複雑・ファジー小説
- Re: 夢みる少女は、黒の階段の上を歩く。【もうすこし、まっててね】 ( No.42 )
- 日時: 2014/03/24 14:17
- 名前: 羽瑠 ◆pppAtQkMuY (ID: Aj4Ev7bA)
すいません。ちょっと順番変えます。
だいぶ変則的になっちゃいますが。1個ずつちゃんと消化してくんで。
飛ばされた、とかあれば言ってください。
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__気付いた時には、もう手遅れだった。
私は。みんなの、海の大きな大きな波のなかに閉じ込められて。
二度と、出逢う事すら、出来なくなってしまって。
悔しいけれども。それが、苦しいほどの現実、だ__
Stair_11 孤独の狐。
「ねー。来深(くるみ)今日も、部活行くー?」
ああ。今日は良いや。ちょっと体調悪いから、帰る。
うん。そっか。了解。じゃあ、また明日、ね?
そうやって、いつもの様に。
部活をはぐらかしてしまう。
部活自体が、嫌いな訳では無い。
正直、部活内での人間関係に疲れてしまった。
親友の彩音(あやね)は、もうちゃんと気が付いている。
それでも、毎日のように私の教室に寄っていって、
誘ってくれるのだ。優しいな。彩音は。私とは、正反対だ。
高校2年生が、始まったばかり。
部活が合わなくて辞めてしまった人も、
少数では在るが、確かに。居る。
嗚呼。私も、潔く辞めるべきなのだろうか……?
そんな事を、想いながら。今日も余りに余った時間を持て余して。
家へと、帰る。自分でも、よく解らない。でも、部活を辞めたくは無い。
別に、本当に些細な出来事だった。
私は、ただ。高校に入って。新しい体育会系の部活に、
入りたいなあ。なんて、想って。
硬式テニス部に入った。本当に、軽い気持ちで。
上手い子が、たくさん居た。
そういう子は、めきめきと練習を重ねて。
どんどん。どんどん。上手くなって行く。
2年になれば、すぐに大会のレギュラーに為って。
そう。当たり前の事なのだ。当たり前。
練習をさぼって、才能なんか点で無い私が。
認められる訳なんか、無い。
解ってはいても、悔しくなる。
悔しくなっても、練習へと行く勇気が無い。
何が、どうって訳じゃないけど。
何だか、怖いのだ。きっと、皆仲良くなっているだろうから。
彩音(あやね)なんて、テニスも上手くて、
社交的なもんだから、きっと私は一人ぼっち。
先輩にも、愛されているんだろうな。
後輩にも、きっと。彩音は憧れの的だ。
__私は、ひとりぼっちの孤独のきつねさんで。
彩音は、誰もに好かれるイリオモテヤマネコ。
何処に居たって、注目の的で。大事にされて。
私にだって、手を差し伸べてくれる、永遠の天使。__
嗚呼。どうすれば、あんな風に為れるのだろう……?
彩音は、高嶺の花だ。私にとって。永遠の。
辿り着けない、雲の上に咲く。永遠の耀き。
きらきら。ぎらぎら。きらきら。
余りに、眩しすぎて。瞳を背けてしまう。
後ずさりをして。孤独の海へと、逃げ帰ってしまう。
嗚呼。弱いな。私は。どうしようも無い卑怯者だ。
弱虫の独りぼっちの、高飛車な狐さん。
嗚呼。何時から、こんなにも差が開いてしまったのだろう……?
でも、離れないで居て欲しい。いつまでも。いつまでも。
私の傍から。離れていかないで欲しい。
我が儘なんだ私は。どうしようも無いぐらい、我が儘で。
意地っ張りで。負けず嫌いで。社交性なんて、皆無で。
そんな、私を心から愛してくれる。彩音が。
大好きで。でも、何だか。気に食わなくて。
嗚呼。嫌だ。いやだ。嫌だ……!
擦り付けて居るのは、私の方だ。
解ってるんだ、解ってるんだ。
そんな事を、ぐちゃぐちゃ考えて居るうちに、夜が明けた。
朝日が、眩しい。嗚呼。完全なる、寝不足だ。
何もかもが、どうでも良くなった。
宿題くらい、しっかりやっていかなくちゃ。
部活サボって、勉強出来ないなんて。
私。高校入ってから、完全に廃れたな。
いつもより早目に、学校へでも行こう。
ばたばたと、物を詰めて。学校へと急ぐ。
自転車通学。物とかじゃなくて、心が重たい。
朝日が、眩しい。途方も無く、いらいらする。
__パコン。パコン。パコン。
……ん?これは、テニスボールの弾む音?
急いで、テニスコートへと走る。
嗚呼。あれは、私の大好きな、
「……ああ。来深じゃん。どうしたん?こんな朝早くに。」
彩音は、けらけらと笑って居る。
学校には、まだ。誰も居ない。
一人で、朝練かよ。サーブ練習なんて。
お前、ずるいよ。ずるいよ。ずるいよ……!
もう、止めて。涙が止まらない。
彩音の事大好きになっちゃうじゃん。
好きすぎて、やばい。だから、
あなたは、高音の華なんだ。
ぼたぼた。ぽたぽた。びしゃん。ぴしゃん。
泣いて居た。ごめんなさい。ごめんなさい。ごめんなさい。
もう、何泣いてんの……?
来深、面白いなあ。
また、彩音は。けらけらと笑う。
「……ちょっと待ってて。着替えて一緒にラリーしよう?」
私は、しばらく来ていなかった部室へ。
全速力で、翔けて行く。彩音。ありがとう。
あなたは、いつまでも。私にとっての、永遠の天使。
置いて行かないで。孤独な狐は、いつまでも。
あなたの事を、却れないから。だから。
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クルミの花言葉:知性。