複雑・ファジー小説
- Re: シークレットガーデン 〜小さな箱庭〜 ( No.104 )
- 日時: 2014/04/30 11:11
- 名前: 姫凛 (ID: I3friE4Z)
「ABcDの四つのブロックで各国の凄腕の猛者達を集めたアリーナコロシアム。ですが、なっなんとーー!猛者達は皆敗れ、生き残ったのは無名のこの三人だーー!!」
「「オォォォォォ!」」
リングにはルシア、ヒスイ、ムラクモ、の三人が立たされている。観客たちは、人を天高く舞い上げたムラクモと、カンフー兄弟を一撃で倒したヒスイの、殺し合いを楽しみで楽しみで仕方がないようだ。
「さぁー、この三人がどんな殺し合いを見せてくれ…」
「待った!」
「「えっ?」」
司会者が決勝戦を開始ししようとしたその時、ユウが割り切り阻止したのだ。会場はざわざわとざわめいている。
司会者も鳩が豆鉄砲を食ったような顔をして口をちょぼちょぼしている。
「決勝戦は、原則四人での殺し合いだよね?」
特別席で優雅に座ったまま、ユウは司会者に聞く。司会者は分厚いコロシアムルール書をパラパラッパラパラッめくりすごい勢いで内容を確認したと、
「し、しししかしユウ様っ、Dブロックの勝者は逃げ出し始末されたので……三人で行ってもよいと…」
ルール書をチラチラ見て確認しながら、恐る恐るユウに意見を言う。ユウは司会者の頑張りを鼻で笑い、
「フッ、なんのためにボクがいるんだよ」
「な、なんとっ!?」
ユウはゆっくりと椅子から腰を上げ立ち上がる。隣にいた執事はゆっくり頭を下げ
「いってらっしゃいませ、ユウ様」
と言い後ろに下がった。ユウは何も答えずに、特別席から身を乗り出しリングへと飛び降りた。
「お、おーーーと!なんと!なんとーー!我らのユウ様が、まさかの参戦だーーー!!」
「やはり来たか…」
「ムラクモ…さん?」
「………」
ムラクモの額には冷や汗が流れていた。ヒスイは周りの音を聞いている。唯一どうしたらいいのかわからない、ルシアは剣を抜かず立ったままだ。
「どうも初めまして、このコロシアムのすべてをしきっているユウと言います。ま、覚えなくていいけどね」
ユウは不気味な笑みを浮べそう言った。ルシアは別に初めましてじゃない、と思ったが今はあの睡眠薬入りのジュースの事はいい、それよりも、だ。
「すべてって事は、シルさんを景品にしたのもあなたが?」
「シル…?」
ユウは腕を組みんーと首を傾げ考え込んだ後、あぁっと目を見開きまた不気味な笑みを浮かべ
「あぁ〜、あの雌豚の事ですか」
「豚って!」
「何が言いたいんですか?豚は豚でしょう?家畜をどうしたってボクの勝手でだろ?」
悪びれる事もなく当然だと言い張るユウを見て、ルシアの何かがプチッと弾け飛んだ。
「シルさんは、家畜なんかじゃないっ!!人だ!!」
思いっきり腰から剣を抜き、ユウに向けて剣を向けた。
ユウは動じずに不気味な笑みを浮かべたまま
「ふんっ、ここはコロシアム。力こそがすべて強者こそが支配者。そんなにあの豚が欲しいなら、ボクを殺して奪っていきなっ!」
ユウは天を見上げ両腕を天に向け高く上げると大きな声で
「出でよ、ファヌエル!!」
と叫けび天高く上げていた腕を勢いよく下に振り下ろした。すると上空に巨大な魔方陣が現れたのだ。それはまるでザンクが、アルミサイルを召喚した時のデジャヴのような…光景だった。
ユウは飛び上がり特別席へと戻り、リングは三等分に別れ、それぞれの足場に一人ずつ分けられた。
上空に現れた魔方陣は、だんだん光り輝やき始めそして
「グオォォォォォン!!」
大きな雄叫びをあげながら、巨大な闘魚が魔方陣から降って来たのだ。
ファヌエルは三つに分けられたリングの中央へ落下し、凄い水しぶきをあげそれは全てルシア達にかかってしまった。
ユウは特別席の椅子に座り、ゆうゆうと高みの見物で
「フハハハッ、さぁ久々の御飯だよっ、た〜んとお食べ」
不気味な笑みでファヌエルに言った。執事は血で作られたジュースと人の肉で出来たケーキを持ってユウの元へ戻って来た。ユウはそれを美味しそうにモグモグと食べ、楽しそうにルシア達がファヌエルに殺されるざまを見ようとしている。