複雑・ファジー小説
- Re: Это убивает【各部修正】 ( No.95 )
- 日時: 2014/05/03 18:06
- 名前: サニ。 ◆6owQRz8NsM (ID: 2PmCSfE.)
twentystory—The beginning of a nightmare—
「……………」
特にやることもなく、あっという間に昼が過ぎ夜。
嵜は帰ってきた途端「眠い」といって、自室に戻ってしまった。
廻間は相変わらず、ソファでごろごろしている。
そんな中で凪だけが、どこか張り詰めた顔をしていた。
「……………」
その空気がしだいに部屋を蔓延し、廻間も少し息苦しそうだった。
耐えきれず廻間は、凪に聞く。
「どうしたの?いつになく怖い顔してさ」
その一言で凪がはっと我に返る。
凪は廻間をみやり
「っ、すまん少し考え事をな。で、何の話だ?」
と返した。
廻間はふと思い返した。
———————そういえば、以前より2人とも表情が豊かになってる。
もしかして、『あの時』の『暗示』が消えかかってるのかな。
となると『あの記憶』も蘇りつつあるのかもしれない…………
しかし、そうなると厄介なことになる………
「おい聞いてんのか」
「あっ……!ご、ごめん、つい………何の話だったか、だよね。凪、そんなに思いつめた顔して、どうしたのさ?」
廻間は若干冷や汗を流しつつ、凪にそう聞いた。
「………………妙な胸騒ぎがしてな」
すると凪は深刻な顔をしてそう告げた。
「胸騒ぎ?」
廻間は凪の言葉を繰り返した。
「悪夢っつーか…………まあそんな感じのが、始まる予感がしてさ。いや、『もう』始まってるかもしれねぇが………… 」
そう言うと、それっきり凪は口を閉ざした。
廻間は凪の言葉に、妙なものを感じ取ったようだった。
深くは詮索するこなとく、廻間は本を取り出し、読書にふけることにした。
それから2人は会話を交わすこともなく、10時に眠りについた。
時間がすぎるとは早いもので、日が昇り時刻は8時30分。
珍しく嵜が早起きしており、凪は寝たままだった。
嵜はテレビをつけ、適当なところにチャンネルを回した。
すると廻間が自室からやってきた。
「おはよ嵜。珍しいね」
「悪夢みてさ。目が覚めてしまった」
「………………どんなの?」
廻間は『悪夢』という言葉に引っかかりを感じながらも、質問した。
「知ってる人らが、ばんばん死んでく夢」
「………………知ってる人ら?」
「公園にいる警察官とか、一ノ宮とか、その後輩とか…………とにかく沢山」
「……………なるほど、ね」
その時、廻間の頭がズキリと痛んだ。
頭を押さえ、なんとか倒れることなく踏み止まった。
程なくして頭痛は止み、ふぅ、と息を漏らす。
「(ホントに何なんだろ。この胸のモヤとか、頭痛とか
)」
そう考えていると、嵜がテレビを見てあっと声をあげた。
廻間はそちらを振り向き、テレビの前に来る。
報道されていたのは、なんと嵜たちが通う桜庭高校の生徒であった。
『昨日未明、県立桜庭高校の生徒が、血を流して倒れているのを近所の住民が見つけ、警察に通報しました。被害者は県立桜庭高校1年生、【矢車御言】さんとのことです。現在意識不明の重体で、病院で治療を受けています。現場には血痕のついた刃物のようなものが落ちており、警察は傷害事件として捜査を進めています……………』
その瞬間から、『覚めることはないであろう悪夢』は始まった。