複雑・ファジー小説

Re: Это убивает【過去編解禁 ( No.99 )
日時: 2014/05/08 22:02
名前: サニ。 ◆6owQRz8NsM (ID: KVjZMmLu)

twentyonestory—Fresh blood—


「うそぉん…………」

廻間が不抜けた声を出す。
嵜は嵜で呆然としていた。
矢車が襲われ、意識不明の重体。
出血多量で、命が残る可能性は殆どない。
これが、ニュースが伝えた事だった。
嵜の悪夢が、『現実』のものとなってしまったのだ。

「嵜の悪夢って…………まさか予知夢だったのかな?」

ぽつりと、廻間がそんなことをいう。

「かもしれない。実際、ここ最近人が死ぬ夢ばっかり見てるし」

嵜はそんな空を付いた問いかけに、淡々と返した。
くっと顔をあげ、虚空を見つめる。
そこに何かがあるような気がして——————でも結局はないので、目線をしたに戻した。
廻間はすっくと立ち上がり、ぱっぱっと衣服のホコリを払った。

「………………とりあえず、さ。凪、起こそうか。そんで朝ごはん食べよう」

何とも言えない空気を打ち消すように、話題を変える廻間。
そしてそのまま、自室へと消えた。

「……………起こすっていっておいて、起こさないよね。何なんだ全く」

嵜はよっこらしょと言って、凪を起こした。

「凪、朝だよ起きな」

「ん?……………んーもう朝か、ふあ」

もぞもぞとソファから起き、目をこする。
ぐーっと背伸びして、立ち上がった。

「ああ、おはよう嵜」

あくびを漏らしつつ、凪は嵜に挨拶をした。

「おはよう。よく眠れた?」

嵜は凪に、そんな質問した。
無意識のうちだった。
すると凪は、眉を顰めこう言った。

「全然。人が死ぬ夢見ちまった」

嵜はそこで確信した。
やっぱり偶然じゃない。
あれは『予知夢』だったんだ。
嵜は、どんな人が死んだのか聞いてみた。

「一ノ宮とか、その後輩とか、斗澤とか。あと廻間か?」

嵜の見た悪夢とほぼ一致していた。
ただ、違うのはその中に『廻間』がいなかったというだけ。
嵜は疑問に思った。

「まあ、とりあえず朝飯だ。今日は何がいい」

そんな嵜を見て察したのか、話題を変える凪。
嵜はしばらく考え込んだ後、

「チャーハン」

と吐き出したのだった。





時はさかのぼり昨日午後23時。
1人の人間が『そこ』にたたんずんでいた。
その者は三日月のような笑みを浮かべる。

「さあ……………今すぐに見つけてあげるよ……………『廻間』」

ニタリと笑ったまま、そう呟くその者。
その姿形は明らかに



『廻間』だった。