複雑・ファジー小説
- Re: 朱は天を染めて 【第二部開始】 ( No.72 )
- 日時: 2014/09/04 11:35
- 名前: Frill ◆2t0t7TXjQI (ID: yE.2POpv)
第六話 旅は道連れ、世は行き当たりばったり(後編)
「・・・う、う〜ん・・・おっぱいがいっぱい・・・おっぱいに潰される・・・」
苦しそうに小さく呟き、何か悪夢にうなされる天狗の少年。
ここは先程街道沿いにあった茶店の奥座敷。朱羅と黄猿は気絶した少年を連れて一度戻り、店の主に行き倒れの子供を見つけたと言って療養のため借りたのだ。
その広くはない畳の床の間に寝かされていた。
「おーい。大丈夫か、坊主?」
朱羅が少年を膝枕しながら、その頬をペしぺしと軽く叩く。
「・・・う、ん? ・・・こ、ここは・・・?」
「あっ。眼が覚めたみたい朱羅様」
気が付いた少年は大きな瞳をパチクリしながらゆっくりと辺りを見廻し目の前にそびえ揺れる大双丘を凝視して真っ赤になる。
「うわっ!? ええっ!? 貴方達は!!?」
自分が置かれた状況を理解し慌てて飛び起きようとするが、朱羅にガッチリと抑え込まれて身動きがとれず狼狽する少年。
「落ち着けって。別に取って食う訳じゃないぜ? お前には聞きたいが山ほどあるからな」
「そうだ。何故峠を封鎖していたのか? その理由を教えろ」
朱羅と黄猿がズズイっと詰め寄り少年を取り囲む。
ふたりからは並みの妖魔とは比較にならぬ妖力を肌に感じた少年は冷や汗掻き、たじろぎながらも観念したように溜息を深く吐いた。
「ふうっ・・・。おふたりともどうやら大妖魔級の方々ですね。判りました、お話しましょう。何故、街道を封鎖していたのかを・・・」
そして少年は語りだした。
峠の頂。
昼間だと言うのに濃い深い霧に包まれ視界さえも不確かな場所。
そこにたいそう豪奢な屋敷が鎮座し、居を構えていた。
その屋敷の中枢、奥の大広間。
「ああっ・・・もっと、もっと・・・」
「あふんっ! たまらないっ!! もっとっ!!!」
「私を壊してぇ・・・極楽に逝かせてぇ・・・」
艶めかしい、艶やかな女たちが惜しむことなく美しい裸身を皆一様に晒し思い思いに享楽に耽り、まるで酒池肉林の桃源郷の有り様を醸し出していた。
そして女たちは口を揃えて快楽を求め訴える。
媚肉が集う塊の中心に一際濃密にむせ返る淫臭と淫靡さを讃え、女を貪るように掻き抱くひとりの美女。
「ああっ!!! 凄いっ! 凄いです!! 気持ち良すぎて死んじゃいます〜!!! 亜螺羽様〜!!!!」
女を貫く凶悪かつ強靱な巨大な異物。
「ぐううぅっ!! いいだろう、死んでしまえっ!!! 享楽と共に果て逝くがいいっ!!!! うがぁあああああっ!!!!!」
絶叫と共に美女の背中から雄々しい黒い翼がそびえそそり広がる。それは歪ながら美しく女を人外魔境の者と知らしめるには十分だった。
漆黒の翼を震わせる美女は唐突にドシャリと先程まで抱いた女を無造作に放り投げた。
女はビクビクと無様に痙攣しつづけているが表情は幸せそうだった。
「・・・足りない。この程度の女では満たされない・・・女を、もっとたくさんの女を・・・!!!」
美女の双眸に暗澹の光りが射し暗い影が落とされ、次の獲物を狙うように煌々と輝いた。