複雑・ファジー小説

Re: Это убивает【本編更新】 ( No.66 )
日時: 2014/04/12 17:14
名前: サニ。 ◆6owQRz8NsM (ID: KS1.rBE0)

sixteenstory—Each expectation—


「部長ー!」
「どうしたの?そんな急いで」
「また殺人鬼を殺す殺人鬼が現れたそうです!」
「なんですって!?」

所変わってここは桜庭高校広報部。
授業を終え、部活に励んでいる時、そんな情報が入ってきた。
部長の一ノ宮は情報を仕入れてきた矢車を問い詰める。
「ほ、ホントなのそれ!?」
「はい。公園で警察と思わしき人がそう言ってました」
「公園?確かにここの近くに公園はあるけど………なんで警官が?」
「さあ………」
矢車は広報のために、街を歩いている時、公園によったらしい。
その時、矢車の目にその警官が写った。
何かいい情報はないかときいたら、「殺人鬼を殺す殺人鬼が現れた」というような趣旨のことをぽつりといったらしい。

ここで疑問が生じる。
何故矢車は警官だとわかったのか?
それには決定的な根拠があった。
最初は気づかなかったらしいのだが、近くによると、警察手帳が落ちていたらしい。
それをその男に渡すと、どうやら本人だったらしく、ぱっと矢車のてからそれをかっさらった。
それでああ警察なのかと確信したらしい。

「とにかく、その人に詳しく聞いて見たいわね。いくわよ皆!」
と一ノ宮はそう言って部室を飛び出した。
それに習うように、部員が席から立ち上がり、後を追った。
矢車も慌てて飛び出した。

「あれ、でもそういうことって、口外しないような………」

でもって今更その事に気が付くのだった。


【サクラニワ公園】

ここはサクラニワ公園。
桜庭市の中では小さい方の公園だ。
だが、それでも近くの住人にとっては大きく感じられる広さだった。
そんなところに、桜庭警察署捜査課刑事、斗澤永楽(トザワエイラク)はいた。
彼は元々軍の人物だった。
だが何かの影響なのか、警察に転身。
以来捜査課に派遣され事件の捜査を任されることに。
ある日いつものように指名手配されていた殺人鬼を追っていると、その殺人鬼がパッタリと音沙汰無くなった。
不思議に思い、他の物も調べてみるとなんと同じような形で音沙汰無し。
気になって上司にも言ったのだが、一切信じてもらえず、1人でおうことにしたのだという。
そんな彼の元に、高校生と思しき人物たちがやってきた。
「どうも、県立桜庭高等学校広報部部長の一ノ宮です。今回お聞きしたいことがあって来ました。」
「同じく県立桜庭高等学校広報部1年矢車御言です。」
高校生の割には随分としっかりした生徒だった。
「桜庭警察署捜査課刑事の斗澤永楽です。何でしょうか。」
斗澤はできるだけ敬語を使った。
「実は我々、表向きは広報の活動をしているのですが、裏で今噂になっている殺人鬼を殺す殺人鬼を追っているんです。何かしら情報はありませんか?」
その言葉にぴくりと反応する斗澤。
そしていきなり表情が変わる。
これには驚いたのか、一ノ宮が付け足す。
「あ…………操作の関係上、口外できないということでしたら構いません」
すると斗澤はこんなことを言ってきた。


「いいですよ、何から聞きたいですか?」


その場にいた全員がぽかんとした。
すぐに我に帰った一ノ宮は
「あっ、はい!ではこの前また現れたとかなんとか………あれは本当ですか?」
と聞いた。
「ああ、本当ですよ。街を調べたとき、殺人鬼と思しき遺体を発見しました。死後27時間は経ってると思われます。多分殺人鬼を殺す殺人鬼の犯行ではないかと。」
斗澤はとりあえず丁寧に話した。
「ありがとうございます。次はその正体についてなんですけど…………」
こうして、小1時間質疑応答が続いた。




「今日は有難う御座いました。それでは」
一ノ宮たちが帰り、斗澤はふぅと溜息を着いた。
すると

「随分と仲良さげだったな」

とハスキーボイスが斗澤の耳に入った。
その声の主の方向を振り向く。
「いや、ただ質問に答えてただけだ。そんな珍しいか?凪。」
「ああ。ありえない」
声の主————————凪はそう答える。
「俺と最初話したときは、しかめっ面だったクセにな」
「あん時はたまたま不機嫌だっただけだ」
「その割にはクソガキ連呼してたじゃねぇか」
「そうかぁ?」
「そうとも。俺は覚えてる。俺は人より記憶力がいいらしい」
「ったくイラつくな………やっぱりテメーはクソガk」
「言わせねぇよ」
と言って凪は斗澤にアイアンクローを食らわせた。
ビキビキと嫌な音がなる。
「あだあっ!!」
斗澤は凪の腕を引っ掴み、無理やり離す。
「いてえじゃねえか」
「クソガキっつったアンタが悪い」
凪がそう答えるとケッと凪の腕を払う。
「お前には関係ねえが、殺人鬼を殺す殺人鬼だったら俺も狙ってんだっつーの。手抜きはしねえ」
「そう簡単に見つかると?」
「ぁんだその言い方………テメーがその殺人鬼だってのか?
「ちげえよ勘違い乙」(※嘘です)
そう言い放ち、凪は公園を去る。
その後ろ姿を見てふと気がつく。









「そういや…………アイツ家で寝込んでんじゃなかったっけか?嵜のヤロ嘘つきやがったのか?」


そうつぶやいた時にはもう凪はいなかった。