複雑・ファジー小説

Re: Это убивает【各部修正】 ( No.97 )
日時: 2014/05/06 16:20
名前: サニ。 ◆6owQRz8NsM (ID: EqqRo75U)

The volume on past—Hypnotism—



「ところで2人とも」

廻間はくるんっと一回りして、2人の方へ向いた。

「『あの夜』のこと、覚えてる?」

廻間は諭すようにそう言った。
凪は聞くやいなや、表情を強ばらせた。
まるで、『鬼』のように。
嵜は嵜で次第に思い出し、涙ぐみ始めた。
きっと、堪えられないような光景が脳裏をよぎったのだろう。

「なるほど。覚えている………いや、『覚えてしまった』んだね」

廻間は意味深な言葉を吐く。
少し考え込んだ後、廻間は2人に近寄った。
2人を抱き寄せると、廻間は人差し指を2人の目の前を指した。

「この人差し指を、じっと見てて。すぐに終わるからさ」

2人はきょとんとしつつも、廻間に従った。

「それじゃ、始めるよ———————『君達はあの夜のことを覚えていない』」

廻間は呪文を唱えるように、ぶつぶつと呟き出した。
そして、人差し指をグルグル回し始めた。
それを見ていくうちに、2人の目には光がなくなり、焦点が合わなくなる。
トロンとし出したのだ。
構わず廻間は続ける。

「『何も知らない………覚えてない………関係ない…………知らない………覚えてない…………関係ない…………知らない…………覚えてない…………関係ない…………知らない…………覚えてない…………関係ない…………』」

グルグルと回し続け唱える。
次第に2人は力が抜け、しまいには意識を失った。
ぐらりと体が廻間に倒れ込む。

「おっと。やりすぎたかな?」

廻間は2人をうまく支える。
そして担いだ。

「でもま、これぐらいやんなきゃ効果ないし。表面意識も封じられてるといーんだけど。さてお昼寝の時間ですよっと」

意識を失った2人を担ぎ、廻間は寝室へと向かった。


器用に足で扉を開けて、中に入る。

「おっじゃましまーすって、まあ自分の部屋だから関係ないか」

廻間はそういいつつ、2人をベッドに寝かせてやった。
布団をかけ、廻間その場を離れる。
向かうは、書斎。

「凪も寝顔は可愛いんたけどね」

溜息をついて、書斎の扉を開いた。


つづく