複雑・ファジー小説

Re: Это убивает【お知らせ】 ( No.105 )
日時: 2014/05/24 19:15
名前: サニ。 ◆6owQRz8NsM (ID: jgZDwVO7)

過去編


(廻間編)


廻間は自分だけでない。
その話を耳にした。
実はもう1人の廻間がいる。
おかしな話だった。
でも幻想の話ではなかった。
現に、そのもう1人の廻間が、廻間の目の前にいるのだ。
透き通った肌に、何もかも見通しているような瞳。
そして、三日月の笑み。

これほどまで、『自分と瓜二つの他人』が居るであろうか。

もう1人の廻間————以下『ハザマ』とする—————は、ニタッと笑いながら廻間に近付く。
手には血塗られた刃物。
『ハザマ』はその血を指でなぞり、舐める。
その途端、極上のお菓子を食べた女のように、満面の笑みとなった。

「『звук(ズヴゥーク)』」

そう呟いた。
廻間はさっと身構えた。
それに気付いたのか、『ハザマ』は手で制止する。
すると流暢な英語でしゃべり出した。

「You do not need to stand ready so much.
You do not have hostility.
Because he would like to only merely carry out talk today.
It does not become it tense.(意訳:別に殺さないから敵意出さないで話そうぜ)」

廻間は呆然とした。
何者なんだコイツ。
英文の内容はなんとなくわかったので、そこにあった椅子に座り、『ハザマ』にも促した。
『ハザマ』もにこやかに微笑み、椅子に座る。

「it comes out and is really what talk -- a thing(意訳:はよ話せ)」

廻間が英語で返すと『ハザマ』は

「英語はもうやめにしよう。ここからは母国語で。号に入っては郷に従えってね」

流暢な日本語でそう言った。


これが大体渚グループ夫妻殺人事件の2日前の深夜のことである。