複雑・ファジー小説
- Re: シークレットガーデン 〜小さな箱庭〜復帰! ( No.124 )
- 日時: 2017/01/31 08:58
- 名前: 姫凛 (ID: sxkeSnaJ)
-スキップ物語-(第四章)
虚ろ意識の中、ルシアンは何処かで聞いた事のある声の主達が話しているのを聞いた。
話している内容はよくわからなかったが、ただ一つだけわかったことがある。
それは、ヨナをさらった憎き宿敵が叢と言う名前だということだ。
虚ろな意識の中でも゛あいつ”の声だけは聞き逃さなかった。
いや 聞き逃すわけがない。あいつはルシアにとってたった一人の大切の家族を奪った憎き仇なのだから。
声の主たちが出て行く音を聞いた後 目を開けるとそこは鉄筋コンクリートで出来た寂しい部屋だった。
とにかくここから脱出し仲間と合流せねばと、ドアに体当たりすると案外 ドアは脆く 簡単に崩れ道が開けた。
外の通路も鉄筋コンクリートで出来ていて迷路のような作りになっていた。
日頃から狩りで鍛えてきた 勘を頼りに歩いていると、なにやら難しい顔をして考え込んでいるムラクモを発見した。
ルシアは知り合いを見つけて嬉しくなり声をかけるが ムラクモをビックリさせてしまった。
正義感の強いルシアは 此処は危険だからとムラクモを(半ば強引に)引き連れて脱走する事にしたのだった。
此処は迷宮だ。
ふとルシアはそう思った。
あれからもう何時間たったのだろうか…?
一向に出口が見えてこない。ずっと鉄板コンクリートの通路だから方向性を見失いそうになる。
あっちこっち彷徨っていると 兵士の休憩室の様な場所に辿り着いた。
その部屋では二人の兵士が 煙草を片手に仕事をサボり愚痴大会を開いていた。
「おれっ、あいつらから聞いたんだ。この椿の牢獄の何処かに隠し階段があってその先が外の世界につながってるって…」
兵士たちの会話から有力情報を得たルシア達は 隠し階段を目指すことにした。
案の定 隠し階段は魔物の巣と化していた。
だがこれまでの旅で成長したルシアの敵ではない。
ムラクモも中々に強い。もしかすると一顧戦隊並かもしれない強さだ。
あと少しで出口! こんな魔物の巣窟から脱出できると思ったその時
「うぐ」
ムラクモのお腹を鉄の重い分銅が直撃する。
敵の攻撃だ。
敵の名はロックスと言い。武器は鎖鎌。自称ムラクモの彼氏らしい…。
椿の牢獄 監守のロックスVS体力を消耗しきったルシア&深手を負ったムラクモのバトルが幕を開けた。
ルシアは傍聴人。事実上はムラクモとロックスの戦いだ。
ロックスは深手を負ったムラクモに対しても容赦攻撃を繰り出す。
勝敗は最初から決まっていた物かと思われたが——
油断した。
勝利を確信した者 あるある 勝利を確信すると気が緩んでヘマをする。
ロックスもまたそのたぐいだった。
彼の投げた分銅があらぬ方向へ飛び、天井に配線されているパイプにくくり巻き付いたのだ。
そのチャンスをムラクモのは見逃さない。
たとて卑怯だの 卑劣だの 罵倒されようとも
ロックスを斜めに切り裂いた。虫の息のロックスを容赦なくめった刺しにしてモザイク無しではお茶の間には流せない状態
ただの肉塊と化した——
猛烈な吐き気に襲われる。
…が吐かずに出口を目指す。またいつ次の追ってが来るかわからないから。
外に出ると真っ暗だった。
灯りのない真っ暗な夜。此処が何処なのかまったくわからない。情報がなかった。
シュッ。
闇雲に歩いていると、ナイフが飛んできてムラクモの頬を掠めた。
頬から血が流れ落ちる。
投げた主と戦おうとしたムラクモだったが
投げた主は以外にもムラクモの流した血の臭いから
ドラゴンネレイドだという事を知り、自らの家へ招き入れた。
ムラクモが何故 自分がドラゴンネレイドだと知りながら招き入れたたかと聞くと
「…同族だから」と彼女は静かに答えた——