複雑・ファジー小説

Re: 夢みる少女は、黒の階段の上を歩く。【28段、のぼったよ。】 ( No.73 )
日時: 2014/04/09 08:48
名前: 羽瑠 ◆pppAtQkMuY (ID: Bukazeet)

__だから。だから。だから。
  言ったじゃ無いか……?
  友情なんて。いつか。簡単に崩れ去って。
  愛情なんか。いつだって。壊滅して。
  恋情なんて物は。いつまでも。唐突で。
  何も無かった事に為るんだよ。
  いつも。いつも。いつも。
  俺は、笑って誤魔化すだけ。___



Stair_29 紫の華を。友へと、捧ぐ。



自分の庭に咲いている。紫色の華を摘む。
それを、水色の包み紙で無造作に包んで。
お花屋さんに、花束を注文する程のお金さえない。
だから、いつも。こんなに汚い感じになってしまう。
でも、意外と良い感じに為る。あくまでも、個人的意見だが。
空の上に。花びらが舞い降りる様な。幻。
雲の下に。鳴り響く様な。夢。紛れも無い。現実。
足元に。横たわってしまってしまった。残像。
嗚呼。あいつは花が大好きだったんだ。
よく解らないが。ぐしゃりと笑う顔が。
大好きな華に、そっくりだ。不思議なもんね。
また、逢いたい。でも。もう出逢えない。



__春夏秋冬 悠翔(ひととせ はると)殿。
  貴方は、今。雲の上にでも。
  存在して居るのでしょうか……?
  僕は。貴方の事を今でも。愛して居ます。
  狂おしい程に。大好きなんです。だから。どうか。
  天国で。しあわせに。どうか。どうか。__



汚い花束を。墓石の前へと置く。
毎月。命日には、欠かさず此処に来る。
自分の中での、整理が付かないのだ。
いつまでも。いつまでも。いつまでも。
悠翔なんか、ひょこって現れそう奴なもんだから。
家に帰ったら。おかえりーなんて。
また。愛嬌たっぷりの声色で出てくる気がして。
泣ける。泣くなんて。ほとんど無いけど。
いつまで経っても。悠翔に頼っている自分自身に。
溜まらなく。哭ける。嗚呼。馬鹿だなあ。
悠翔の分まで、倖せに成らないといけないのにな。
いつまで経っても。止まったまま。立ち上がれない。
亡くなってから。やっと。悠翔の大切さに気が付いて。
嗚呼。あまりに遅すぎる。ごめんな、って。
墓石の前で。小さく。謝って。ごめん。
でも、その声さえも。悠翔には。届かない。
そんな当たり前の事を想って。また。泣く。
そんな俺を傍観して。きっと悠翔は、笑うんだろう……?
解るさ。それぐらい。あんたとは長い付き合いなんだから。








_________……そんな事を一人で想って。
         墓石の前で大きく笑う。嗚呼。嗚呼。
         きっと。あなたは俺の記憶のなかで生き続けるんだな。
         そんな感じが。悠翔らしくて良いのかもしれない。


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ビオラの花言葉:物思い。思慮深い。
        こころの平和。思想。
        誠実な愛。信頼。忠実。
        少女の恋。