複雑・ファジー小説

Re: シークレットガーデン 〜小さな箱庭〜【敵の本拠地へ】 ( No.151 )
日時: 2017/09/06 11:04
名前: 姫凛 ◆x7fHh6PldI (ID: Rzqqc.Qm)

第六章 闇と欲望の国-裏カジノ編-


アルト・リンクが死んだことに哀しみ暮れるルシアはずっとろくに食事もとらず、ずっとホテルの部屋に閉じこもり泣いていました。

そこへいつものようにシレーナがお粥を持って様子を見に来ました。

ルシアもいつものように「いらない」と断ろうとしました

—が、今日のシレーナはいつもと違いました。

「もういいんだよ。自分を許してあげても」

と諭すように言い、お粥をすくったレンゲをルシアの口元へ

いくら幼馴染といけど、それは恥ずかしいからやめてとルシアが言っても今日のシレーナは辞めませんでした。

その押しに負けて、ぱくりと一口。

「あ…美味しい」

ルシアの大好きな卵粥でした。風邪を引いた日などによくシレーナが作ってくれた、あの卵粥でした。

胸の中でモヤモヤしていた何かがすっきりと落ちていくようでした。

シレーナに「ありがとう」と伝え、お粥を食べ終わると、仲間たちの元へ走り出しました。

仲間たちはいつも通り、愉快なテンションで温かくルシアを迎え入れてくれました。

さあ—ルシア達の冒険の再会です。

とホテルを出ると最初に見たのは、チンピラ風の男が痩せて老婆のように見える女性からお金になりそうなものを奪い取っているところでした。

リア曰く、あのチンピラ風の男はカジノに雇われているらいいのです。

黄金で出来た街の上空に浮かぶ、円盤型のカジノ。入り口にはドルファフィーリングのマークが。


やはりドルファフィかと。コロシアムに引き続き、あくどい商売をしているドルファ。

カジノの中へ乗り込んでみるとちょっぴり拍子抜け。

中はゴージャスすぎる部分を除けばいたって普通のカジノでした。

あ、いえ。お金持ちの姿ありません。いるのは観光客っぽい人たちです。

ヒスイが「考えがある」と黒服となにやら話し始めした。すると、奥にあるVIPフロアへ行くことが許可されました。

—どうしてなのでしょう?

VIPフロアで行われていたには、カジノで多額の借金を抱えた男達が一攫千金を目指して、己に命を賭けたゲームを行っていました。

そのゲームにお金持ち達は大金を賭け、拍手喝采で大喜びで観賞しています。

噎せ返る血の匂い、吐き気します。ですがこんなのはまだじょろくち。

VIPフロアの先にある裏VIPフロア。そこで賭けられているものは記憶でした。

ありとあらゆる贅を楽しんでいる金持ちの記憶を奪い取っていたのです。

「ようこそおこしやす。妾のカジノへ」

出迎えた着物の女性。ドルファ四天王が一人、氷華のナナだ。

人間の命すらも弄ぶ、ドルファ。こんなの許しておけない、ルシア達はナナと自分達の命とカジノを閉鎖してもらう、を賭けて一勝負することに。

行うゲームはダブル神経衰弱。

デックを二つ使用する。普通の神経衰弱なら、数字が同じなら当たりだが、このゲームではマークも同じじゃないと当たりとは認められない。。
つまり、総カードは倍の百四枚で当たりはたったの一組だけとなる。

田舎暮らしだったルシアをにそんな重大なことを任せられない。なので代わりにリアがすることに。


勝負は接戦だった。一度開いたカードの全てを覚えている、リアとナナ。

どちらが勝ってもおかしくはない—と思われたのだが

「そんな…リアさんが負けた?」

先にナナが過半数の五十四枚を引いてしまい。リアが負けてしまったのだ。

"死”このまま死んでしまうのか—。




—と思われたその時!

「頼む、もう一戦だけしてくれ!!」

と、リアがナナに土下座し、泣きの一回を頼んだのだ。ナナにそれを許可するメリットは一ミリもないのだが、絶対に勝てる理由があるため快く了承してくれた。

絶対に勝てる理由…それはカードに細工がされているからだ。

ある一定の温度になると小さなマークが浮かび上がる。だがそのマークは小さく他の模様と混ざり、ニ三分で消える為、ばれることはまずないだろう。

—という油断が招いた敗北だった。

マークの存在に初めから気づいていた、リアは最初の一手から過半数四十五枚開き、勝利。


自分が負ける。なんて考えもしなかったナナに、敗北なんて認められるわけがない。

最初のゲーム勝負を無視し、結局武力行使に。

沢山の黒服と達ルシアを囲む。

氷魔法の使い手ナナとの勝負。


—勝ちを確信した瞬間、人は油断する。


隙を突いてリアがナナに鋭い一撃。ナナは敗れた。

よろよろと立ち上がるナナ。もうっ一戦やるか?とリアが剣を構えるが、そうではなかった。


「ルシア」

「……ヒスイ?」



—ぷすりと体に何かが突き刺さる音




—かちりと骨に何かが固いものが当たる鈍い音




—熱い。体の一部が灼けるように熱い。



ヒスイがルシアの心臓にナイフを突き刺していたのだ。

実はヒスイはナナの部下で、ルシアに近づき仲間のふりをしていたのは全て演技だったのだ。

ヒスイに殴りかかろうとする仲間たちを止める。瀕死のルシア。

知っているよ、ヒスイは本当は優しい普通の女の子だということを。

私はただの殺戮人形だと、ヒスイは言うがその顔は涙でくしゃくしゃだ。


そしてナナ。彼女が首から下げているロケットペンダント。そこには…

「—ッ」


ナナの心臓を一本の弓矢が貫いた。

弓を放ったのは、あの般若の面をつけた紅き鎧の騎士。


ナナの元に駆け寄り、彼女を抱きかかえるヒスイ。


チェーンが切れ首から落ちた、ロケットペンダントを拾い中を見てみると、赤子の写真が…。


その赤子の正体はヒスイ。


ナナが"あの男"の魔の手から守るために、捨てた我が子。

「あんただけでも…幸せに…な—」

最期の言葉を言いきれないまま、こときれたナナ。


「アアッ——アアアアアッアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!」

カジノの中にヒスイの声にならない悲痛の叫び声が響き渡った。





こんなもう許す、許せないの問題じゃない! 行こう、ドルファフィーリング本社へ!






ドルファフィーリング本社でルシアは知る事となる






自らのの出自のこと







ドルファフィーリング本社でルシアは出会う事となる







倒すべき強敵