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thirteenstory—Old tale—


ここは廻間邸。
正確には、「持ち主がいない屋敷を廻間がとった」屋敷とでも言おうか。
まあそんな屋敷に、相変わらずぐったりしている凪と、うたた寝をしている廻間が大きなホールにいた。
普通の民家とは比べ物にならないくらいの大きさの居間。
床は大理石でできていた。
そこに、人1人寝そべることのできるソファがいくつかと、天井まで届く書棚、さらにはいかにも手にはあまりそうな、高そうなテーブルが散乱している。
シャトーまでとはいかないが、普通の人から見れば、そこそこの金持ちが持っていそうな家であった。
凪はそんなソファの1つに体を投げ出していた。
頭痛が取れないのか、うめき声を漏らしている。
廻間はそんな凪を無視するように熟睡。
凪がそろそろガマンの限界にきた頃、玄関を開ける音が鳴った。

「ただいマンドレイク」

嵜が帰ってきたのだ。
「おかえリストラ」
物騒な言葉で返す凪。
嵜が居間にきて、ソファにすわる。
そして手に持っている袋をガサゴソ漁る。
袋から手を出したとき、その手にはとあるものが握られていた。
頭痛薬である。
「凪、飲め」
命令口調で頭痛薬を凪に差し出す。
凪はそれを受け取り、台所へ消えた。
廻間はそんなやりとりで目を覚ましたのであろうか、嵜に手を振っていた。
「おかえリマセラ。薬局よってたの？」
「おかあリンク。そうだけど
「ふうん……………頭痛って知ってたんだ」
「凪が頭痛になってると大概私」頭が痛い。んで凪の頭痛が治ると私も治る
「ああ………双子ならでは、だね」
普通、一卵性双生児に多いらしいのだが、双子の片割れがどこかを痛めると、また別の片割れも同じ部位が痛くなるのだという。
凪と嵜は一卵性双生児の双子のため、こういうことがよくあるらしい。
因みに上は凪である。いわゆる兄だ。
双子というのは、先に生まれた方を弟もしくは妹とする。
弟もしくは妹というのは、兄または姉を守る性質があるらしい。
そのため、兄や姉は後に生まれる。
この情報には、諸説分分があるが、この作品ではこの説を取る。（メタ）

「確か、２人の苗字って…………」
「『渚』」
「あ、そうだったね。大手渚グループの娘と息子。」

そう、２人の苗字は『渚』。
ナギサだ。
そのため、２人の本名は「渚 凪（ナギサ・ナギ）」と「渚 嵜（ナギサ・サキ）」となる。
そこで、ある疑問が生まれる。


—————————なぜ苗字を公表しないのか？



その話（ワケ）は、長く重い話になる。
これから語る過去の話は、こころの準備が必要になるだろう。
なので、次回から話そうと思う。

それでは。