複雑・ファジー小説
- Re: Это убивает【6/11嵜過去編更新】 ( No.113 )
- 日時: 2014/06/14 14:04
- 名前: サニ。 ◆6owQRz8NsM (ID: wECdwwEx)
twentysixstory—It does not finish killing each other.—
朝。
いつもと何ら変わりない、普通の朝。
であったはずだった。
彼女—————一ノ宮にとっては、普通ではなかった。
あの日みたニュースを見て以来、彼女にとって、それは日常から非日常へと変貌してしまったのだ。
後輩が、襲われた。
出血多量で助かる見込みは薄い。
死んでしまうのだろうか。
たくさんの生徒達が通る道でわいわいと話しながら歩く生徒の中で、一人だけ表情が沈む。
ふらふらと足取りが危なっかしい。
そんな調子で、目の前の電柱に気付かず、ぶつかるその時。
「おい、危ねぇっての」
ぐいっと肩を捕まれ、いきなり後ろへ引っ張られた。
はっとした一ノ宮は目の前の電柱に恐れた。
そして引っ張った本人に振り向く。
すると一ノ宮の顔が急に火照った。
何を隠そう、呆れた顔で凪が一ノ宮の肩を掴んでいたからである。
「な、凪!?」
「なんだよ急に驚いて。つか顔赤いぞ。熱でもあるのか?」
「そんなことないわよ!元気よ!」
「じゃあなんでふらついてたんだ」
「あ…………それは」
その話をふられて急に俯く。
それだけで、凪は察した。
「…………深くは詮索しないが、お前引き摺ってんだろ。出血多量でも輸血が行き届いてりゃ大抵は助かる。大丈夫だ、後輩が入院してんのは、全国でもなのしれた大病院だ。医療ミスなんてしねぇよ。俺も前にかかったからな」
その言葉を聞き、えっ、と顔を上げる一ノ宮。
「本当………?」
「お前なあ、名前くらい聞いたことあるだろ。国立大付属の」
それを聞いて一ノ宮は力が抜けたように安堵した。
「そう、だよね…………大丈夫だよね。あはは、安心したらお腹減っちゃったよ!」
そういうと、その場を足早に去っていった。
まるで、今まで落ち込んでいたのが嘘のように。
それとは対照に、凪は思いつめていた。
あの時帰ったあと—————
「廻間!起きてるか!」
廻間を無理やり起こして話を吐かせたのだが。
それがどうにも聞いてはいけなかったような気がしてならなかった。
「何さ今寝てたのn」
「どうもこうもねぇよ!なんだよあのハザマって!俺らを兄弟呼ばわりとか何なんだよ!!お前何か知ってんだろ!!吐け!!!」
胸ぐらをつかみ激しく揺すりそう怒鳴りつけると、廻間はその言葉で目が覚めたようだった。
「ハザマ…………アイツ、居場所もう突き止めたのか!?ってそれより!アイツに会ったの!?ねぇ、怪我とかない!?アイツのことだからそのうち『僕』らを殺しかねない!!ねえ!ねえってば!!アイツ、なんで居るの!?死んでないの!?ねえ!!!言えよ!!!」
そういって、廻間は凪を逆に首根っこを掴み、今にも殺しかねんとその首を絞めた。
凪は精一杯の力で、腕を動かし、廻間の顔にあった紙を引っペがした。
そして何とか動かせる足を上げて腹に一撃を入れた。
手が緩み、廻間はその衝撃で吹っ飛ばされた。
解放された凪は息を切らす。
そして、手に紙が掴まれていることを確認し、廻間を見る。
その時凪は目の前の光景に目を張った。
公園であったハザマと瓜二つの顔がそこにあったからだ。
「いっつ……………ゲホッ」
廻間は息を漏らし出した。
れにか構わず、凪は廻間の首をつかみ、思いっきり睨みつけた。
「どういう事だ、廻間。吐け」
廻間は息を整えながら、語り始めた。
「……………後悔しても知らないよ。僕とアイツ————ハザマは双子だったんだ。だけどいろいろあってね、僕は無きものにされ、孤児院に引き取られた。そしてその後で君ら………凪と嵜が生まれたんだ。そういうこと」
「じゃあ兄さんってのは………」
「僕のことじゃない?わかった?分かったら手を離して欲しいんだけど」
凪は舌打ちをし、廻間を振り落とした。
そして、何か苦い虫をかんだような表情をし、部屋に戻った。
その姿を、廻間は渋い顔で見送っていた。
「(あの野郎…………じゃあなんであの夜のこと知ってんだよ………)」
凪はチッと大きく舌打ちをし、学校へと向かった。