複雑・ファジー小説
- Re: シークレットガーデン 〜小さな箱庭〜【再会か破滅か】 ( No.170 )
- 日時: 2017/09/28 08:42
- 名前: 姫凛 ◆x7fHh6PldI (ID: pY2UHJTN)
第八章 からくり遺跡-女神の試練編-
「ここが……」
「アンコール…」
「ワット…」
「……なの?」
眼前に広がるは朽ちた巨大な建物。
山の国北西部に位置するアンコール遺跡の一つ、大昔は寺院として使われていた場所。
主に砂岩とラテライトで築かれれていて、西にある門が正門とされている。
寺院は付近の製鉄技術を活用されている。 境内は外周、東西千五百メートル、南北千三百メートル、幅百九十メートルの濠で囲まれている。
神聖な場所を飾るため、回廊は精緻な薄浮き彫りで埋め尽くされている。
周壁は東西千三十メートル、南北八百四十メートルでラテライトにより築かれている。
西大門は南北二百三十メートルほどで、三塔を戴き、中央に王の門と左右に二つの門が開く。
さらに南北には階段がなく、ゾウが通れる象門を二つ備えてある。
王の門の左右は女神ナーガが護っており、付近の堀は石段の船津を備え、ラテライトの壁で護られている。
「………」
その大きさ。そして神々しさに息を飲み、皆呆然と立ち尽くしてしまう。
「皆さんどうしたのかしら? ボーとしちゃって?」
さすが賢者の里でいつも長のお世話をしているリティ。神々しいのなんてへっちゃらの慣れっこのようだ。
呆然と立ち尽くすルシア達を見て意味が分からないと首を傾げている。
「ほらっ、シャキッとしろって!」
「わっ!?」
リアに背中を押されようやく、一歩中へ。
もーなにするんですか…とリアのを睨み付けたが、あははと笑われてはい終了。彼に悪気はないし、悪びれるつもりもない。と、ゆうよりここでずっと立っている方が変なのだ。
早く来いよーと先を歩くリアにせかされ西大門を抜けると、大蛇の欄干に縁取られた参道を通り前庭を進む。
前庭は南北にそれぞれ経蔵と聖池があって、参道から外れると聖池はその水面に堂宇を映し出す。
また北には、今もここで仏に祈りを捧げる僧侶らのために、僧坊が近年になって建てられたのだとリティが歩きながら教えてくれた。
禁断の地とされていても、やはり僧侶達にとっては大事な場所なのだ。
前庭を越えると三重の回廊に囲まれ五つの祠堂がそびえる広い空間へと出た。
「ひろ〜い」
「えっと…ここが目的地?」
「まだもう少し先よ」
とリティが案内する為に歩き出そうと一歩前に足を出そうとしたところだった
"あなた方は何者ですか”
頭の中に直接、大人の女性を思わせるような女の声が語り掛けてきたのは。
"あなた方は何者ですか”
同じ質問が再度聞かれた。
「何者ですかって…」
「そもそもお前が何者なんだよー!!」
「ちょ、ランファっ!?」
"ランファ__”
謎の女の声がランファの名を零す。
"そうなのですね__ついにこの時が来てしまったのですね”
声は独りなにかを呟やいているようだ。
「アタシ達は怪しい者ではありませんっ!! 石碑に描かれた歴史を見に来ただけなんですっ!!」
何処に居るのか分からない声の主に向けてリティが叫ぶ。
"では。あなた方に一つ試練を与えましょう”
「試練?」
"あなた方は世界の命運を託すに値する者なのか試しましょう”
「世界の命運ってなんの話しだよっ」
「めんどくさーいっ」
「ランファちゃん、思ってても正直に言ったら駄目なこともあるんだよ!?」
「な、ななんの話なのよー!! そんなの聞いてないんだけどー!?」
「もしかして…この声の主は…」
「…ルシア」
"此処まで来てしまったあなた方に拒否権はありません”
「嘘っ!?」
"さあ_選びなさい
勇気の試練
知恵の試練
力の試練
どの試練を受けるのかはあなた(読者様)の自由
ただし誤った選択をすれば あなたの物語は終焉を迎えることになるでしょう__”