複雑・ファジー小説
- Re: シークレットガーデン 〜小さな箱庭〜復帰! ( No.125 )
- 日時: 2017/01/31 09:36
- 名前: 姫凛 (ID: sxkeSnaJ)
-スキップ物語-(コロシアム編 )上
ルシアが目を覚ますとそこまた見知らぬ部屋だった。
壁の色はタンポポ色。壁に駆けられている写真には 若い男女と小さな女の子の三人家族の写真が飾られていた。
ここはあの写真の家族の家かなと考えているとドアがガチャと開く音がした。
ヨナ?
いや違う 違う女の子。
齢十くらいでヨナと同じくらいの背丈の子。写真に写っていたあの女の子だ。
彼女の名前はエリスというらしい。
ご飯が出来たので呼びに来てくれたようだ。
起きたばかりで 眠気まなこな頭では上手く考えられない…。
どうして…自分が…此処に…
ああ!! 暫く 悶々と考えながら頭を右へ 左へ 揺らしていたら思い出した!
自分の身になにがあったのかを! エリスが言っていたお連れの人が誰なのかを!
慌てて急いで部屋を出ようとしたが 気づけば今の自分は真っ裸だ。
これはいけないっとエリスが用意してくれていた 和服に着替える。…のが着物というものは着慣れていない素人には大変に難しいものだった……。
なんとか着替え部屋を屋で見ると ここは二階のようだ。 階段を下りていくと
「あっ、お先に失礼してまふっ」
モグモグと朝ごはんをほおばって食べているムラクモの姿があった。
なんだかハムスターの食事シーンのようなだ。あの膨れている頬には食べ物が詰まっているのかな?
テーブルの上にはルシアがまだ見たことのない 美味しそうな料理が三人前並んでいた。
おや?三人前?
いただきます。と一口食べてみる。
美味しい!
味は素朴だが家庭的でお袋の味といった感じの なんだか懐かしい気持ちになるお味だった。
不意にムラクモからロックスに受けた怪我は大丈夫かと聞かれた。
ルシアは傷口を見てみたのだが…。傷がない 完治したというよりもこれは、初めから傷なんてなかったと言うべきだろうか。
よくわからない現象にルシアは疑問形で答えておいた。
話しはそれ、ここは和の国と呼ばれる場所らしい。
いつのまにやら海の国にいたルシアは国境を超えていたらしい。
ルシアの服はリフルと言う旅商人がくれた物らしい。何処かで出会ったらお礼を言わないとな…と思う 律義なルシアだった。
さて話の議題はこれからのことになる。
まずははぐれた仲間 ランファ シレーナ リアと合流するべきだろう。
だが情報が全くと言っていいほどない。何もないのだ。 はてなにから手を付ければいいものか…。
「…貴方達、腕に自信は?」
どうしようかと悩んでいると不意にエリスがそう尋ねた。
どうやらこの先にあるコロシアムでビックな景品が出るとかで 世界中の色々な猛者や著名人が集まっているらしい。
沢山の人が集まるコロシアム。
もしかしたら仲間たちの事を知る人もいるやもしれない。
ルシア達は最後までそっけのなかったエリスと別れ、コロシアムへと向かうのだった。
朝ごはんにと用意された料理が、三人前しかなかった事が心残りだった。
だがその事をエリスに訊くにはまだルシアとエリスの絆の強さが足りなさすぎだ。
今はまだ他人に心を開けないでいるエリスの闇を浄化する事は出来ないのだ——
- Re: シークレットガーデン 〜小さな箱庭〜復帰! ( No.126 )
- 日時: 2017/01/31 10:24
- 名前: 姫凛 (ID: sxkeSnaJ)
-スキップ物語-(コロシアム編 )中
一歩 外に出てみればそこは不思議な世界。不思議の国のアリスになったような気分だ。
和の国
別名サムライの国。鎖国国家で他国との交友を一切禁じられている。
そのため他の国にはない独自の文化を誇っている。
国民は皆 着物と呼ばれる衣装を身にまとい 男はちょんまげと呼ばれる不思議な髪形をしている。
日本刀と呼ばれる細い剣をを扱う剣士をこの国ではサムライと呼んでいる。
コツ
コツ コツ
コツ コツ コツ
なにか軽い音が聞こえる。音がする方を見てみると
翡翠色の美しい髪で若草色の蝶の模様が入った着物を着ている少女が、棒切れのような物でコツコツと地面を叩き
そこに何もないのかと 確かめながら 一歩 一歩 ゆっくりとルシア達の方へ歩いて来ていた。
「(…目をつぶってる…あの子、目が見えないのかな?)」
ルシアは少女が目をつむり不思議な歩き方をしているのが気になり
「(あの女…只者ではないな)」
ムラクモは少女から感じるただならぬ気配を感じ取り警戒している。
彼女に見とれているとすれ違いざまに 不意に声をかけられた。どうやら彼女もコロシアムに行きたようだ。
目的地が同じなので一緒に行くことにした。彼女の名はヒスイと言うらしい。
「「オォォォオォォォ!!!」」
さすがコロシアム。熱気であふれている。
すごいなぁと感心しているとコロシアムのチラシを貰らった。
そういえばエリスが言っていたビックな景品ってなんだろうと、何気なくチラシを見てみると
「ッ!!?」
唾を飲む内容が書かれていた。
景品はなんと 競馬大会でお世話になった あのシルだったのだ。
友を救うため迷わずルシア達もコロシアムへ出場することを決める。
ルシア的にはムラクモとヒスイには参加してほしくなかったのだが…誰か一人でも友情できればシルを救えるのだ。
だからごめんっ手伝ってと二人にお願いしたのだった。
コロシアムのルールは四つのブロックで別れたバトルロイヤル式。
各ブロックで参加者たちは殺し合いをし、生き残った合計四人でまた殺し合いをして
最後の一人が優勝とゆう仕組みだ。
Aブロックはムラクモの圧勝。
続いてBブロックではヒスイがカンフー兄弟を倒し、他の出場者に棄権するように伝えるがその言葉に誰も耳を傾けない。
凄腕の猛者たちが一斉にヒスイに襲いかかったそのとき
ヒュゥ〜〜〜ウ
冷たい風がコロシアムに吹いた。
地面が凍っていく。やがてそれは足元を伝ってヒスイ以外の猛者たちを飲み込んでゆく。
数分の出来事だった。
ヒスイ以外の猛者たちは皆 氷のオブジェと化したのだ。
「ほんま、怖い人達やわ。こんなか弱い少女大人数で襲い掛かるやんて…」
凍り付いたリングの上に突如現れた女。名をナナと言い、ドルファ四天王の一人 裏社会のボス。
ナナはヒスイに優しく声をかけたあと、ユウ、次にムラクモ、そして最後に
ルシアを睨みつけたのちヒスイと一緒にリングを出て行った。
その後、係りの者たちが生きたまま氷漬けになってしまった猛者達を回収して回る。
だがもう彼らが生きて今までどうりに生活することはない。
なぜなら海に捨てられるか、死体置き場に捨てられるかだ。
ここでは“敗者に用はない”
Cブロックはルシアが Dブロックはモブが 勝ち残ったが特に何もなかったので割愛。
モブは割愛されたショックにその場を逃げ出し係りの者達の手によって始末された。
- Re: シークレットガーデン 〜小さな箱庭〜復帰! ( No.127 )
- 日時: 2017/01/31 11:03
- 名前: 姫凛 (ID: sxkeSnaJ)
-スキップ物語-(コロシアム編 )中
決勝戦が開幕される——
コロシアムの決勝戦は原則 四人で行う事。
だがDブロックのモブは始末された。
ここにはルシア ムラクモ ヒスイの三人しかいない。
あたふたする司会者をユウは嘲笑う。
ボクがいるじゃないか……と。
リングの上へユウは降り立ちルシア達へ挨拶をする。
こいつがコロシアムの王。シルを雌豚 家畜と侮辱しコロシアムの景品とした張本人。
「出でよ、ファヌエル!!」
と叫けび天高く上げていた腕を勢いよく下に振り下ろした。すると上空に巨大な魔方陣が現れた。
それはまるでザンクが、アルミサイルを召喚した時のような…光景だった。
ユウは飛び上がり特別席へと戻える。リングの足元が三等分に別れ、ルシア達はそれぞれの足場に一人ずつに分けられた。
上空に現れた魔方陣は、だんだん光り輝やき始めそして
「グオォォォォォン!!」
大きな雄叫びをあげながら、巨大な闘魚が魔方陣から降って来たのだ。
あの闘魚がファヌエル。 ユウが召喚獣だ。
ファヌエルは三つに分けられたリングの中央の水辺へ落下し、凄い水しぶきをあげる。その水がルシア達にかぶさる。
ユウは特別席の豪華な王の椅子に座り、ゆうゆうと高みの見物だ。
ファヌエルの体は鋼鉄で出来ている。生半可な攻撃では歯が立たない。
ルシア達は苦戦を強いられる。
ぽたんっ。
ヒスイは目が見えない代わりにその他の語感が通常の人よりも発達しているのだ。
水の音を聞きファヌエルの行動パターンを把握した。
水しぶきをあげ跳びあがるファヌエルとすれ違う一瞬の瞬間 閃光がはしった。
ファヌエルが水に落ちた瞬間、ヒスイも刀を鞘に終う。
これはほんの秒数単位の出来事だった。
なのにスローモーションを見てるかのように 永遠に感じられるような一瞬の出来事だった。
「グハッ!」
硬直した時を動かしたのはユウの吐血音だった。
我に返った観客たちからは 歓声や悲鳴 様々な声があがった。
その光景にあっけにとられる ルシアだったが地面に剣を落とすムラクモの姿を見て 自分のすべきことを察する。
司会者もまた武器を置いた二人を見て 自分の今すべき仕事を思い出す
「ユ ユウ様が敗れ 二人が武器を置き棄権した…」
吐血しながらもユウは試合続行を望むが
「……ゆ、優勝者は……」
コロシアムにおいてルールは絶対。それは決勝戦が始まる時 ユウ自らが言った言葉だ。
「盲目の剣士、ヒスイだーーー!!新チャンピオンの誕生だーーー!!」
ヒスイの優勝が決まった瞬間だった。
観客たちからは惜しげの無い 拍手と声援がヒスイに贈られる。
この喜びをムラクモと一緒に喜びたいルシア。
…だけどどこを探してもムラクモの姿はなかった。
アリーナコロシアム地下深くのとある場所。
この場所の事はコロシアム関係者のごく一部の者しかしらない秘密の地下室。
此処には大量の火薬や爆弾が隠されている。
その威力はコロシアムどころか、和の国そのものを跡形もなく吹き飛ばし灰にきす程の威力を秘めている。
何故、コロシアムの地下にそんなものが隠されているかというと…それは。
「ハァ…ハァ…」
腹を押さえ、おえっとまた血を吐き、壁に手を付き足を引きづり、苦しげに呼吸しながら
此処。秘密の地下室へとユウが下りて来て
「まだ…だ、ボクはまだ、負けてなんか、いない」
地下に隠してある爆弾の中で最大級の破壊力を持つ、とある兵器の前で立ち止まった。
「これだ…このスイッチを押せば……コロシアムごとあいつらを……フフ…アハハ……ぁぁっ」
壊れた。彼は壊れてしまった。
彼はすべてを巻き沿いにし自滅をはかろうとした。
…が
「…?」
腹に違和感を感じる。ゆっくり視線を下へ向けると、剣が腹を貫いていた。
ゆっくり後ろを振り返ると仲間だと呼ばれていた過去の戦友の姿が、そこにはあった。
「ム……」
彼は最期の力で奴の名を呼ぼうとしたが
「敗者に用などない」
「ぐぅ……あぁ…ぁぁぁ」
言い終える前に突き刺された剣が抜かれ、原型がなくなるまでにぐちゃぐちゃに切り裂かれた。
かつて戦友であった者のなれの果て 今はただの肉塊から剣を抜くと
「すべては、王の望むままに……」
奴はその場を立ち去っる。友の目には一滴の水が流れていた。