複雑・ファジー小説

Re: Это убивает【7/23嵜過去編更新】 ( No.125 )
日時: 2014/07/28 15:42
名前: サニ。 ◆6owQRz8NsM (ID: .lMBQHMC)

twentyeighthstory—A murderous fiend smiles at a full moon and goes mad—


「大形が……?死んだ……だと?」

「うん♪殺しましたっ!アハハハッ」

ハザマがあっけらかんとして話す様子に、斗澤は茫然とする。
一方で一ノ宮は、訳が分からず棒立ちになっていた。

「証拠っ、そう証拠はどこにあんだ———」

「証拠ぉ?ああこれのこと?」

そういってハザマはごそごそとどこから出したのであろうか、袋をあさる。
すると、中から出てきたものに、一ノ宮は嘔吐し、斗澤は顔色が悪くなる。

『大形の生首』が、その袋の中から出てきたのだから。

「アハハハハハハハ!!どお?いいでしょー!!」

そういってハザマは生首を振り回す。
その生首は、当然と言っていいほど、生気は抜け落ちていた。
眼はドロンと抜け落ち、唇は青白く、皮膚は歪んでいた。
それはまるで、『人間ではなかった』。
もちろんのことながら、振り回しているので首から出ている血は、あたりに散乱している。
ふと、唐突にハザマは、振り回すのをピタリとやめ、ジィッと二人を見つめた。
そして、首をポンと落とし、服の袖からナイフを取り出した。
以前見たナイフより、幾分か新しかった。
しかし、そのナイフにはやはり赤い液体がついていた。

「ッフフフ、どうよ?新しいナイフさ。ためしにコイツに使ってみたんだけど……素晴らしかったよ。キレ味最ッ高!!やすやすと腕切っちゃうんだからっアハハハハハハハハハ!!!」

そういってハザマはまるで月に向かって吠えている狼かのように、狂った高笑いを上げた。

「さあて二番目はだれにしようかなぁ?ふふふ♪」

ハザマは二人を指さし、そのうちの一ノ宮にナイフを向けた。

「きーめたっ!!さあおいで!!原型が分からなくなるくらいにメッタ刺しにしてあげるよ!!!!!!」

おいで、といいつつハザマは一ノ宮ににじりより、笑いながら襲ってきた。

「ヒッ」

一ノ宮は案の定足が動かず、その場に座り込む。
それを、斗澤が一ノ宮をかばい、なんとかかわす。

「あれ?なーんで赤の他人をかばうのさ?あ、さては、『また目の前で人が死ぬのを見たくない』んでしょ!?僕にはわかる、わかるからね!!クククククッ」

ハザマはそういって、またナイフを向ける。
思いっきり腕を振り上げ、一ノ宮をかばっている斗澤にナイフを下した。
すると———


「俺の一ノ宮に手ェ出すなあああああああああ!!!!」


その掛け声とともに、ハザマのナイフがハザマの手からはじかれた。

「痛ッ!!」

その痛さに、うずまくる。
その隙に、一ノ宮が何者かに抱かれる。

何を隠そう、凪(ナギ)だ。

凪は一ノ宮をだっこし、その場から離れた。
一ノ宮はやはり混乱していたが。

「ど、どういうこと!?お、俺のって!?ひひひひひ姫抱きとかなんとかうわああああああああ」

「落ち着け、話はあとだっ」

そうなだめる凪の横顔は、少しばかり赤らんでいた。



「たたたた……やられた……」

ハザマはまだうずくまっていた。


新たなる『殺意』が芽生えているのもしらずに。