複雑・ファジー小説

Re: 朱は天を染めて ( No.17 )
日時: 2014/03/04 16:56
名前: Frill (ID: vehLH22f)

 第十四話 美少女で野獣・後編


 「オ、オイラが負けた・・・?」

 喉元に槍を突き付けられた金時が驚愕の表情ををしている。

 「お嬢ちゃん、戦いは力技だけじゃ勝てない時もある。あたいも昔は力任せに槍を振り回していたもんだ」

 貞光はそう諭すと槍を納める。

 「・・・オイラを殺さないのか?」

  怪訝そうに貞光を見る金時。
 
 「あたいは女子供は手にかけないよ」
 
  それに当然の如く答える貞光。



 綱は坂田金時と名乗った少女と傍らに突き刺さる巨大な戦斧を見てその名前に聞き覚えがあることに気付いた。

 「坂田 金時・・・、あの『坂田 金時』か?いや、まさか・・・」

 「知ってるの、綱?」

 「ええ、頼光様。私が幼少の頃に聞いた話ですが、かの戦神『平 将門』(たいらの まさかど)公の八武将の一人に同じ名前の者がいたと言う話を思い出しました。大戦斧を担ぎ並み居る敵を相手に無双した武将だと・・・」 

 綱の話に待ったをかける卜部。

 「それだとおかしい話になりませんか?あの女の子がその武将と言うのは無理があると思いますが・・・」

 綱も思案する様に頷く。
 
 「はい。仮に御存命だとしても齢百歳は超えた御老体のはずです」

 綱達が話しているのを聞いて金髪の少女は大きな声を出す。

 「それはオイラのじっちゃんだ!『坂田 金時』はオイラのじっちゃんの名前だ!!」

 




 頼光達は坂田金時と名乗る少女の話を聞く事にした。


 彼女に案内され峠の中腹にある寂れた廃寺(ここに住んでるらしい)に泊まる。

 「まず最初に謝るよ、襲ってごめんなさい」

 すまなそうに頭を下げる少女。

 そして少女は自分の事を語りだした。


 何故、坂田金時と名乗ったのか、どういう関係なのか。


 少女はポツリポツリと話し始める。