複雑・ファジー小説

Re: Это убивает【アンケート実施】 ( No.78 )
日時: 2014/04/24 22:00
名前: サニ。 ◆6owQRz8NsM (ID: ZgzIiRON)

eighteenstory—Want of sleep—



翌朝
朝日が少し眩しい朝だった。
カーテンを開け、入ってくる陽の光が心地いい。
今日は休日ということもあって、幾分かのんびりできそうだ。

凪が嵜を起こし、朝食を作る。
嵜は嵜で、船を漕ぎつつも出来上がるのを待つ。
大きなあくびが聞こえた。
言わずもがな嵜だ。
まだマシな方とはいえ、やはり低血圧には変わりない。
凪はそんな嵜をよそに、朝食を作り終え、その皿を持ってくる。
嵜はその匂いで目が覚めたようだった。
テーブルのうえに乗せられていく料理。
そして凪が席に着く。

「「いただます」」

今朝のレパートリーは、トーストにスクランブルエッグ、目玉焼きに焼きウィンナーや焼きキノコなど、色とりどりだった。
男子が一人で作ったとは信じられないものだった。
「ぷまい」
もぐもぐと食べながらそういう嵜。
「おい、飯食いながら喋んな。行儀悪い」
そして、嵜の行儀を指摘する凪。
やはり母のようにしか思えない。
嵜はトーストに桃のジャムをつけ、がぶりと食らいつく。
桃の果肉とトーストのもっちりした食感が、さらに食欲をそそる。
凪はそんな嵜を見つつ、トーストに目玉焼きを乗っけた。
ラピュタパンである。
して凪もはパンに食らいつく。
半熟の濃厚な味わいとそれにからまったパンの風味が口を満たす。
2人はすっかり食べる事に夢中になった。

ふと、凪が思い出す。
昨夜から廻間を見ていない。
そして今朝も廻間だけの席があいているのだ。
「(……………情報集めだろうな)」
まあたまにこういう事があったので、気にしちゃいないが。
そう思いつつコーヒーを啜る。
だが、嵜は勘づいていた。
廻間のいない理由が、「ただの散歩」ということに。
真夜中にふらっと出かけては、昼間にふらっと帰ってくる。
謎が深まる一方だ。
「(……………あの写真)」
嵜の脳裏に廻間の部屋で見た悪夢が蘇る。
「(ッ……………私は何も見てない。知らない)」
ただそう思い込ませて、ソレを封じた。
自然と手に力が入る。
と、その時



「たっだいまー」



呑気な声が玄関から響いた。
ふらふらと広間に来る。
白い紙で素顔を隠し、両腕に繋がれた重々しい鎖。
何かの儀式をやるような白い法衣に身を包んだ廻間が帰ってきたのだ。、
「お帰り。今日は随分と疲れてるじゃないか」
凪が諭すようにそういった。
「ああ…………面倒な奴らに会っちゃってさ…………」
「面倒な奴ら?」
廻間の言葉を繰り返す嵜。
「えっとね……………愛の戦士だとか変な警察官とか。そこのサクラニワ公園で」
「愛の戦士?なんだそら」
凪が廻間に問うた。
「警察公認の正義の味方だってさ。正義の味方って腹立つよね」
ほとんど聞き流していた凪と嵜。
それには気にしてないのか、普通に階段を上り、お休みと言って部屋に入った。
そんな様子に凪は溜息をつき、




「アイツが一番よくわかんねぇ」

と、呆れたような声で呟いた。