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複雑・ファジー小説
- Re: 朱は天を染めて ( No.33 )
- 日時: 2014/03/10 12:35
- 名前: Frill ◆2t0t7TXjQI (ID: 0i4ZKgtH)
第弐十九話 タダより高いモノは無し
「・・・ん、んん?ア、タシ、は・・・?」
頭からこれでもかと言うくらいの冷水を幽魔に浴びせかけられて瑠華はようやく目を覚ました。
「ヒィィィィィィぃぃぃっ!!!!」
そして眼前に立つ朱羅を見て絶叫し、四つん這いで逃げようとする。だが幽魔が立ち塞がり行く手を遮る。
「お主には聞きたい事が山ほどあるのじゃ、茨姫童子よ」
「お、お前は天邪鬼!何でお前がここにいるのだ!!」
幽魔は腰を抜かしているのか立つ事もままならない瑠華の瞳をジッと見つめる。
「・・・ふむ、どうやら火硫草は白面九尾から貰ったようじゃの。上手く口車に乗せられおってからに・・・。この菜っ葉娘は」
瑠華はギクッと動揺し傍から見ても判るほど狼狽する。
「なななな、何を言っている!アタシはそんな奴は知らない!!天邪鬼!勝手にアタシの心を読むな!!それに誰が菜っ葉娘だ!!お前は河童娘だろ!まな板!!」
「誰がまな板じゃ!!あるわ!ちゃんとあるわ!!お主は洗たく板じゃろうが!!儂が洗ってやろう!小便を漏らしたその体をもう一度綺麗に丹念にな、小便漏らし菜っ葉姫様よ!!!」
不毛な罵り合いが続き、幽魔が大量の水を瑠華に放水して黙らせる。
「あばばばばば!やめ、溺れ、死ぬ!やめ、うぶ、げぼぼ・・・!」
その様子を見ていた朱羅がさすがに呆れたように口を挟む。
「もういいだろう?話を聞いてやろうぜ、直接本人からな」
幽魔がしかめっ面をしながらも放水を止める。咳き込んで水を吐いている瑠華に朱羅が歩み寄り、その頭をガシリと鷲掴み耳元で囁く。
「・・・知っている事、全部話すんだぜ。『消され』たく無きゃな」
ビクリ、と震え硬直し、顔面蒼白になった瑠華は静かに頷いた。
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