複雑・ファジー小説
- Re: Это убивает【3/12 MAINSTORY更新済】 ( No.35 )
- 日時: 2014/05/02 18:11
- 名前: サニ。 ◆6owQRz8NsM (ID: EqqRo75U)
- 参照: http://subtlestyle.net/en-1/index.html
【SUBSTORY】
—The day preceding a white day—
「おい凪」
そう声をかけたのは、クラスメイトの男子。
振り向いた凪は、明らかに迷惑そうな目をしていた。
それもそのはず、読書の邪魔をされたのだから。
それを察したのか、男子は平謝りしてから、こんな話をし始めた。
「ホワイトデー、どうすんだ?」
その一言にページをめくる手が止まった。
「………………別にどうも」
そう答えると苦笑しながら
「別にってお前…………嵜とか一ノ宮から貰ったんじゃねえの?」
と突っ込んだ。
凪ははっとしたかのように、顔を上げた。
確かに、凪は一ヶ月前の明日、一ノ宮や嵜にチョコレートを貰った。
だが、それが『二つだけ』ならまだよかった。
下校する際、靴を取り出そうとして下駄箱を開けると、たくさんのチョコがどばどばと雪崩のように落ちてきたのだ。
しかも熱烈なファンレターや鬱陶しいぐらいのバースデーカードが殆どだった。
逆に嵜の方は、チョコではなく、カミソリや針、画鋲と言った危険なものが下駄箱にたくさん入ってたり、仕掛けられていたらしい。
流石に怪我はなかったようだが。
ところで、凪の下駄箱にバースデーカードがあったと言ったが、実は2月14日は、凪の誕生日なのだ。
本人は誰にも話してなかったのだが、誰だかがそれをバラし、毎年嫌と言うほどクッキーやケーキを渡されるハメになったとか。
ちなみにバラす前から知っていたのは嵜だけである。
そして、なぜ嵜だけの下駄箱に画鋲やらカミソリやらが入っていたのかというと。
嵜は凪といつも一緒にいる。
昼休みも朝も帰りも。
恋仲でもないのに、いつもベタついているのは、周りの女子からすればたまらなく不愉快なのだろう。
そういうわけで、こういう一種の嫌がらせを毎年、いや毎日受けていたのだ。
本人は一ミリも気にしちゃいないが。
そんなことを考えていると、男子が声をかけた。
「おい凪?どうした?」
その一言で我に返る凪。
「っああいや、少し考え事を。」
「ふーん?で、どうすんだ?」
「何が?」
「いやだからな、ホワイトデー」
「…………………ああ。」
「俺は彼女に、愛をこめたマシュマロやるけどな」
そう男子がドヤ顔すると、凪がこう説明してきた。
「マシュマロ、バレンタインとかホワイトデーとかには絶対使うなよ。それを渡すってことは『貴方が嫌いです』って意味合いになるからな」
その一言に男子の顔は青ざめる。
「え?マジで?」
「ああ。有名そうでなかなか知られてないがホントだ」
そういうと、男子は白く撃沈した。
「どうしよう…………俺渡す気マンマンで高級のマシュマロ買っちった………」
「金は?」
「ねえよ……………」
弱々しくつぶやく。
そんな男子生徒を見て、凪は呆れた。
そして、男子生徒を席に戻し、読書へと戻った。
「ホワイトデー、か。嵜と一ノ宮あたりに返しとくか。そうなると、何を渡すべきか………………」
そんなことを呟きながら、読書に耽っていた。
続くよ