複雑・ファジー小説
- Re: 朱は天を染めて ( No.16 )
- 日時: 2014/03/04 15:15
- 名前: Frill (ID: vehLH22f)
第十参話 美少女で野獣・中編
頼光達の前に現れた『坂田金時』と名乗る金髪褐色の謎の美少女。
「オイラは気が短いんだ、早くしな!」
巨大な戦斧を突き付けて荷物を寄越すよう脅しつける。
綱が刀に手をかけるとそれを貞光が止める。
「ここはあたいに任せてくれよ」
貞光はそう言うと長槍を振り回しその鋭い切っ先を金時に向ける。
「可愛いお嬢ちゃん、怪我したくなかったらそこをどきな。それともそのでかい斧であたいの槍と一発やるかい?」
小馬鹿にした様な貞光の言い回しにムッとする金時。
「・・・お前、気に入らない。オイラ、殺すつもりはなかっけど、気が変わった。お前、殺す!!」
その瞬間、金髪の少女が瞬時に跳躍し凄まじい速さで巨大な戦斧を振り下ろす。
貞光はそれを余裕を持って長槍で受けると流れる様に横に捌き戦斧の刃を反らす。
「!?」
「どうした、お嬢ちゃん。そんなんじゃ、あたいを満足させられないよ」
距離を取り再び戦斧を叩き込む金時にその場を一歩も動かず槍の穂先で巨大な斧の刃を弾く貞光。
斧の力強い一撃は掠るだけでも致命傷を与えそうな勢いがあるが貞光は涼しい顔でそれらを全て軽く受け流している。
「流石だな、貞光殿。あの猛烈な攻撃を意ともしない」
「うん。長槍の利点を上手く利用してるよね」
二人の激しい攻防を当たり前のように観察している頼光と綱におろおろしている卜部。
「か、加勢しなくてもよろしいのですか?」
「大丈夫だよ、卜部。すぐ終わるから」
卜部の心配する言葉に軽く返事を返す頼光。
その言葉通り、決着はすぐに訪れた。
数瞬、金属音と打撃音が続き、突然に静寂が訪れる。
弾かれた巨大な戦斧が回転し地面に勢いよく突き刺さる。
貞光の鋭く光る槍の切っ先が金髪の少女の細い喉元を捉えていた。
