複雑・ファジー小説

Re: 夢みる少女は、黒の階段の上を歩く。【29段、のぼったよ。】 ( No.74 )
日時: 2014/04/10 07:22
名前: 羽瑠 ◆2DNEbF3uNY (ID: Bukazeet)

__どうして。こんなにも。お星さまは。
  あたしのお願いごとを。
  浚って行ってしまうのだろう……?
  ただひとつ。たったひとつ。それだけなのに。
  お願いごとは、いつものように。夜空に舞い。
  静寂の闇のなかへと。消える。__



Stair_31 もし、願いがたった1つだけ叶うなら



ひとつかあ。叶うのは、いつも。ひとつだけ。
ひとつだけかあ。いっぱい在るんだけどなあ。
大好きな人の、お嫁さんになりたい。
お花屋さんで、お仕事がしたい。
おおきなおうちで、おおきな犬が飼いたい。
たくさん。たくさん。たくさん。
でも、流れ星さんは。ひとつだけという、わがままを言う。
困った。こまった。泣きそうになる。
手で、願い事の数をかぞえて。うう。多い。
困った。こまった。困った。
もう、流れてしまったかもしれない。
もう、今日はひとつも流れないかもしれない。
そんな事を想うと。また、涙が出る。
ああああ。どうしよう。どうしよう。
でも、ひとつにしなくちゃ。きっと。
流れ星さんは、叶えてくれない。
たった。ひとつだけ。ひとつだけ。


__息を、吸う。ゆっくりと吐く。
  心の扉を。閃いて。尋ねてみる。
  あたしの、一番大事な。だいじな。
  宝石は、なあに……?__


きらきら。さらさら。
流れ星が、流れる音が聴こえて来て。
手を揃えて。目を瞑って。
願い事をこころのなかで唱えて。
うん。きっと、叶うよ。
叶った時はまた。流れ星さんに、
ありがとうって言いに。ここに戻って来るね。
ばいばい。またあした。また、あした。


*あしたに大きく手をふって。
 あしたとあたしは指切りをして。
 あしたはきっと。晴れるだろう。
 あたしはきっと。笑うだろう。
 ねがいはきっと。叶うだろう……?*