複雑・ファジー小説

Re: Это убивает【3/8 MAINSTORY更新済】 ( No.32 )
日時: 2014/03/09 10:21
名前: サニ。 ◆6owQRz8NsM (ID: UcGUlfNK)
参照: http://subtlestyle.net/en-1/index.html

tenstory—The school in which a murderous fiend is not present—



所変わって、ここは桜庭高校の通学路。
いつもと何ら変わらない風景であった。
広報部部長、一ノ宮鬨を除いては。
途中ふらふらして電柱にぶつかったりしている。
考えことをしていたからだ。
一ノ宮は疑問に思っていた。
なぜ凪がいないのか。
毎朝会うはずの場所に凪がいない。
しかも、休むと言っても連絡はない。
どうしたのか。
「…………………登校拒否なんて、まさか、ね」
最悪のパターンをポツリと呟く。
「なんでいないのかしら……………嵜はともかくとして。」
彼女は嵜の低血圧のことを知っていた。
今日もしかしたら、その低血圧が酷くなって、凪も休んだのかもしれない。
だが、彼らの関係は分からない。
一緒に住んでいるのかどうかさえ。
頭を振って、その考えを消した。
とりあえず、携帯を取り出し、凪へメールをする。
暫くして『送信完了』の文字が出てきて、携帯…………スマフォを仕舞う。
「これで連絡してくれればいいけど」
はぁ、と溜め息を漏らす。
と、後ろから

「部長?元気ないですね」

唐突に声をかけられる。
これにはひどく驚いて、飛び上がって後ろを見る。
そこには、新入部員の矢車がいた。
「や、矢車くん…………元気ない?そ、そうかしら」
「はい。アンニュイというかなんというか。」
矢車がそう、一ノ宮を指摘する。
「あー………あはは!ちょ、ちょっと眠くてさあ!」
そんな言い訳をし、眠いように猫をかぶった。
「そうだったんですか。じゃあこれ、どうぞ」
それを信じた矢車は、鞄をあさり、とあるものを差し出した。
缶コーヒーである。
それを見て一ノ宮は青ざめる。
一ノ宮は缶コーヒーが苦手なのだ。
缶コーヒーというより、コーヒーが苦手なのだ。
恐る恐る矢車を見ると、

爽やかな笑みでこちらに差し出していたのだ。

「(う゛ぅ)」
そんな笑顔で差し出されたら、断るものも断れない。
いざ断ったら罪悪感で胸がいっぱいになるだろう。
「ア、アリガト-…………」
渋々と受け取り、鞄にしまい、その場を逃げるようにダッシュで学校に向かった。




【教室】
「おはよー鬨!あれ、凪は?」
「さ、さあ…………私も知らない…………ゼィゼィ」
「鬨、あんた大丈夫?いやマジで」
「ハァハァ…………ダ、ダイジョ-ブ…………」
「大丈夫じゃないでしょうん。」
そんなやり取りをしたあと、ふらつきながら席に着く。
そして突っ伏す。
「(連絡来ないし来る気配はないし…………ハァ)」
そんな時、ガラッと音が鳴って扉が開く。
なんとそこには


めったに来ない嵜がいた。



「!?」
教室中がざわめく。
そんなことも気にせず、嵜は席に着き荷物整理を始めた。
流石にこれには一ノ宮も驚き、呆然としていた。
一ノ宮はすぐさま立ち上がり、嵜のところへ行く。
「嵜…………体大丈夫なの?」
「今日は調子が良かったから。結構昨日爆睡してたし」
嵜が言いたいのはこうだった。
ふと目が覚めて時計を見たらまだ6時だった。
とりあえず二度寝しようと思ったが、なんとなく調子がいい為、学校に来た。
因みに服はどうしたかというと、廻間が持ってきてくれたらしい。
「なるほどね。今日に限っては顔色もいいし…………。」
ふと、はっとしたかのように、一ノ宮が聞く。
「凪は?連絡とかない?」
嵜は思い出すような態度をし、その後で

「頭痛が酷いから休むって電話で」

と言った。
もちろん電話というのは嘘である。
「あ…………そうだったんだ…………」
なにやらホッとした一ノ宮。
その後も嵜とたわいもない話をしていると、一時限目開始の予鈴が鳴った。
「おっと時間ね。それじゃ」
一ノ宮は嵜にそう言うと、席に戻っていった。






「きりーつ!お願いします!」