全く正反対の人と付き合ってみるというのも、面白いものです。もう六年も一緒にいるのですから、きっとクラウスくんとトゥールさんは、これからもずっと仲良くいられますね」
クラウス「六年なあ。考えてみるともうそんなに経つんだな……。これからも一緒だといいな。うーん、やっぱサミルはオレの知ってるジジイとは言う事も違うな。ちゃんとした大人って感じ!」
サミル「クラウスくんの周りには、どんな大人がいるんですか?」
クラウス「大人っていうか……多分、年齢だけはサミルより年上なんだけど、見た目は子供で、頭も子供で、年だけ取ってるから目上に対する態度がどうとか言ってくるし、そのくせ殴りかかったら子供に手を上げるなんてサイテーとか言ってきて、都合よくジジイと子供のふりをしてくる、害悪ジジイ系主人公、ジン。あとは人が嫌がることをするのが大好きな三十路のババアとか」
サミル「それは随分と個性的な方々ですね。見た目も頭も子供なら、それはもはや子供なような気がしてしまいますが……なんと、私より年上なのですか。クラウスくんの世界には、不思議な現象が沢山あるのですね。まあでも、お話に出た二人とも、きっとクラウスくんのことが好きなのですよ。好きな相手だからこそ、突っかかってみたり、意地悪したくなってしまうものです」
クラウス「えー。アイツらに好かれてんの気持ち悪ーっ! オレのこと好きになっちゃうのはわかるけど、好きなら普通に優しくしてほしいわ」
サミル「ほら、クラウスくんも、トゥールさんに絡んでみたりしたわけでしょう? それと一緒ですよ。本当に興味がなければ、そもそも関わらないわけですから、皆さん、クラウスくんとお話してみたかったんですよ。きっと素直じゃないだけです」
クラウス「てことは皆素直じゃない奴ってことか! なんだよもー面倒くさい奴らだな! まあ、オレも含めてそうか……。サミルの周りはそういう素直じゃない面倒な奴っているか? 面倒なあいつらへの対策を考えねーとだから、参考にしたい」
サミル「そうですね……私の周りには、素直じゃないというより、単純に不器用な人が多いかもしれませんね。心の内を上手く表に出せなかったり、誰かを頼ったりするのが下手だったり。まあ、それも素直じゃないという表現に当てはまるといえば、当てはまりますけれど。
対策になるかは分かりませんが、まずはこちらが素直になって接すれば、相手も心を開いてくれると思いますよ。裏表がなくて、自分に対して好意的な相手は、なかなか突っぱねる気にならないでしょう?」
クラウス「不器用なやつか。なんか、こっちにも心当たりあるなあ。そしたら、あいつらも不器用なのかもな。だからこそ、オレが素直に……。いや、オレは十分素直にあいつらのこと嫌ってるはずだから、やっぱあいつらが変わるべきだな!」
サミル「ふふ、クラウスくんには、気心の知れたお仲間が沢山いらっしゃるようですね。言葉にしなくても、通じあっているような。色々と質問してしまったのですが、実を言うと、クラウスくんとトゥールさん、そしてジンくんの三人が、仲良しだということは、銀竹から聞いていたのですよ」
クラウス「あっ、出たなぎんたけめ! 誰が仲良しだし! トゥールはともかく、ジンは嫌いだってのに!」
サミル「おや、本当にそうなのですか? ジンくんのほうは、クラウスくんのこと、好きだと思うのですけどね。クラウスくん、雰囲気を盛り上げるのお上手ですし、一緒にいると楽しいんじゃないでしょうか」
クラウス「うーん、まあ、オレといたら楽しいのはそうだろうけど、オレはジンのこと好きになれねーし、どう足掻いても仲良くなれない奴っているじゃん? けんえんの仲、的なやつ! 多分オレたちソレなんだよ」
サミル「なるほど、そうだったのですね。一緒にいることが多いと聞いていたので、てっきり仲が良いものだと思っていたのですが……。ジンくんは、どんな方なんですか?」
クラウス「えー、オレもジンのことはよくわからないけど……多分、あいつも不器用な奴なんじゃねーかな。一人で色々抱えてんだろなあって感じ。元から表情暗いのかもしんないけど、しょっちゅう暗い顔してるし。なんか、トゥールに似てるとこある気がする。両方根暗だ、多分!」
サミル「ジンくんも、トゥールさんも、きっと色んな背景がある子なのでしょうね。……って、先程からジンくんと呼んでしまっていますが、私より年上なんでしたね。ジンさんとお呼びするべきでしょうか。なんというか、子供の見た目だと、こう……つい可愛がりたくなってしまいますね」
クラウス「あんな奴の何が可愛いんだよ。ジンなんかくんとかちゃんとかさんなんてつける必要ねーよ。オレのオススメの呼び方はジジイのジンで“ジジン”だぜ! こう呼ぶと普通に怒られる!」
サミル「ジジンって、それはそれで呼びやすい気がしてきましたね。でもご本人は嫌がっているようですから……うーん、そうですね。もう少し言い方を丁寧にして、ジンおじいさん、略して“ジンジイ”なんていうのもどうですか?」
クラウス「やー、言い方丁寧にしても意味変わらない限り、あいつキレるぞ! てかなんだよ、その、トイレのことお手洗いって言うくらいの差。いっそのことジイとかジイくんて呼んだほうが『ちょっと呼び方に違和感あるけど多分気のせい』って流してくれそうじゃね?」
サミル「あはは、戦法を練るほど、ジイくんと呼びたいんですね。実際に呼んでみて、何回目でジンくんが気づくか、少し気になってしまいます。ジンくんって、怒ると怖いんですか?」
クラウス「んー、別に……。ガキがキレてても、あー、怒ってるなーって感じだし。でも、マジギレするとナイフ投げつけてきたりするから、めっちゃ危ない。ほら、オレの服の裾見てみ? こないだ飛んできたナイフが刺さってちょっと破けたんだぜ。多分、体には刺さらないように上手く投げてんだと思うけど、超危ない!」
サミル「ええっ、それは危ないですね……。喧嘩に暴力……しかも武器を持ち込むのは、やりすぎですよ。せめて殴り合い程度に留めないと、命に関わっちゃいますからね」
クラウス「ホントだよなー! まあ、ギリギリ怪我はしないように投げてるみたいだし、別にいいけど。サミルが誰かと喧嘩するときはどうしてんだ?」
サミル「私ですか? 私は、戦ったりは出来ませんので、喧嘩になったとしても、口喧嘩ですね。こう見えても私、屁理屈をこねるのは得意なんですよ。自慢することでもないですが、口喧嘩だったら、あまり負けた覚えもないんです、なんて」
クラウス「うわあ。確かにサミル相手だと言い負かされそうだな。なんか、言い方はやんわりしてるけど、言い返す隙を与えない感じ? そっちの方が怖いなー!」
サミル「まあ、誰かと喧嘩すること自体、滅多にないんですけどね。私も、気が強いほうではないですし……。仲良くいられるなら、それが一番です。クラウスくんも、そうは思いませんか?」
クラウス「んー、オレは嫌いな奴は嫌い、好きな奴は好きって思うから、好きでもないやつと無理に仲良くするとかは無理だけど……。確かに仲良くいられるんならそのほうがいいかもなー」
サミル「それはもちろん、そうですね。無理に仲良くされたところで、お互い良い気はしませんし……。どうでしょう、クラウスくんは、私とリラックスして話せましたか?」
クラウスの「サミルと話すのはスゲー楽しかったぜ! 普段言わないようなことも色々言った気がするし、普段聞けないことも聞けた感じする!」
サミル「それは良かった。こういう場でないと、なかなか聞けない話ってありますものね。私も、クラウスくんと話せて、とても楽しかったですよ。ですから、大変名残惜しいのですが……そろそろお時間なので、座談会を終わらせなければなりません。クラウスくん、良かったら、最後に一言、お願いできますか?」
クラウス「ヒトコト……!? 一言って、何言えばいいんだ? あ、宣伝とか?」
サミル「宣伝でもなんでも良いですよ。今この座談会をご覧になっている読者の皆さんへ、言いたいことをどうぞ」
クラウス「いや、オレがいるって時点でつぎばが面白いってのは証明されてるから必要ないな!
んー、読者に向けてか。今めっちゃ寒い時期だろうから、風邪とか気を付けろよ! 作者(ヨモツカミ)は年中無休鼻炎のせいで、鼻風邪との区別つかなくて、むしろ年中無休鼻風邪してて辛いらしいから、そうならないように帰ったら手洗いうがいだぞ! こんな感じでいーか?」
サミル「ええ、十分です。どうもありがとう。それでは皆さん、今日のところは、これで失礼しますね。銀竹がお遊びで始めたコーナーですが、是非またお時間のあるときに覗きに来てやってください。それでは、またどこかで」
………………
ノリで開いたコーナーでしたが、だんだんシリーズ化してきましたね(笑)
今回は、『継ぎ接ぎバーコード』から、クラウスくんに来て頂きました!
継ぎ接ぎバーコード、略してつぎばは、荒廃した世界で紡がれる能力者(バーコード)たちの物語です。
殺伐としたシリアスな雰囲気の異世界ファンタジーがお好きな方なら、きっと楽しめる作品になってると思います(^^)
というか、今この闇の系譜のスレをご覧になって下さっている方は、絶対好きだと思いますね(笑)
もう読んでいるという方もいらっしゃるのではないでしょうか。
悲しい運命に苛まれながらも、確かに繋がっている登場人物たちの絆、そしてヨモツカミさんのリアルな残酷描写に注目ですb
それでは、ここまで読んでくださった方、ありがとうございましたー(^^)
本編共々、今後ともよろしくお願い致します!