複雑・ファジー小説

Re: 朱は天を染めて ( No.37 )
日時: 2014/03/11 16:31
名前: Frill ◆2t0t7TXjQI (ID: LTX6Bi5r)

 第参十参話 来訪者


 「・・・なんでお主がここに居るのじゃ」

 幽魔が隣に座る者に鋭い視線を向ける。
 
 「ふふふ、皆はんだけで楽しもうなんてズルいどすなあ。あちきもご相伴に御預かりに参りやしたでありんす♪」

 大江山の新築した御社、前より広くなった囲炉裏場で朱羅、幽魔、瑠華、そして何故か千璃までもが一堂を会して集合していた。

 「・・・アタシはコイツのせいで真の恐怖を味わったのだ。あれ?よく考えるとアタシ、コイツに色々と酷い目に遭わされてる・・・」
 
 瑠華が恨めしげに千璃を睨む。

 「まあ、いいじゃねえか。大勢の方が楽しいだろうぜ?」

 朱羅はそう言って酒瓶を持つ。それに合わせ皆、様々な御馳走を前にし、それぞれに盃を持ったり食べ物を口に運ぼうとした。

 すると突然、千璃が柏手かしわでを一つ鳴らし皆を注目させる。

 「ふふふ、皆はんには黙ってはりましたけど、特別なお客人はん達をお呼びしてはるんどすえ」

 そう言うともう一度、柏手を鳴らす。

 その瞬間、囲炉裏場の空いていた場所に突如として五人の人間達が何も無い空間から現れた。









 頼光達は突然のことに思考が追い付かなかった。

 夕刻になり、近くの林でそろそろ野営の準備に取り掛かろうとした瞬間、突然に身体が金縛りに遭ったのだ。それも全員同時に。

 「な、なんだ!?身体が動かないぞ!!」
 
 「オ、オイラの体、どうなっちゃったの!?」 
  
 突然の事で慌てふためく仲間達。何かしらの尋常ではない事態に陥っている事だけは確かだった。

 「動けないよ〜!綱〜!!」

 「頼光様!!くそ、どうなってる!?卜部殿!!」

 「・・・こ、これは、非常に強力な術で操作されている様です!なんとか、術で解除を・・・!そんな!?まったく抵抗できないなんて!!?」

 成す術も無く、その身を封じられた頼光達は謎の光の空間に包まれてその姿を消してしまった。