複雑・ファジー小説

Re: Это убивает【5/29過去編更新】 ( No.107 )
日時: 2014/05/31 19:32
名前: サニ。 ◆6owQRz8NsM (ID: wECdwwEx)

twentyfourstory—Complicated blood relationship—



「おい、今何て」

「だーかーら、僕だったんでしょ、凪」

凪は廻間———なのかは分からないが————の一言を聞いて驚愕する。
嵜はというと、ベンチに座って呑気に寝ていた。
斗澤や大形は、いきなりの乱入者に戸惑いを隠せていなかった。
そんな空気の中、凪は問い掛けた。

「お前、部屋で寝るっつってたじゃねぇか。あんでこんなとこに

「君の言う『廻間』は違う『廻間』さ」

「は?」

唐突に返されたので、思わず変な声を漏らす。
その『廻間』らしき人物は、言葉を続けた。

「だいたい、君の知る廻間は素顔を晒してたかい?」

その言葉に、凪は妙に納得した。
ああ、そういえばそうだった。
あといつもならこんなに大人しくねぇ。
ポンと勝手に手を叩く。
そしてそこにいる廻間———ハザマとする———は、クスクス笑って近付いた。
大形はすかさず弓を構える。
しかし斗澤がそれを制止する。
大形は何故だと斗澤に問い詰めたが、それは本人にも分からない。
何故か体がそうしていた。
否(いや)、そうせざるを得なかったのである。
ハザマから嫌でも伝わる殺人衝動。
ここで攻撃すれば、当たる前に自分らが死んでいたかもしれない。
それに、頭の中の妙な靄が、ハザマを殺してはならないと訴えかけていたのだ。
これは一体なんなんだ。
斗澤は一人で勝手に考え、その考えを消したりしていた。
ハザマはそんな斗澤をちらりと見やる。

「ふうん…………『まだ』生きてたんだ。中々しぶといね」

そんなことをぼそっと聞こえないように呟いていた。
ハザマは凪に向き直り、人差し指を凪に向けた。

「久しぶり、弟。元気だった?」

その言葉にぽかんとする凪。
コイツはなんて言ったんだ?
確かに弟とかいったよな。
訳わかんねぇんだけど。
ハザマはそんな凪をスルーし、話を続けた。

「お兄ちゃんの僕がいなくてもちゃんと生活できてる?嵜は今どんな感じなの?あれ、つか兄さんは?まだ寝てるの?」

矢継ぎ早に質問を投げかけるハザマ。
すると大形が割って入ってきた。

「申し訳ありませんが、どなた様ですか?今から僕はこの二人を愛で包み込まなければならないので、早く答えて頂きたい」

すると途端にハザマの表情が曇った。
それか少し呆れたような、そんなものも混じっていた。

「愛?何それ意味不明。第一、愛情を知らない二人に愛で包み込まなければならないのでーとか…………貴方は愛の戦士になったつもりですかあ?」

楽しい気分が台無しだよ、とハザマは零した。
そして

「あーあ、つまんないの」

そう言ってナイフを袖の中から取り出した。
ナイフは真っ赤に染まっており、まだ血が滴っている。
恐らく、つい最近人を殺したばかりなのだろう。

「君の存在邪魔だから消すね。永遠に」

すると、ハザマは空を飛んだ。
大形は狼狽えていたが、すぐに気を取り戻し弓を構え矢を放った。

「消されてたまりますか!」

大形はハザマの振り回すナイフを、軽々と交わしながら矢を放ち続ける。
ハザマは微妙な顔をしながら、ナイフで矢を切りつける。

「やはり可哀相です。愛を知らずに育って来たなんて。お二人のあとに、貴方にも愛を捧げます!」

「だーかーらーさぁ!!愛とかどうでもいいってーの!!」

ガインガシンと刃がぶつかり合う音が鳴り響く。
それを呆然と見守る斗澤と凪。

「愛は………愛は宇宙最強の力です!!」

「スケールでかすぎィ!僕は人が殺せればそれでいいの!!」

「なんてことを!!貴方は人でなし、いや悪魔だ!!」

互の主張を叫びながら激しくぶつかり合う。
すると、それを見ていた斗澤に何かが起こった。

「(っ…………誰だ、誰かが俺に話しかけている………)」

そう頭に『声』が響いてきたのだ。




『斗澤、お前は今日から渚グループ専属の警官だ』