複雑・ファジー小説
- Re: Это убивает【オリキャラ募集】 ( No.49 )
- 日時: 2014/03/24 08:54
- 名前: サニ。 ◆6owQRz8NsM (ID: 07Anwjr8)
- 参照: http://subtlestyle.net/en-1/index.html
Recollection—Two persons' relation—
2001年
大手渚グループ総帥とその妻、渚 直太郎と渚 撫子
死亡
「ふえっ…………ママ、パパ……………ひっく」
「……………………」
大手渚グルー夫妻の葬式だけあって、沢山の人が訪れていた。
誰もが涙を浮かべている時、1人だけ、ぐっと涙をこらえているような少年がいた。
渚グループの長男、凪である。
その隣には、泣きじゃくる少女。
渚グループの長女、嵜である。
2人は、渚夫妻が亡くなったあとの後継者、ということで位置付けられていた。
だが、精神が大人な凪はまだしも、精神が幼い嵜に継がせるのは早いのではないか、と言う声もあがっている。
周りの側近らが凪に聞くと、
『いずれ継ぐかもしれないけれど、義務教育期の時に継がせるのはやめて欲しい』
と言っていたらしい。
嵜には聞くにも聞けなかった。
英才教育を受けてはいるが、母の頼みでゆっくり英才教育をしたいということになっていた嵜は、まだ精神が幼い。
そんな時に跡継ぎの話をしたら、クエスチョンマークが浮かぶだろう。
「嵜様…………これを」
使えていたメイドが、嵜にハンカチを渡す。
「ひっ………く……………」
それを泣きながら受け取り、涙をふく。
「凪様。大丈夫、ですか」
そう聞くと、首を縦にふった。
そんな凪を周囲は気の毒に思った。
小さい頃から精神がしっかり『しすぎて』いると、泣くに泣けないのだろうな、と。
決して『可哀相だ』とは思わなかった。
思えば思うほど、本人にとっても重荷になるだけである。
お経が終わると、霊柩車が準備をする。
遺体を火葬場に持っていくのである。
凪たちは外に出た。
外に出た時、目の前には霊柩車があった。
黒く、それでいて怪しげに光っている。
皆が外に出たのを見計らい、霊柩車は、ふぁんと音を鳴らし移動した。
そして全員が、渚夫妻に黙祷を捧げた。
あれだけ泣きじゃくっていた嵜も、いつの間にか泣きやみ、黙祷をしている。
皆々が、大手渚グループ夫妻に、別れを告げた。
暫くして、凪と嵜は散歩に出掛けた。
泣きはらした顔を乾かすためである。
嵜は浮かない顔をしつつも、それなりに散歩を楽しんでいた。
しかし凪は相変わらず無表情のままである。
因みにお供はいない。
凪が『2人で』散歩をしたいと告げたからである。
流石に渚グループ長男と長女の頼みとあっては断れない。
しかも、葬式の日であったから尚更。
仕方なく送り出したのである。
「いい天気だね、凪兄。」
そう嵜は言った。
『凪兄』というのは、嵜が勝手にそうしてる凪の呼び方。
兄さんというのもめんどくさいし、凪と呼ぶと従者に怒られる。
というわけで、凪兄。
本人は別に構わないとないうような体をしている。
「パパやママ、向こうにいるかなぁ」
「…………………」
「何か喋ってよ凪兄ー!」
「………あ、ごめん」
そう軽く謝る凪。
その時であった。
「2人とも、もしかして凪と嵜?」
そう、透き通るような声がした。
凪は嵜を庇うような体制で前に出る。
しかし、その人物に驚きの目を張った。
————————葬式には来なかった、親戚の『安斎廻間』だったからである。
「あん…………ざい!?」
凪がそう言う。
廻間はきょとんとした後、からからと笑った。
「安斎?ああその名前は捨てたよ?」
「…………………は?」
間抜けた声を出す。
「安斎があんまり好きじゃなかったし。その子供って言われても釈だったからねー」
さらりと語る。
「だからね、苗字ないよ。もう渚さんには言ってあるし。」
「安斎を抜けた…………?そう簡単にできるのか?」
渚グループの親戚に当たる『安斎』というのは、もともと『渚コンツェルン』だった頃、渚を離れて独自のグループを結成した派閥である。
安斎は暫くした後、渚の利益や財産を狙って悪事を働き始めた。
いわば『渚グループの癌』である。
その安斎から人が抜けるということは、理解し難い物であった。
「元々、養子で入った身だし、出ようと思えばいつでも出れたしね」
「養子!?そうだったのか!?」
「そ。孤児院にいたとき引き取られて、でも派閥争いとかで嫌気がさしてさ。抜け出した。」
「…………………はぁ。」
また間抜けた声を出した。
「よいしょっと」
すると廻間は前触れもなく2人を抱えた。
「うわっ!」
「ほえっ!?」
「じゃあお2人さん、そろそろ戻ろっか。話したいこともあるし。」
「なっ、ちょっ…………はーなーせー!!」
続く