複雑・ファジー小説
- Re: Это убивает【6/14本編更新】 ( No.114 )
- 日時: 2014/06/18 19:58
- 名前: サニ。 ◆6owQRz8NsM (ID: 6MRlB86t)
その頃
【村雲宅】
「夏蓮、悪い夢って?」
「ん?」
「ほら、昨晩の」
「……………ああ。あれか」
ここは村雲宅。
いつものように嵜が遊びに来ていた。
ちなみに学校はいつもの理由で休んだ。
夏蓮は嵜の方を向く。
「気付いたら真っ暗闇の中にいてね。何処からともなく声が聞こえたのさ。『君の友人の命はないと思いなよ』ってな。どういうことだっていったら、『その言葉のまんまさ』って響いた。そんで、今度はいきなり公園の映像見てて。そしたらハザマがその場にいた全員殺してた。無惨にな。んでその中にお前もいたって訳。それで俺はそれが予知夢だってことに気付いて。目が覚めて我に帰ったときはもう走り出してた。それだけ」
「それだけって程じゃないと思う」
そう返すと村雲は別にいーだろと零し、背伸びした。
「それにしても」
村雲は椅子から立ち上がると、嵜の隣に座った。
「面倒なことに巻き込まれたのな、俺ら」
ふう、と息を漏らし天井を仰ぐ。
嵜は表情を変えないまま、ベッドに寝転がった。
そして、手近にあったペンを弄ぶ。
「面倒なこと、じゃなくて、私と凪が、悪い星のもとに産まれたってだけ。そう夏蓮が嘆く物じゃないでしょ。ふぁ………ねっむ」
「そうは言うけどよ、どのみちこの事件も、ましてや生きていくことだって、『面倒なこと』には変わりねぇんだぜ。ま、それもまた一興ってか?」
「随分と風流ね」
「や、そこは詩人って言おうぜ」
「どっちも同じ事には変わりないでしょ」
先程村雲が言ったことをそのまま返す嵜。
その様子に、負けたと言わんばかりに落ち込む村雲。
そして、無防備な体制に、村雲は何かが切れそうになる。
が、それがいざ嵜に手をだそうものなら、凪の鉄山靠が待っている事だろう。
それを想像し、村雲は顔が真っ青になる。
「(殺されるっ、あの人友人だろうが何だろうが容赦しねぇからな、絶対殺される……………!!)」
その様子に気づいたのか、嵜はこう言う。
「夏蓮、凪に何かされるとか思ってるの?」
その言葉が村雲の胸にグサリと突き刺さる。
そして顔がもっと青くなる。
「大丈夫だよ、そういうの気にしない人間だし」
そう言うと、嵜はニヤリと笑う。
その妖艷な笑に、村雲はぞくりとくる。
これは誘ってるのか!?誘ってるのか!!
己の良心と必死の攻防が、村雲の脳内で繰り広げられる。
すると
「って、本気にした?っくく、夏蓮って意外な弱点あるんだねっ。ぷくくく…………」
と、嵜が笑いをこらえながら呟く。
その真実に、村雲はショックを受ける。
部屋の隅に行き、三角座りまでする始末。
その様子を見て、嵜はもっと吹き出した。
—五分後(パポッ)—
なんとか機嫌が直った村雲は、嵜にこう聞いた。
「なあ、たしかハザマは『今度の下弦の月』っつってたよなあ?」
「……………そうだけど」
「となるとあと十五日、か?昨日がちょうど満月だったから………」
「計算があってりゃね」
二人はカレンダーを見やる。
ちょうど昨日の日付に、バツ印がついている。
満月から数え始めたのだろう。
そして、予定だが、十五日後の日付に丸がついてあった。
その日が下弦の月だろう、という見解だった。
「なあ、その日のうちにあいつを『殺す』のか?」
「そうでもしなきゃ、すっきりしない。でも、その前に過去に何があったのかを聞きたい」
至極当然と言ったように頭を縦に振る。
約束の日まで、あと十五日。