複雑・ファジー小説

Re: 朱は天を染めて 【第一部完結】 ( No.67 )
日時: 2014/03/30 22:17
名前: Frill ◆2t0t7TXjQI (ID: HpE/sQXo)

 第二部 鳴動魔道編

 第壱話 そいつの名は朱天童子


 「ぶはははっ!大人しく俺様に従いな!!俺様はあの紅蓮の悪鬼『朱天童子』様だぜえぇ?」

 巨大で醜悪な赤い肌の赤鬼が人間の一団を脅していた。手にはごつい金棒を持ち、鋭い牙を覗かせる。

 「お頭〜!コイツらどれも極上のメスばかりですぜ!!ぐへへへっ!」

 「クエックエッ!いい匂いさせやがる!!早く犯してえ!喰いてえ!」
 
 とりまきの妖魔達が下卑た視線でねめつける。

 「落ち着けえ!野郎ども!!こんなに女共がいやがるんだぜえ、十分楽しめるってもんだぜえ!!」

 朱天童子を名乗る巨大な赤鬼はしどどに垂れる涎をぬぐい、女たちを見てから男を見て、顔をしかめる。

 「・・・男は殺せ。喰って構わん。だが、女は別だぜえ!俺様の金剛棒をブチ込んで、何度でも孕ませて餓鬼を生ませてやるぜえ!!!」

 そして出張った腹を撫で、いきり立つ股間のモノを掴む。



 醜くも恐ろしい妖魔たちに取り囲まれているにも関わらず、人間たちは恐れず、むしろ呆れているようだ。

 「だ、そうじゃ、朱羅。どうやらこいつがお主らしいのお?」

 蒼い髪の少女が朱い髪の女性に言う。

 「ぷぷぷっ!朱天童子!そっくりなのだ!!」

 「かわいそうに・・・。この御仁、地獄の業火で死んでも焼かれはれますわ。あと瑠華はんも」

 「!!?」

 桃色の髪の少女と銀髪の女性が話す。

 「・・・こんな奴が朱羅様を名乗るなんて・・・!!」

 「オイラ、こいつ嫌い。殺す」

 黒髪の女性と金髪の少女が殺気立つ。

 「・・・よし、避難するぞ、虎熊。巻き込まれる前に」

 「ああ、賛成だ、竜星。姉御は怒るとおっかないからな」

 青髪の男と虎縞の男が話す。
 

 朱髪の女性は俯き、拳を握り震わせる。

 巨躯の赤鬼は朱髪の女性の前に立ち、その美しくも凛々しい顔を覗き見る。

 「んん〜?どうした、女。俺様は紳士だからな、優しくしてやるぜえ。もちろんアッチのほうも・・・」

 赤鬼は台詞を言いきる前に頭が消し飛んでいた。

 朱髪の女性が鬼の頭を潰した拳を高く振り上げたまま言う。

 「・・・てめえら、八つ裂きだぜ・・・」

 そして、その拳から凄まじい炎が噴き上がった。