複雑・ファジー小説
- Re: シークレットガーデン〜小さな箱庭〜 ( No.13 )
- 日時: 2014/04/09 16:28
- 名前: 姫凛 (ID: 4sTlP87u)
第一章 物静かな看護師の闇 -荒くれザンク編-
「………ん」
「…目が覚めた?」
ここは寂れた村にあるボロボロで今にも崩れそうなルシアの家。
あの忌まわしき事件からもう数週間も経っている。意外にもルシアのケガは数日で治り、すぐにいつも通り生活が送れるようになっていた。
だが逆にランファのケガは深く何日間も意識不明が続きやっと今この時目を覚ましたのであった。
「はっ!ヨナちゃんはっ!?」
慌てて飛び起きたランファはしっかりとした目つきでルシアを見つめしっかりとした口調で言った。
それを聞いたルシアは静かに俯いて悲しそうな顔で首を横に振る。
「………ごめんなさい。あたしが、余計な事をしたばっかりに……」
申し訳なさそうに頭を下げるランファを見てルシアは目を丸くし、
「いや、いいんだ…。あの時、君が割り込んで来てくれなかったら僕は死んでた」
ランファの手を優しく握りしめ、
「もう二度とヨナを助ける事ができなかった。また助けてくれてありがとう」
「………」
ランファはまだ己の罪を許せていないのか、うつむき黙り込み優しく握りしめてくれたルシアの手を見つめる。
しばらくランファの手を握った後、ルシアは優しく手を放し何処かへ出かける準備をし始める。
「ケガが治るまでこの家でゆっくりしていきなよ」
「ありがとう…でも、貴方は?」
黙々と準備をしていたルシアの背に寂しそうなランファの声が伸しかかる。沈黙の後、
「僕は…旅にでるよ。………あいつからヨナを取り戻すんだ」
と言ったルシアの瞳には大きな決意を固めた炎がメラメラと燃えているようであった。それはまるで復讐心にも似た炎だった。
「待って!」
ベッドから立ち上がりランファは旅立とうするルシアの背中にしがみついた。なぜいきなりこんなことをするのか全くわからないルシアは返答に困る。
だがそんなのお構いなしとランファは自分の思いをぶちまける。
「あたしも連れてって!!」
「え…でも、君はケガしているし。…それにこれは僕の問題」
「君には関係ない」と言いかけたルシアの言葉を遮り、ランファは強い口調で固い信念のようなものを語る。
「あたしにも責任があるの!!………未来を変えたいの!!」
「…未来を変えたい?」
「はっ!?はああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!」
よくわからないと言った顔でルシアが聞き返すと、急にランファはゆでだこのように真っ赤に染まり湯気まで出し。
顔を手で覆い体を丸め「イヤイヤ」と「恥ずかしい〜〜」と悶絶し始め、
「ど、どうしたの?」
ルシアがどんなに声をかけても無視で一人でヒートアップしパニック状態でまた心の声がだだ漏れ状態に…。
「(ニャーーーー!!ヤバイー!未来の事、絶対に他人無言って言われてたのに〜〜〜!!ついっ言っちゃったぁ〜〜〜!!あたしのバカバカァァ」
ポンポコと自分の頭を叩きだした。全く状況が把握できていないルシアは取り敢えず
「…えっと、もしかして……ランファは未来人なの?」
と聞いて見ることにした。…が返ってきた答えは
「ちゃっ、ちゃんねんっ!」
「………ちゃうねん?」
だった。
「あ、あたしはそう!超すごい占い師で超超能力者なのーー!」
とっさに作ったような話をしだすランファだったが
「占い師と超能力者って矛盾してない?」
天然なのかルシアは普通に聞き返す。
「してないしてない、してないでよ〜〜とっ。あはははは〜〜」
…が適当に受け流がされ「この話は終わり」と無理やり中断させられた。
「で、旅をするってまずどこに行くの?」
半ば強引的に仲間になったランファは色々な荷物を持つルシアの横を手ぶらでゆうゆうと歩く。
「う〜ん、まずは僕がいつも仕事を貰っている隣町に行こうかなって。あそこならいろんな情報が行き来してるだろうし。」
「ふ〜ん、隣町ねぇ〜」
なにやら意味深な顔で言うランファにルシアは少しちゃかしを入れて
「ん?隣町でなにかあるの?占い師さん?」
と聞いてみたが
「さぁー、過去が変わったから未来も少し変わってるだろうから、歴史のことはわっかんないなぁ〜」
「……れきし?」
期待していた返事とは全く違うものが返ってきた。
「あっ!ううん、今のなし!なんでもない、あたしのただの独り言っ」
すぐにまた「なんでもない」とお茶を濁し話をうやむやにする。
「……??」
さすがに少し変だと思うルシアであったが、二度も助けてくれた命の恩人を疑うのはさすがに失礼だと、これ以上ランファに探りをいれるのはやめようと思った。
それに、こんな有頂天でバカッぽい子供にそんな器用な事ができるわけないと思ったからだ。
- Re: シークレットガーデン〜小さな箱庭〜 ( No.14 )
- 日時: 2014/04/09 16:34
- 名前: 姫凛 (ID: UMqw536o)
隣町。隣りといってもルシアの住む村からかなり離れており、町まで行くのに二日はかかる距離にある。
だが村の近くにある人が住んでる場所はそこしかなく、自然に村人たちは隣町と呼ぶようになった。
「ふぇ〜〜結構、広い町だったんだ〜」
村に比べたらそれなりに大きく沢山の行商人が行き交う商人の町。
町の入口で大きな口を開けたランファは目をまん丸にし興奮気味な声でもの珍しそうにキョロキョロと建物や人々を見ている。
「うん。住んでる人はお年寄りばかりだけど結構大きな町なんだ」
「ふ〜ん…」
簡易に町の説明をするルシアの話をランファはどこか物悲しいそうに町や人々を見つめながら聞いていた。
ルシアは町ではちょっとした人気者で少し歩くだけでいろんな人たちに声をかけられる。
「ルシアちゃん、こんにちは」
「あ、こんにちは。おばさん」
「いつもお手伝いありがとねぇー」
「いえ、僕の方こそありがとう」
「おっルシアじゃ、ねぇーかぁ」
「こんにちは。おじさん」
「なんだぁ、ルシアのくせに女連れかぁ〜このこの〜」
「いっ、いやそんなんじゃないですよっ」
「おやルシアちゃんかい?」
「おばあさん、こんにちは。」
「こんにちは。ヨナちゃんの容態はどうだい?」
「……元気ですよ。まだ咳が止まらないみたいだけど」
「そうかい…それは大変だね」
ルシアのそばで黙って歩いていたランファはそばに歩み寄り小声で
「人気者だねっ」
「…うん。みんなも貧しいはずなのに僕とヨナのために仕事をわけてくれるんだ…」
「だからホントのことを言えないとっ」
「…うん」
ヨナが連れ去られた事は誰にも告げずたった一人で探す予定だった。少々想定外のランファが強引についてきたが誰にも告げづにというのは変わらない。なにか大きな事件が起きない限りは…。
沢山の商店街が立ち並ぶ隣町一番の目玉商店大通り。今日も沢山の人々が集まり行き交う。
「目玉は絶対行かないとっ」とゆうランファに連れられルシアも渋々商店大通りを行き交う人々の中へを入って行く。
「きゃっ!」
「あ、ああ……すみません」
ランファが通行人と肩をぶつけ声をあげる。ルシアはすぐにランファの元へ駆け寄りぶつかった通行人に視線をやる。
「大丈夫、ランファ?……ってジェームズお爺さん!?」
ぶつかった通行人はルシアがいつもお世話になっているお爺さんだった。
お爺さんは泣きながら地べたに膝を付きすがりつくかのように、
「お、おお……ルシア君かぁぁぁ」
ルシアの腰にしがみつき顔を伏せて
「ど、どどうしたの?」
「シレーナが……シレーナが……」
とオロオロと同じことを繰り返し言い出した。シレーナと聞いてルシアもお爺さんの肩を掴み強い口調で、
「シレーナ!?シレーナがどうかしたのジェームズお爺さん!?ねぇっ!?」
と聞いて見るがやはりお爺さんは同じことしか繰り返さない。それをみかねたランファは
「いやっ、貴方までパニックちゃっだめでしょっ」
と二人をどおどおとなだめ落ち着かせた。ふぅーと一息ついた後、お爺さんは気を取り直し我に返り、
「と、ととりあえず家に戻ろう。……連絡がきとるかもしれんしのぉ」
「……れんらく?」
まだ状況がわかっていないルシアだったが取り敢えずはお爺さんの言う通り彼の家へと向かうことにした。
「(これは……事件の匂いですよ〜。にひひひ……)」
なにか変な方向で楽しむランファの事はひとまず置いといて、町の北側にある大きく立派な一軒家の中へお邪魔する。
家の中はほぼ植物達の世界といった感じで、植物園のように色とりどりの植物がいたるところから生えていた。
…だが決してゴミ屋敷というわけでなくちゃんと人が暮らすスペースもある。
客室へと案内され、ついでにお茶と菓子を用意してもらい改めて先ほどの話の続きを聞く。
「で、なにがあったの?おじいさん」
「……シレーナがぁぁぁぁ」
また同じ展開を繰り返しそうなお爺さんに向かってビシッと厳しくランファは、
「またかいっ!いい加減落ち着きなぁーほんとにもぉ〜クソジジイがぁ〜」
「…………」
と言われたのが相当傷ついたのか、お爺さんはうつむき何も話さなくなってしまった。
「シッ!それだけショックな事が起こったんだよっ」
慌ててお爺さんにフォローを入れ優しく聞き返した。
「お爺さん、ゆっくりでいいから僕たちにわかるように話して?」
しばらくの沈黙の後。お爺さんは重たそうに口を開き、
「………じつはな」
かけたが
「あっ待って!」
「え?なに?」
なぜかあれほど話させようとしていたランファがお爺さんの言葉を遮った。
ルシアもお爺さんもどうして?と言いたげなポカンとした顔でランファを見つめる。
「今から回想シーンに入るんでしょ?」
お爺さんは無言でコクンとだけうなずく。
「じゃっ、効果音入れないとっ!」
「……こうかおん?」
ルシアの質問はガン無視で自分のペースで進めてゆき、
「はいっ!シュワワ〜ン」
「しゅっ、しゅわわ〜ん……?」
訳わからないながらもランファの言うとおりに効果音なるものを入れ、お爺さんによる回想シーンなるものへと突入するのであった。
- Re: シークレットガーデン〜小さな箱庭〜 ( No.15 )
- 日時: 2014/04/09 16:40
- 名前: 姫凛 (ID: i8PH9kfP)
あの日も今日と変わらない平凡でなにもないだけどそれが幸せな朝じゃった。
朝起きるといつものようにシレーナが朝ごはんにワシの好きなスクランブルエッグのせトーストを作ってくれたんじゃっ。
絶妙なふわとろ感でのぉ〜一口食べただけで頬が落っこちてしまうほどじゃぁ。
「…はい。できたよ」
「おぉ〜いつもながらにおいしそうじゃのぉ〜。たまごがふわっふわっじゃぁ〜」
「……フフフ」
シレーナは笑うことに慣れておらんから少し薄気味悪い笑い声に聞こえるかもしれんがこれは彼女の精いっぱいの笑い声なんじゃっ。勘弁してあげてぇのぉ〜。
「これなら誰の嫁にいっても心配ないのぉ〜」
「………え?私お嫁にいく予定なんて…ない」
「ふぉっふぉっ。まぁ、そうゆうことにしておこうかのぉ〜」
「……?」
あの子は照れ屋で結構な鈍感じゃから、自分の気持ちもあんましようわかっとらんのんじゃろう。
じゃからこそっ!ルシア君には頑張って貰わんとのぉ〜。
と…まぁこんな感じの日常会話をしてのぉ。
「…あ。そろそろ薬草摘みに…行ってくる」
日課の薬草摘みの時間になってのぉ。ワシはいつも通りに
「そうかい。今町で森へ行った若い娘がさらわれたと噂が出とる気を付けるんじゃぞ」
「うん。わかった…」
見送ってしもうてのぉ〜。あの時!あの時!ワシが…ワシがもっと強く忠告して引き留めておればこんなことには…今頃シレーナだってシレーナだって……。
いつもなら夕刻を知らす金がなり終わる頃には、沢山の薬草が入った籠をもったシレーナが笑顔で帰ってきてくれるのに……あの日はいつまで待っても帰ってこなかったんじゃ。
まさかあの噂の人さらいにさらわれたんじゃっないかと思うて次の日町のみんなに聞いてまわったんじゃっ。
…じゃがのぉ〜。
「シレーナちゃん、今日も薬草摘みかい?」
「…うん。」
「そうかい。いつもありがとねぇ。シレーナちゃんのお薬飲んだらうちの子、こんなに元気にっ!」
「シレーナお姉ちゃん、お薬アリガトウ。でも次作る時は苦いのじゃなくて甘いのにしてね…」
「まぁ…この子ったら!」
「「あははは……フフフ…」」
朝こんな風に世間話をしたのが最後だといわれてのぉ。
こりゃいかんと思うて深緑の騎士団様に連絡したんじゃっ。…でものぉ。
「さらわれた証拠がありませんし、きっとその内ひょっこりと帰ってくるでしょう」
と門前払いされてしまってのぉ。全然相手にしてもらえなかったんじゃっ。
あれから三日……シレーナはまだ帰って来ておらぬ。あぁぁぁ…もし、もしものことがあったら…。
「回想しゅーりょー。ジュンジュワー」
「…じゅんじゅわー?」
お爺さんによるあの日起きたことの回想がランファのまた効果音とやらで終わった。
まだ意味がわかっていないルシアもわからないなりに、まねをし一緒になって効果音を言う。
それを見たお爺さんはキョトンとした表情で、
「……ワシの話聞いてたかのぉ?」
と聞かれ心優しきルシアは、
「えっあっうん。聞いてた、聞いてたよ」
とちゃんとフォローしたが正直者のランファは、
「んー半分くらい寝てたっ。テヘペロッ」
「シッ!」
「………」
お爺さんも絶句するほどの自分に正直な答えだった。
気を取り直し話を本軸へ戻す。
「本当はすぐにでも探しに行きたいのじゃっ!……じゃがのぉ〜」
お爺さんは痛々しそうに腰をさすり始める。
「じっちゃん腰ワルイの?」
「昔ヘマしてのぉ〜」
「へぇーバカですなぁ〜」
超ドストレートの言葉攻撃お爺さんの心は折れかけていた。
「ジェームズお爺さん。僕たちにシレーナが行った採取場所を教えて」
もしかしたらヨナをさらったあの般若の面の紅き鎧の騎士がそこにいるかもしれないとルシアは思い、お爺さんに聞いてみた。
お爺さんはパァ〜と靄が晴れた表情で、
「行ってくれのかいっ!?あ、ありがとうのぉ〜。」
ルシアの手を握りしめ深々としたお辞儀を何度も何度も繰り返しながら言った。
「シレーナが行ったのはここから南に行ったところにある南の森じゃっ。あぁぁあとは頼んだのぉ〜」
お爺さんの家を出ていつまでもいつまでも手を振りながら見送ってくれるお爺さんにルシアは大きな声で強く、
「……うん。絶対にシレーナを助けてくるよー」
と言った。その横を歩いていたランファは何故か少しため息交じりで、
「はぁーやっぱこうゆう展開になっちゃうよね〜」
と肩を落とし猫背の前のべりの体制で言った。その言葉はルシアの耳には入って来なかったため、お叱りを受けることはなかった。
今まさに、ルシア達の知らぬところでなにか黒く邪悪な者達がうごめいているのであった。
- Re: シークレットガーデン〜小さな箱庭〜 ( No.16 )
- 日時: 2014/04/09 16:52
- 名前: 姫凛 (ID: wSTnsyhj)
物語は一時中断しルシア達が隣町が入った頃にまでさかのぼる。
ルシア達が隣町へ入った同刻、南の森で残酷で非人道的な男による地獄絵図のようなが行われていた。
「ギャハハハッ殺せ!殺しあえっ!!」
血のような紅い瞳を持った男が若い娘たちに向かって刃先が鋭く切れ味抜群そうな剣で脅し恐怖のどん底へ叩き落としている。それはまるで地獄の様な光景であった…。
「やっ、やめてくださいっ。ザンクさまっ。」
一人の町娘が勇気を振り絞り男に情けを求めたが男は
「あぁ?テメェ…オレ様に指図すんのかあぁん?」
「ひぃぃぃぃ……」
すがりよってきた娘の左腕を切り落とした。男の凶悪な睨みに怖気づき、娘は尻餅をついて後退る…。
次に男はある姉妹の前に刃渡り二十センチはあろうかの刀を一本ずつ放り投げ、
「おいっ、死にたくなかったら殺せっ!殺しあえっ!ギャハハハッ」
「そ、そんな……」
「オレ様は、兄弟恋人親子で殺しあう姿を見るのが大好きなんだよっ。ギャハハハッ」
ご機嫌に高笑いをしながら男は姉妹たちに剣を突き付け、早く殺しあわないとオレがお前らを殺すと脅し、殺しあうように仕向ける。
だが人は人の思うがままには動かない。姉妹の姉は静かに妹の頬をさすりかすれた小声で
「こんな…お姉ちゃんでごめんね?……でもあなたを殺すことなんてできない…だって、世界でたった一人の私の妹だもの」
「お…おねえちゃん?」
姉は自ら刀を手に取り、我が身の心臓へと高く突き刺し自分を殺すということで妹を救ったのだ。
「キャァァァァ!!」
「おねえちゃーーーーーん!!」
「ギャハハハッ」
辺りには男の高らかな笑い声と沢山の娘たちの悲鳴と妹の悲しみの悲鳴が響き渡った。妹はこの一瞬で絶望の淵に立たされ復讐の鬼と化した。そして……
「ウォォォォォォ」
「ひぃぃぃぃ」
「あの子どうしたのいきなり…」
「そんな…また化け物が…」
新たな感情も知性も持たない哀れな人形兵が誕生したのであった。
一分前までは美しき双子として町で有名だった姉妹。それがたった一分後、姉は片割れの妹を守るために自らの手で自害し、妹は自分を守るために姉が死んだ哀しみと非人道的なあの男への狂おしいほどの怒りに身を焦がし男の玩具と化したのだ…。
どのような選択肢を用いても結局、彼女たちは男の玩具でしかないのだ……。
「いーねーいーねー。ギャハハハッ…オレ様を楽しませてくれる奴はすきだぜぇ。ギャハハハッ」
「ウオォォォン」
哀しみの声を上げる人形兵を眺めながらご機嫌に高らかに笑う男に向かって一人の娘が口を開く。
「……ヒドイ」
「あぁ?なんだとぉ?」」
先ほどまで高らかに笑っていた表情が一変し、凶器のような表情に変わり、金髪ポニーテールで右目が赤、左目が金色のオッドアイの瞳を持った、白いワンピースの美しい少女に視線をやる。
またあの残酷な行いが行われるんじゃないかと、娘たちは一気に震えあがり少女へと視線が集まる。
ゆっくり男はケタケタ笑い剣を地面に引きずりながら少女に近寄よっていく。少女は動じず怖気づ、真っ直ぐ男の目を見つめ男もまた少女の目を見つめながら…剣を振り上げる。…が
「やめろ、ザンク」
突如、何処からか瞬間移動してきたあのヨナを誘拐した般若の面の紅き鎧の騎士が男の背後に一瞬で移動し剣を持つ腕を掴み、振り下ろそうとしたのをのを止めた。
「あぁ?よぉ、叢じゃねぇーか。オレ様に命令するたぁ、偉く出世したなぁ、あぁん?」
掴まれた腕を振りほどき、般若の面の紅き鎧の騎士を睨みつける。般若の面の紅き鎧の騎士は男から離れ少女の方を向き低いドスのきいた男のような声で、
「……その娘は殺すな。大事な“人柱”だ」
“人柱”と聞いて男は少し驚きそしてまた高らかに笑いだし、超ご機嫌そうに娘たちを見まわし剣を娘たちの方へと向け、
「はぁ、こいつが?ギャハハハッじゃぁ、他の奴らは好きにしていいってことだよなぁ!?」
「ああ…。人柱さえ無事ならあとは好きに処分しろと。王の命だ」
好きに処分しろ…と聞いた娘たちは一気に絶望してゆき皆悲しみに満ちた声をあげる。
「そ、そんな…」
「えーん、おうちに帰りたいよー」
「ああ…どうか神よ。わたくし達をお救いくださいませ」
絶望に哀しむ娘たちを横に少女は、
「……ひとばしら?…なんのこと?」
なぜ自分が人柱なるものに選ばれたのか、そして人柱とはいったいどうゆう意味なのかただ一人、男と般若の面の紅き鎧の騎士には知られないように考え込む。
何故ならひとつ選ばれるような心当たりがあるからだ…。
だがそれはできる事なら思い出したくのない記憶、いや自らの意志ではきっともう思い出す事すらできない、心を蝕むだけのウイルス。
それは遠い遠い昔と思いたいくらいな昔に 自らが犯した罪 封じ込めた過去の話 すべてが闇に落ちた禁じられた話--
- Re: シークレットガーデン〜小さな箱庭〜 ( No.17 )
- 日時: 2014/04/09 17:08
- 名前: 姫凛 (ID: .KVwyjA1)
物語は本軸へ戻りルシア達が南の森へ入ったところから再開する。
南の森。草木が青々と生え、沢山の種類の動物たちが暮らしている。まさに生き物たちの楽園のような森。気温はだいたい春の陽気で眠気を誘う。
「うっわ〜、またお昼寝にぴったりなポカポカ森だね〜」
自然に上機嫌になり両腕を広げ目をつむり清らかな空気を吸い、クルクル可憐に回る。
「あはは。そうかもね。でもこんなところで寝てたら森の動物たちに屍だと勘違いされて食べられちゃうかもよ?」
「………経験あり?」
「……うん。小さい頃、一度だけね」
「にひひひ。弱みゲットたりぃ〜」
「え〜そんな事言うんだー、ひどいー」
悪戯っ子の笑みをするランファに冗談でルシアは言い返す。すると二人とも笑いが胸の奥底からあふれ出し自然と笑顔になる。
この森は人々を幸せの気持ちにさせるそんな不思議な森。
「ね、そういえばシレーナさんってどんな人なの?どうゆう関係なの?」
不意にランファが振り返りどこか心配そうな悲しそうな表情をする。
またいつもの冗談かと思ったルシアは、
「超超能力者なのにわからないの?」
と意地悪風に聞いて見るとランファはフグのように頬を膨らませて、
「ブー、すべてを超能力で解決するのはよくないんですー」
とはぶてた感じで言い返した。ルシアは半笑いでごめんごめんと誤った。
「でっでっ?」
ランファはさっきの質問の答えは?と続きを求める。
「シレーナはヨナのかかりつけ医みたいな人かな」
「……おいしゃしゃん?」
「いやっ、本当は看護師なんだけどね。だけど医者のいない僕の村にたまに来てくれて無償で診てくれるんだ」
「へー」
「ヨナの事をいつも大切に思っててくれてて、診に来るたびに絵本を持ってきてくれるんだ」
「ほー」
「あまり話すのは得意じゃないみたいだったけど、気さくで優しくてとってもいい子なんだ」
「ふーん」
シレーナが別にどんな人かなんて別にど−だってよくて、ただの前振で言っただけのまったく興味のない話にランファは適当にあいずちをうち、受け流し本題を切り出だした。
「…好きだったの?」
「ええぇ!?」
予想だにしてない質問に耳まで真っ赤にするウブで純真なルシア。ここは適当なこと言っておいて誤魔化しておこうと少し…いやだいぶ思ったが、
「………ねぇどうなの?」
ランファのなにか深い事情がありそうな真剣な眼差しに根負けし包み隠さず本当のことを話すことにした。
「ん……優しくて可愛いくてとってもいい子だったけど………そんな風に意識したことはなかったな…」
「(ふぅー良かったぁ〜)」
「……?」
ルシアの答えを聞いて胸をほっとなでおろすランファを見てルシアは女の子って難しいなーと考えているとキリッとした目つきでランファ真っ直ぐにルシアの目を見つめハッキリとした口調で、
「いいっ?これからはあたしがOK牧場した人としか好きになっちゃ駄目なんだからねっ!?」
「……ぼくじょう?なんで??」
「なんでもなのっ!!」
「………」
まだ不満そうな表情をしていると…
「わかったっ!?」
「……はい」
ルシアはこの時、ああ僕はきっと奥さんの尻にひかれるタイプだな…と自分の将来の未来図を見たのであった……。
キャッキャッと楽しく話しながら森を歩くルシアとランファであったが、森の様子がおかしいことに気づき始める。
「あれ…この森ってこんなにも薄暗かったっけ?」
青々とした木々がおい茂り太陽の光がサンサンと照らされた森だったのに、腐敗し黒墨になった木々と葉が光を遮り、辺りには霧が立ち込めるなんだか薄気味の悪い森にいつのまにやら変わっていた。
「おかしいな……確かこの辺りには動物たちのオアシスがあったはずなんだけど…」
一瞬で凶変した森を見渡してみる。
「カーカー」
「きゃっ!」
不意に木の間から現れたカラスにも驚いてしまう。先ほどまでのポカポカ森だったら絶対にそんな事では、驚かなかったはずなのに。…いやそもそもこの森にはカラスは住んではいなかったはずだ。
「こっ、こわいよぉー」
「大丈夫。僕がついてるから。ほらつかまって」
先ほどまでの元気が何処へやらの恐怖でガタガタに震え、今にも泣き出してしまいそうなランファをルシアは自分の腕に掴ませ安心させる。
しばらくお互い無言で不気味な森を歩るいていると、ランファは見るものすべてに驚き、無駄に体力を消耗してゆく。
僕がしっかりしなきゃ…とルシアは怖いのを我慢し腰が抜けたランファを引きづりながら、森のたぶん奥へと進んでゆく。
……すると木々がない広い空間にたどり着き二人がみたものは
「ひゃぁぁぁぁぁ!!」
赤子の様な裸で丸坊主の石像のような石でできた人形が、右手の人差し指で北西を指さしランプを持っている。左手は腰に置いたポーズで広い空間のちょうど中心に立っていた…。
「なっ、なにあれぇ………」
「こんなのっこの森にはなかったはずだ……。なのになんで?」
遠くから見るとたいして大きくないものかと思っていたが、近づいて見ると軽く五メートルは超えていそうな巨大な人形だった。人形の表情は不気味に笑っている。
「うぅ……こわい…。こわいからあっちから行こう?」
「うっ、うん……」
恐怖のあまり人形を直視できないランファは人形が差す北西とは反対の南東に歩いていくことにした。
「(でも、あの人形が指さす方向…気になるな……)」
ルシアはどうしてもあの人形が気になり、人形が見えなくなるまでジーと不気味な人形を見つめ続けた。
あの人形があそこであのポーズをしているのはなんらかの意味があるのではないかと……。
- Re: シークレットガーデン〜小さな箱庭〜 ( No.18 )
- 日時: 2014/04/09 17:20
- 名前: 姫凛 (ID: 0vtjcWjJ)
「うぅ……こわい…からあっちから行こう?」
「うっ、うん……」
恐怖のあまり人形を直視できないランファは人形が差す北西とは反対の南東に歩いていくことにした。
「(でも、あの人形が指さす方向…気になるな……)」
ルシアはどうしてもあの人形が気になり、人形が見えなくなるまでジーと不気味な人形を見つめ続けた。あの人形があそこであのポーズをしているのはなんらかの意味があるのではないかと……。
またしばらく不気味にカラスが飛び交い、誰かに見られているような感覚がする不思議で気持ちの悪い森を歩き続けた…するとまた。
「ひゃぁぁっ!!」
「あっまた……」
広い空間に右手の人差し指で北西を指さしランプを持っていて、左手は腰に置いたポーズのあの不気味に笑っている人形が先ほどと同じ場所に立っていた。……同じ人形だろうか?
「ひゃぁぁっ!!」
「あっまた……」
「ひゃぁぁっ!!」
「あっまた……」
「ひゃぁぁっ!!」
「………」
人形が指さす方向とは別の方向に歩き、そしてまた人形がいる広い空間に出ること三回。人形は同じポーズで同じ場所に立ち続けている。
…最初からこの人形に違和感を感じていたルシアはその違和感を確かめてみることにした。
「ねぇもしかしたら僕たち、同じ場所をグルグル回って迷っているのかも……」
どの方角に歩いても歩いても現れる人形は同じ物とゆうていで言ってみるが
「え……錯覚じゃなにの…?」
「気になるんだ。あの人形が指さす方向にいってみようよ。」
頑なに人形とは関わりたくないランファは、嫌がるが少々強引的に
「確かめてみる価値はあると思うよ」
と言い聞かせ渋々納得させて
「……うー、わかったよぉー」
ランファの私物のリボンを人形の左肘に結び付け、人形の指さす北西へと歩いて見ることにした。すると……
「…あっ、やっぱり」
「あっー!リボンがなーいっ!?」
次にあらわれた人形は東を指さし左肘に結び付けていたリボンはなかった。今まで翻弄してきたあの人形とは別物なのだろうか…?
「よし、次はあいつが指さす方向とは逆に行こう…」
人形が指さす方向とは逆の西へ進む。すると…
「あっ!リボンっ!?」
北西を指さした人形の左肘にランファのリボンがしっかりと結び付けてあったのを見てルシアは確信した。
「やっぱりこの人形は誰かが残した道しるべなんだ」
そう人形の指さす方角へ行けば次の人形が現れ、またその人形が指さす方角へ行けば別の人形が現れる…。この森のルールを発見したのだった。
「こんなに薄気味悪いのに?」
涙目で震えた声で言うランファにルシアは強く、
「不気味で怖くても、きっと人形が指さす方向にシレーナがいるはずだっ」
と言い切った。恐怖なんてものを軽く吹き飛ばしたルシアを見てランファは秘かに…
「(無駄に前向きなのは、昔からなんだ…ふーん)」
「…?」
「なんでもなーい」
心の声が漏れていたがいつものように軽く流されなかったことにされてしまった。
何体かの人形たちに驚き、他に何も仕掛けがないかチェックしながら森の奥深くへ向かってずっとずっと歩いている。…のだが
「ううっ……いつまで歩き続ければいいのぉ〜?」
半泣きでダラダラと肩を落として歩きながら、疲れた疲れたと駄々をこねるランファを
「きっとあともう少しだから……ね?」
となだめようとするが…
「それ何回目?はいしゃしゃんかよっ!」
「…う」
と的確にツッコまれ言葉を失う。お互い黙って歩いていると遠くの方の目の前が少しずつ霧が晴れてっているのが見えてきた。
「あっ!光ー。やっぽーいっ出口だぁー!」
「あっ待ってっ!」
霧が晴れかけて少し森の外からの光が漏れているのを見てランファは咳ほどまでの恐怖心が何処かへ吹っ飛んでしまったのか、それともついに壊れたか、笑顔で一気に森を抜けようと走り出した。慌ててルシアもランファを追いかけ…
「……エ?…ナニコレ」
「ど、どうし……っ!」
出口と思っていた場所で突然、呆然と立ち尽くすランファに声をかけようとして息を飲む。
光の向こう側はゴールだった。でも決してルシア達にとって良いゴールではなかった…。
「ギャハハハッ」
「きゃぁーーーー!!」
「ダ、ダレかたすけ……っ」
紅い瞳の男がお爺さんの言っていた、さらわれた町のうら若き娘たち達をバッサバッサと剣で切り付けていた光景だった。
辺りには娘たちのもわぁっとした血の臭いと、男の狂った笑い声が森中に響き渡っていた。
「ひどい……ひどすぎるよっ!」
思わず非人道的な事を行っている男に向かって言葉が出る。
「あぁ?ダレだテェメら?」
奇声を上げながら娘たちを斬り殺していた男は、ルシア達の存在に気づき死んだ娘の体に剣を突き立てゆっくりと振り向いた。
「………」
黙り込んで様子見ようと思っていたルシアだったが何にも考えずに、自分の思った通りに動き己の正義を貫くランファは空気を読ない発言をした。
「私達は勇者様御一行だぁーーー!!」
「えぇぇぇ!?」
あまりにも急な予想だにしてなかったランファの発言に驚きまくり少々引き気味のルシア。
「ギャハハハッ!!オマエらみたいなヒヨコが勇者だぁ?ギャハハハッ」
男は腹を抱えて大爆笑する。
「笑うなーー!!」
「いやっ、笑わない方が無理なんじゃ……」
頬を赤く染め恥ずかしそうに言い返すランファを少々引き気味の呆れ顔で諭す。
ランファはルシアにだけ聞こえる小声で「貴方は黙ってて!」と怒られてしまった…。何故怒られなければいけなかったのかよくわからなかった。
- Re: シークレットガーデン〜小さな箱庭〜 ( No.19 )
- 日時: 2014/04/09 17:38
- 名前: 姫凛 (ID: k5z4h8lv)
「さぁ、シレーナさんおよびそこの娘さん達を開放しなさいっ!」
気を取り直してランファは男を指さしビシッと言い背に背負っている大剣を構える。
「あぁ?テメェ……ヒヨコ風情のくせにオレ様に命令するきかぁ?」
男は娘の死体に突き刺した剣を抜き、刃先をルシア達の方へ向ける。
ルシアはランファが男のを威嚇し注意を引いてる間に怯えひとつに集まっている娘たちの中からシレーナを探す。
「シレーナ!」
娘たちとはまた別に奥の方へ隔離されたシレーナを見つけた。シレーナは両手手足を縄で頑丈に縛られているみたいだ。とても痛そうだ。一刻も早く助けてあげなくては。
「……ルシアッ!」
ルシアの声に気づいたシレーナは体をくねらせ何かを伝えようとする。
「ちっ。いいぜぇ。そんなにみんな仲良く死にてぇなら殺してやるっ。ギャハハハッ!!」
ルシアとシレーナのやり取りを見た男は突然また高らかに笑いだす。
「……逃げてっ!」
やっと出たかすれた声で必死にシレーナは訴える。…がもうすでに遅し、男は化け物の名を呼び不気味な人形の姿をしたバケモノを召喚する。
「侵せーーーアルミサイルゥゥゥ!!!」
「ミューン」
「メーン」
「ミキキ……」
「ひゃぁぁぁぁ!!あの悪趣味な人形作ったのはおまえかぁぁぁぁ!!」
何度も何度もランファを恐怖に震え上がらせたあの石できた不気味な笑みの人形が空から何百体も降ってきたのだ。
「くっ…一体、一体はたいして強くはないけど数が多すぎるっ!」
「このっこのっ!きもいっきもいっ!あっちいけっつーのっ!」
無限に空から降り続けてくる人形たちをバッサバッサと切り倒して行くが永遠に終わりが見えてこない。男もまだまだ余裕の表情で高らかに笑っている。
「………」
シレーナは必死に体をよじらせて、ルシアになにかを伝えようと頑張るがその声は悲しくもルシアには届かない。
「はぁ…はぁ…」
戦っても戦っても終わりのない戦いに体力が限界を迎える。息を整えるためにアルミサイルの集団から離れいたルシアの前に彼女が現れた…。
「ウオォォォン」
「くっ」
巨大なアルミサイルに苦い顔をしながらも剣を構え立ち向かう。
「はぁぁぁっ!」
「グォォォ」
巨大アルミサイルと互角にやりあう。巨大アルミサイルは他のアルミサイル達に比べ攻撃速度が遅いためかわすのは簡単だ。攻撃し体の表面を傷つけること数回、巨大アルミサイルの大ぶりの大回転技をかわしそして人間でいう心臓がある位置に剣を突き立てたっ。
「ウォォォォ……お…ねぇ…ちゃ…ん………」
「えっ?」
巨大アルミサイルはルシアの剣によって男の呪縛が解け機能停止する前に「おねえちゃん」とかすれた少女の声で言ったのだ。
…そう巨大アルミサイルの真の姿は連れ去られた町娘の一人だったのだ。
彼女は男の快楽のためにもて遊ばれた哀れな姉妹の妹の無残な姿だったのだ。
「……まさかっこの子たちはっ!?」
アルミサイルの秘密を知ったルシアは、強く鋭く男を睨みつける。
ルシアの視線に気づいた男は悪びれるもなくニタァと笑い
「ギャハハハッどうだぁ?オレ様が本物のフュムノス達を使って作りだした人形兵はよぉぉ?ギャハハハッ!!」
「お前……よくも……」
抑えきれない怒りが奥底からグツグツと煮えくり返る。まるで火山の奥底に眠るマグマが煮えたぎっているかのように…。
「なんだぁ?元フュムノスって知ったらもうお終いかぁ?ギャハハハッ、やっぱ所詮はテメェの覚悟もそんなもんかぁ!」
悔しいが確かに男の言った通りルシアは元フュムノスの娘達だと知ってしまった為、もう自分はアルミサイル達とは戦えない、戦っちゃあいけないんだとと思った。
「なにボケッとしてんのっ!この人達はもう人でもなんでもないただのバケモノなんだよっ!さっさと呪縛から…きゃっ」
色々な思いにさいだまれ戦うのをやめてしまった、ルシアの代わりにたった一人でアルミサイル達と戦っているランファだったが、やはりたった一人で数百体を相手にするのは難しい。
「ザンク」
「あっ……あいつはっ!!」
アルミサイル達を次々と召喚しご機嫌に高笑いしながら、高みの見物していた男の背後にあのヨナをさらって行った憎き誘拐犯。般若の面の紅き鎧の騎士が現れたのだ。
色々な思いに悩み視野が曇っていたルシアの目にも奴の姿だけは、くっきり映った。
「あぁ?」
「コアを埋め込め。もうここに用はない」
「オレ様に命令するな。ちっ」
舌打ちすると男はシレーナに近づいて行く。
「……ッ!?」
「ヨナを返せーー!!」
男が般若の面の紅き鎧の騎士から離れた瞬間、剣を構えて一気に駆け寄って飛びかかり、上から切り付ける。
ルシアの攻撃に気づいた般若の面の紅き鎧の騎士は右手に持った包丁で剣を受け止め軽く受け流し左手で持っていた槍で攻撃する。
「…な、なにっ?……いっいや…助けて……ルシア…」
シレーナの身になにか危険が及ぶ。…が肝心のルシアは残酷で非人道的な男への怒りとヨナを連れ去りこんな事に加担してる般若の面の紅き鎧の騎士への怒りで周りが見えていない。
「うおぉぉぉ…!!」
カキンッカキンッと剣の包丁の刃先が当たる音が何度も何度も鳴り響く。
「ふんっ」
「うわぁぁぁぁっ!!」
「ルシアーーーー!!」
般若の面の紅き鎧の騎士の包丁から放たれた重たい波動弾にもろに当たってしまった。森のかなりかなり遠くまで飛ばされてしまった。
ランファはルシアが飛ばされた事でアルミサイル達から目線が離れている間に、アルミサイル達に取り押さえられてしまった。
- Re: シークレットガーデン〜小さな箱庭〜 ( No.20 )
- 日時: 2014/04/09 17:46
- 名前: 姫凛 (ID: nsrMA1ZX)
ルシアを森の奥地まで吹き飛ばした後、般若の面の紅き鎧の騎士は包丁と槍を仕舞い込み、体制を整え
「任務終了だ。戻るぞ」
「ちっ。興ざめだぜっ」
残念そうな顔で男は言うとアルミサイルを消し般若の面の紅き鎧の騎士の元へと歩いていく。そしてルシアが吹き飛ばされた方角を指さし
「おいっテメェ、次会う時にまではもう少し殺しがいがあるくれーになっとけギャハハハッ!」
と言い残し般若の面の紅き鎧の騎士と共にこことは違うどこか遠い場所へ瞬間移動し消え去った。
「う……うぅっルシア…生きてる?」
森の奥地に飛ばされたルシアを探し出したランファが血で真っ赤に染まったおなかをさすりながら苦い顔で言った。
「…うん。なんとか…ね。君は?」
良かったことに腐敗した木々がいい感じにクッションになってくれた為、あまり大きな傷はおわなくて済んだ。
折れた木の枝をどけ髪の毛についた枯葉を取りながら立ち上がる。
「傷口開いちゃった。てへっ」
片手を頭の上に持ってって猫のポーズをとり、舌をペロッと出したランファを見てルシアは冷静に…
「それ、かわいくないよ」
「むぅー」
ツッコミ、ランファはまたフグのように膨らんだ。そのやり取りに自然と笑みがこぼれ出す。
「はっ!シレーナは!?それに他のみんなさんは!?」
気持ちが安らいだところで、シレーナ達の事を思い出す。
「私は…ここ」
折れた木々からひょっこりと金髪ポニーテールで右目が赤、左目が金色のオッドアイの瞳を持った白いワンピースの美しい少女が顔を出す。
「シレーナ!よかった無事だったんだねっ!」
「…うん」
シレーナのもとに駆け寄り手を握りしめ無事を確認する。
ランファは二人のやり取りをやや不満そうな目つきで見ながら
「でもさっきあの変な奴になにかされてなかった?」
聞いて見るがシレーナは首を傾げ
「…うん。でも…なんとも……ない?」
「ん〜?」
なにか大きな疑問が残る。二人とも首をかしげているとルシアが
「とにもかくにもシレーナが無事でよかったよ」
「…助けに来てくれてありがとう。ルシア」
少しぎこちのない笑顔でシレーナはルシアに礼を言う。
他に囚われていた娘達もどんどんやってきてルシアを囲むようにして
「ありがとうございます」
「なんと御礼を言っていいやら……」
と次々に俺を言ってきて一度にこんなに沢山の女の人に囲まれた事は初めてなので耳まで真っ赤にし
「いっいえそんな……」
あたふたとしながら答える。それが何故がウケたのか娘達はきゃーと可愛いといい始めどんどんルシアを囲み近づいていく。
「これにて一件落着?めでたしめでたし〜ぱんぱかぱ〜ん」
「ぱっ、ぱんぱかぱ〜ん……?」
蚊帳の外でボケるランファを娘達にもみくちゃにされながらもツッコむルシア。
こうしてルシア達はお爺さんとの約束通り、無事シレーナを救いだしそしてついでに町の娘達を救いだし元のポカポカ陽気の動物たちと植物の楽園に戻った森をご機嫌で通り町に戻ったのであった。
だがまだ彼らは知らなかった、あの時あの男がシレーナに呪術の処置をほどこし恐怖の病魔が音もなく静かにシレーナの体を蝕んでいることを--
-荒くれ者 ザンク編-終