複雑・ファジー小説
- Re: 猛獣を手繰り寄せる、瞳のさきには。 ( No.2 )
- 日時: 2014/03/16 12:15
- 名前: 羽瑠 ◆hjAE94JkIU (ID: Aj4Ev7bA)
*Chapter1 世界の終わり。
For Plot 1 人類の終結。<Sara’s Eyes >
ジンルイガ、ジンルイヲ。ショウキョシマシタ。消去シマシタ……!
「嗚呼。もう、楓。うるさいから。黙っててって!」
了解イタシマシタ。データヲ、スベテ削除シマス。
嗚呼。私の知らないうちに、人類は滅亡してしまった。
不老不死の能力を、兼ね備えていた。私以外は。
この星中。いや、この宇宙の果てまでも。
私以外の人類は、すでに。絶滅してしまった。
あは。あははははははは。
幼い私には、訳が解らなくて、けらけらと笑う。
ぼろぼろと。泣く。なく。泣く。
うわわん。うわわああああん。
どうしてなんだ。どうしてなんだ……?
何時から、時計の針は。狂ってしまった……?
嘘が真実に変わり。人間が悪人に変わり。
友情が、妬みに変わり。愛情が、憎しみに変わり。
何時なんだよ。いつから、人間はこんなに変わってしまった?
嗚呼。ぼろぼろ。ぽろぽろ。ぼたん。べしゃん。
泣いてもしょうがないのに。涙が止まらない。
私を慰めてくれる人さえ。居ない。
誰も、存在しないのだ。でも、消えてから。
誰かに慰めてもらいたいと、想ってしまう。
嗚呼。私も、人間なんだな。自分自身さえも、憎い。
黄金色の瞳から、とめどなく雨が降る。
水色の髪は、もの悲しいほど、さわさわと揺れる。
これこそ、まさに。人間の”嵯峨”よね。
全てが、消えてから。今更。気が付くなんて……!
嗚呼。泣きたい。誰かの胸のなかで、泣きたいよ。
一角獣の朝緋(あさひ)に跨ったまま。
とめどない、蒼い碧いそらの元で。
海の中で、迷い込んでしまったトビウオのように。
ぷかぷか。浮かぶ。ぷかぷか。ぶかぶか。
朝緋は、私の事を心配するように見つめる。
楓も、朝緋も。ありがとうね……?
ぐしゃぐしゃの顔を思いっきし、拭いて。
とりあえず、二人に向かって笑顔を手向けてみる。
サラハ、笑顔ガステキデス。ソンナサラガ、ダイスキデス。
肩に留まった楓が、片言ながら呟く。
嗚呼。そんな事言われたら。
苦しくても。生きてゆかなくちゃ、いけなくなるでしょう……?
ぽろぽろ。ぼろぼろ。さっきとは違った味の。
優しい。柔らかい、涙が。頬を通り抜けて。
やっぱり。あなたは、いつまでも。
幸せのあおい鳥さん、なのね。
なんだか。哀しい気持ちも、ふっとんだみたい。
彼女の物語は、まだ。始まったばかり。
もう。絶対に、諦めたりしない。
ひとりぼっちでも、私は生きてゆくから。
だから。涙を拭いて。歯を食いしばって。
目には、目を。歯には、歯を。
爪には、爪を。牙には、牙を。