複雑・ファジー小説

Re: Это убивает【3/3 SUBSTORY更新済】 ( No.28 )
日時: 2014/05/02 18:14
名前: サニ。 ◆6owQRz8NsM (ID: EqqRo75U)
参照: http://subtlestyle.net/en-1/index.html

eightstory—Its head is danced off under a full moon—



「目標発見、確定」
「了解、見つけ次第行く」


怪しく照らす望月の下で、颯爽と翔ける影二つ。
片方には刀、もう片方には二丁銃。
刃は銀色に光り、銃は鈍く照らされていた。
刀は随分と調われた刃先である。
それこそ、日本刀で有名な「政宗」を思い起こさせる。
刃先は怪しいほどに美しい。


銃は、鈍く光る。
一発打っただけでも車一台は粉砕する、「デザートイーグル」。
それを二丁ということは、もはや「破壊神」である。
銃といえば、リボルバー式の銃が最もポピュラー。
今のような形式の銃は、昔の人にとっては想像し難いものだ。
なんたって、そのものズバリ「鉄の塊」なのだから。
その鉄の塊は、人を殺す道具として、今日使われているものが多い。
今この時も、使う意図はそれであった。



町中を駆け巡り、先に見つけたのは嵜であった。
名前の通りであろうか。
凪は反対から町を駆けていたため、見つけるのが遅くなった。
だが、場所は近かった為、ものの三十秒で合流した。
「で、あれか。あのスタンガン」
「そう。写真と顔が合致した。今回はスタンガンと来たか………」
凪と嵜が見下ろした場所には、確かに人影が一つ。
手に機械じみたものを持ち、飢えたゾンビのように、今回の仏になるであろう女子大生に詰め寄っていた。
傍から見ればそれは、変態のように見えるかもしれない。
女子大生はそれから逃げる様に走っていた。
するといきなり、ターゲット……………男が奇声を上げた。
そして気持ち悪いほどに全力で走った。

「———————いくぞ」

それを待ってたと言わんばかりに、凪が駆け出した。
嵜もそれに続く。
が、嵜は女子大生のところへ行き、そのまま抱き上げて「翔んだ」。
「怪我…………無いですか」
女子大生にそう言う。
女子大生は動揺しつつも嵜に大丈夫ですと告げた。

一方男は目標を見失って錯乱していた。
そこら中を蹴り飛ばす。
ふいに後ろを向き、顔面蒼白になった。


——————————気味の悪い「笑み」を浮かべた凪が、刀を片手にじっとりと見ていたからである。


男は酷く身震いし、その場を逃げた。


殺人鬼は逃げる逃げる。
今度は自分の番。
今まで殺すことしか考えなかった殺人鬼は、殺されることの恐怖に押しつぶされていた。
入り組んだ道に入り込む。
しかし最後は行き止まり。
逃げる場所がなくて狼狽える殺人鬼。
そして入り組んだ道を出た瞬間に


二人が立ちはだかる。


「凪、アレでいいんだよね」
「ああ」
嵜が殺人鬼の頭にカチリと銃の先をつける。

涙目になりながら殺人鬼はスタンガンをつける。
シニタクナイ。
イヤダ。
そんな感情が渦巻く。
それを悟ったかのように、凪が言った。


「自分で散々やっといて、死にたくないとか無しな。今度はお前の番だからな」



その一言にぐしゃりと心が折れた。
その瞬間に————————



ぐちゃっ、と耳障りな音がして事が切れた。




「ホントにミキサー…………」
終わったのを見計らい、廻間がやってきた。
「やるといったらやるからな」
凪はさも普通のように淡々と言った。
「もうこれ放送禁止どころじゃないよね?ねぇ!?」
「人類には早すぎることはない」
「いや、ちょまコレ…………CEROEじゃないからね!?Z通り越してのXじゃない!?」
廻間が流石に慌てふためく。
たしかに、この世のものとは思えないほど、ぐちゃぐちゃに潰されていたのだ。
「はぁー…………これで永久的に指名手配だね」
「そうだな。これじゃ身元もわかりゃしねぇ」
「ホントだねー」
「いや君たちだからねやったの!!」



最後は和やかな雰囲気で、帰路についた。