複雑・ファジー小説
- Re: シークレットガーデン 〜小さな箱庭〜【女神の試練編】 ( No.171 )
- 日時: 2017/09/28 08:39
- 名前: 姫凛 ◆x7fHh6PldI (ID: pY2UHJTN)
第八章 からくり遺跡-女神の試練編-
-力の試練
仲間達とも話し合い、ルシアが選んだ試練は[力の試練]
"あなた方はその試練を選びましたか”
謎の声は言う
"では向かって右側にある祠堂へ進みなさい”
謎の声の指示に従い五つある祠堂の一番右端にある祠堂。赤く燃え上がる炎の画が画かれた扉の前に立つと、誰も手をかけていないのに扉が自動的に開きルシア達を祠堂の中へと招き入れる。
祠堂の中には壁一面に無数の位牌が祀ってあり、床には無数の石で出来た棺が置かれていた。初めて見る者にとっては少々異様な光景だ。
ここで行われるという力の試練とはなんなのだろうか_?
「で、ここでどんな試練を行って言うんだー」
リアが謎の声に向かって上を向き辺りを見回しながら聞いてみたが、謎の声の主からの返答はなかった。
もしかして化かされたか? と、入って来た入り口からまた出ようと扉を開けようとするが……
「開かないっだと!?」
「はぁ!? んなわけないでしょっ! ちょっとどいてっ!!」
リティも加わって力いっぱい押したり引いたりしてみるが扉はビクともしない。
仲間全員で強大な扉にせーのっと体当たりしてみるが……やはり扉はビクともしなかった。
「力の試練ってもしかしてこの扉を開けて外に出る事だったりしてな?」
冗談まじりにリア言う。シルはそんなことあっていいの? と、苦笑い。リティもふざけたこと言わないでよっとお怒りだ。
あははっと、皆で顔を見合わせ笑い合うがやはり扉はビクともしない。
「まさか……ね」
とその場に居た皆がそう思った、その時だった—
"祠堂の上座にある棺を開けよ”
頭の中に直接謎の声が語り掛けてきたのだ。
「みんなっ」
ルシアは仲間たちの顔を見回すが皆きょとんとした表情をしている。
「えっ?」
「ルシア君どうしたの」
「もしかして〜、おちっこ?」
「いやいやっそれはないからっ! さっきあの声が聞こえなかった?」
「声? いや? 聞いたか?」
「ううん、あたしは……」
「……私も聞いてない」
「私も知らないな」
仲間達は皆口をそろえてルシアが聞いた声なんて誰も聞いていないという。
もしかして聞き間違いだった? 空耳だった? 勘違いだった? と、声が聞こえたことを聞こえなかったことにしようとすると
"棺を開けよ”
また同じ声が頭の中に直接語り掛けてきた。またっ、と仲間の顔を見るが
「んービクともしないなー、この扉」
「頑丈すぎじゃね!?」
「……体痛い」
「うん……ちょっとぶつかりすぎたよね…」
「もしこのまま出られなかったら…」
「怖いこと言うの禁止ー!!!」
今だ開かない扉と悪戦苦闘していて、謎の声など全く耳に入っていないようだった。
もしやこの声はルシアにしか聞こえないのだろうか?
"棺を開けるのだ ルシアよ”
「……ぁ」
声は名指しでルシアに命令する。棺。謎の声の主が必要に開けるように勧める祠堂の上座にあるひときわ大きな石の棺。周りに置かれている棺とは比べ物にならないくらい大きい。
"棺を開けるのだ ルシアよ”
同じ言葉が頭の中で何度も語り掛けられる。
「この棺を開けばどうなるんだろう」
謎の声が聞こえるのはルシアだけ。仲間たちには一切聞こえてはないようだ。
謎の声の主、怪しい大きな棺、開かない頑丈な扉。
このまま何もしなければルシア達はここに閉じ込められたまま永遠に出ることが出来ず、そのまま死ぬ事になるだろ。
だがしかし謎の声の主の言う通りに怪しい大きな棺を開ければ外に出られるという確証はない。
さて どうしたものか
棺を開ける
棺を開けない
- Re: シークレットガーデン 〜小さな箱庭〜【女神の試練編】 ( No.172 )
- 日時: 2017/10/02 09:10
- 名前: 姫凛 ◆x7fHh6PldI (ID: 7hzPD9qX)
このまま悠長に仲間たちとビクともしない頑丈な扉と押し合いっこしている場合ではない。一刻も早く此処から出て、メシアの真実なる歴史というものを知りたいのだ。
世界を我が物にしようとしているバーナード。奴の手元に囚われたままになっている最愛の妹 ヨナ。
いつまでバーナードがヨナに危害をくわえないか分からない。ヨナはの無事はどこまで保証されるのか分からない。
だから気が焦る。そして人は焦ると正常な判断が出来ないという。
棺を開ける-
”そうだ。その棺を開けるのだ”
他に無造作に並べてある棺と比べて怪しくひときわ大きい棺の前に立つのまた謎の声が頭の中に直接語りかける。
敵なのか、味方なのか、も分からない謎の声。
でもこの状況を打破するにはこの謎の声に従い、言う通りにするほかなかった。
「ふんっっっ………っ」
石で出来た棺に蓋は思っていたよりも重かった。渾身の力を込めて前へ押すと、ゆっくりと動き始めそして開いた隙間から黒い靄のようなものが立ち上り始め
「っえ? なにっ」
黒い靄はルシアを包み込み始めた。
「みんなっ助け——」
扉と押し合いっこする仲間たちに助けを求め手を伸ばすがその声は黒い靄に吸い込まれ届かない。口からルシアの体内へ侵入した黒い靄は、意思と自由を奪い
—そして黒い靄が晴れた
「遂に手に入れた 肉体を
女神に封じられて 数億年
遂に現世に蘇った」
晴れた黒い靄の中に立っていたのはルシア、ではなく黒いローブをまとい大きな鎌を持つ
「我は—
”ディオス・デ・ラ・ムエルテ”なり」
髑髏の顔をした者だったという—。
[死神end]
- Re: シークレットガーデン 〜小さな箱庭〜【女神の試練編】 ( No.173 )
- 日時: 2017/10/02 09:09
- 名前: 姫凛 ◆x7fHh6PldI (ID: 7hzPD9qX)
゛棺を開けるのだ ルシア”
謎の声は何度も同じ言葉をルシアの頭の中に直接語り掛ける。ルシアの立つ目の前には床に並べられている他の棺よりもひときわ多く怪しげな雰囲気の石材の棺。
背後では仲間たちが懸命にどんなに押してもビクともしない巨大な扉と押し合いっこしている。
゛棺を開けるのだ ルシア”
この言葉の通りに棺を開ければどうなるのだろうか。祠堂の外で聞いた謎の声に従い此処、祠堂に入れば閉じ込められ今の状況に陥った。そして今度はルシアにしか聞こえない謎の声。この声は信じるに値するものなのだろうか。
棺を開けない-
「貴方のいう事は聞けません」
"なんだ……と”
考えに考え抜いてルシアが出した答えは”否定” 謎の声の指示には従わない、棺の蓋は開けない。頭に直接語り掛けてくる怪しげな謎の声の言葉なんかではなく、共に此処まで苦楽を共にしてきた仲間達の言葉を信じることにしたのだ。
"なんと……愚かなァァァァァァ!!”
「なにッ」
「どうしたっルシアッ!?」
謎の声が突如、雄叫びをあげた。その声はこの世の者とは思えないようなおどろおどろしい声で
「あっ棺の蓋がっ!!?」
ルシアに必要に開けよと命令していた、怪しげなひときわ大きな棺の蓋が大きく飛び上がり開かれ、中からは黒い靄が立ち上り一本の柱のように渦を巻いている。
「ルシア離れろっそこは危険だっ」
「う、うんっ」
黒い靄が立ち上る棺から離れルシアは仲間たちが居る扉の方へと駆け走った。
"ウゥゥゥゥウウ…アアアアァァァァァガガガアァァァァアアガ…”
黒い靄の中からルシアの頭の中に直接語り掛けていたあの謎の声の主のうめき声が。もがき苦しむこの世の者とは思えないようなおぞましい唸り声が。
「な…に…」
「なにがいるの?」
「もぉう、勘弁してよね」
その声はルシア以外の仲間たちにも聞こえるているようだ。彼女達を護るようにしてルシアとリアが前に立つ。腰に下げた剣に手をかけ、いつでも抜ける状態にしている。
"ウウウゥゥアァァァアアガガガガガアアァァ!!!”
少しずつ薄れていく靄。大きく開け放たれた棺の上に浮き上がり佇んでいる人影がひとつ。
—そして黒い靄が晴れた晴れた。
晴れた黒い靄の中に立っていたのは黒いローブをまとい大きな鎌を持つ
「我は—
”ディオス・デ・ラ・ムエルテ”なり」
髑髏の顔をした者だったと—。
- Re: シークレットガーデン 〜小さな箱庭〜【女神の試練編】 ( No.174 )
- 日時: 2017/10/05 08:11
- 名前: 姫凛 ◆x7fHh6PldI (ID: KACJfN4D)
「フフフフフフ ハハハハハッ」
宙に浮き上がった巨大な鎌を持つ髑髏の顔をした黒いローブを羽織った者。自らを死神”ディオス・デ・ラ・ムエルテ”と名乗った者の不気味な笑い声が祠堂内にこだまする。
「禍々しい雰囲気……何が起こったの」
「なんか、変な棺が開いて、変な鎌もった骸骨が出て来てー」
「?」
「ランファ。その説明じゃ、ヒスイも分からないよ…」
と、恐怖でガクブル震えてろれつが上手く回らないランファのかわりにルシアが今目の前で起きたこの現状をヒスイに説明した。ヒスイは無言でうなずきルシアの話を聞く。この間”ディオス・デ・ラ・ムエルテ"は少しも動かず宙に浮いたままだ。
「リティ。あいつのことなんか知っているか」
「知らないわよっ。知ってたら言ってるわよ」
「そりゃそうか」
さりげなくリティに聞いてみたがやはり彼女も何も知らないようだ。頬を膨らませて怒っている。この間も”ディオス・デ・ラ・ムエルテ”はルシア達を襲って来なかった。
「ハハハハハッ」
一歩たりともその場から動かず、不気味な笑い声。目玉の無い穴の開いた空虚な目で”ディオス・デ・ラ・ムエルテ”は何を見ているのだ。何を見て、何を想い、何を考え、笑っているのだ。
畏れ。目の前にいる分からない、謎の存在に対し畏れを感じ背筋に冷や汗が流れる。自然と動悸が激しくなり、息苦しい。
腰に下げている剣はいつでも抜ける。いつ ”ディオス・デ・ラ・ムエルテ”が襲い掛かってきたとしても仲間たちを護る自信はある。でも襲ってこない。動かない。不気味に笑っているだけ。
「前門の扉は押しても引いてもビクともしない。後門の死神さんは笑っててなにもしてこない。
八方塞がりってやつ? この状況…」
冗談っぽくシルが言うが笑えない。愛想笑いのひとつでもしてあげるのが仲間と言う者だが、出来ない。今はそんな気持ちにはなれなかった。
ごめんと謝るシルにこっちこそごめんっと謝りなんだかぎこちない雰囲気になる。
「フフフ。何年ぶりだろうか」
「ッ!?」
「喋ったよっ!! アイツ!」
「シィ〜〜〜」
「ムグムグムググ……」
大きな声をあげるランファの口を慌てて塞いで黙らせた。独り言のように、愉快そうにつぶやく ”ディオス・デ・ラ・ムエルテ”の言葉に耳を傾けた。
「何年ぶりだろうか
現世に復活したのは
憎き女神に敗北してから数万、いや数億
数えるのも飽きるほどの月日の間
此処に封印された」
”ディオス・デ・ラ・ムエルテ”の空虚な瞳は何をうつす。
「さあ始まりの刻だ—」
遂に動いた。姿を現してからずっと不気味に笑い空虚を見つめていた”ディオス・デ・ラ・ムエルテ”が遂に動き始めた。左手に持つ巨大な鎌を真横に一閃。
「扉がぁぁぁ!!?」
ルシア達の背後にあった扉に横一線に斬り傷が。表面にうっすらと斬り傷がついただけで、頑丈な扉はビクともしていないようだ。
でも自分たちのすぐ後ろにあったものに斬り傷がつけられたら、誰だって血の気が引き顔が青ざめる。皆蒼白な表情だ。
"数億年ぶりの目覚め。目覚めたばかりでまだ寝ぼけているのか思考がはっきりしない。ならば眠気覚ましがわりの手始めに
「じ、地震!?」
「地面がひび割れてるよ!?」
「チッ。あのディオスなんちゃらって奴の仕業かっ」
目の前にいる虫けら共を我が屍者の軍団復活するための礎としよう_”
- Re: シークレットガーデン 〜小さな箱庭〜【女神の試練編】 ( No.175 )
- 日時: 2017/10/07 22:40
- 名前: 姫凛 ◆x7fHh6PldI (ID: IGWEqUps)
「———」
嗤った。
髑髏の顔。歪む皮膚の無い骨の顔が少し緩んだような錯覚を感じてすぐのことだった。足元に置かれていた錆びて苔にまみれた棺が真っ二つに裂かれたのは—。
「ひゃぁ」
真っ二つにまるでアジの開きのように左右対称に切り裂かれた棺。その場に立ち尽くし脳から送られる命令も聞かない手足、驚きと恐怖心でその場に固まる身体を無視してルシアは首だけを無理やり捻じ曲げて。
見たのだ。
「———」
胸の前で丸い何かを持つかのように動かし丸めた指先手のひらの中には赤く光り輝く球体に照らされ不気味に嘲笑う死神”ディオス・デ・ラ・ムエルテ”
「あれは炎の玉!?」
「やばくないっ!? あれ連射とかしてくる系じゃないわよね!?」
”ディオス・デ・ラ・ムエルテ”が手のひらの中で作り上げている赤く光り輝く球体。それは火系魔法の一種"炎の玉(ファイアーボール)"と呼ばれるもの。火系魔法では初歩的な物で初級魔術師(ウィザード)が最初に覚える魔法であるが、上級魔術師となれば、火の玉(ファイアーボール)をマシンガンのように連射したり、太陽クラスの巨大な火炎の玉を創り出すことも出来るのだ。
死神が繰り出そうとしているのが連射なのか太陽なのかは分からないがどちらしてもこんな閉鎖空間でそんなものを放たれてはルシア達に逃げ場などない。
全滅必須だ。
それだけは避けなければならない。謎の可笑しな言葉に素直に従った結果訳も分からない場所に閉じ込められ、また謎の可笑しな言葉に従わないと奇妙な死神に丸焼きにされて"死"などあってはならない。
ヨナを救い出す前に死んでいる場合ではないのだ。
「僕とリアさんが特攻するから、リティさんは銃で奴の気を逸らしつつ僕達を援護してください」
「りょ、了解よ!」
「ランファとシルはリティさんが気を引いている間にわきから攻めて隙を突いて鎌を奪って」
「え? カマイタチ??」
「あいつがどんな方法で攻撃してくるか分からない今はとりあえず術を封じ、なおかつ武器になりそうなあの危ない鎌を取り上げておいた方がいいと思うんだ」
「切れ味抜群だったもんね…あの鎌。了解だよ、ルシア君」
「シレーナは傷ついたみんなを回復してあげてサポートをよろしくね。でもあまり前に出たら駄目だよ? リティさんの傍を離れないで」
「……わかってる」
「じゃあ行くよ—」
「おう」「ええ」と仲間たちが答える。
あの村の近所でイノシシ狩りくらいしか戦いといったものをしてこなかった村人Rのルシアが逞しく成長したものだ。仲間たちに的確に指示を出し自ら率先して先頭に立とうとしている。これが窮地に立たされた弱者が強者に立つ向かっていく、窮鼠猫を噛む(きゅうそねこをかむ)というものか。
「「うおおおおおおっ」」
ルシアとリアが真正面から死神”ディオス・デ・ラ・ムエルテ”に向かって一直線に走だした。なんと愚かな_と零す死神は直径三十センチ程に創り上げていた火の玉(ファイアーボール)をルシアとリア目がけて放つ。
「左右にかわすぞっ」
「はいっ」
地面を蹴り跳び上がり棺を踏みジャンピングし、一直線に飛んでくる火の玉(ファイアーボール)を軽々とかわしてゆく。創り出した火の玉(ファイアーボール)があまりにも簡単にかわされ過ぎていら立つ死神は、直径十センチ程のミニサイズの火の玉(ファイアーボール)を連続的に生み出しマシンガンのようにルシアとリアに放つ、が、それもねずみのようにちょろちょろと不規則に立ち位置を左右に入れ替えながら走るルシアとリアにはひとつたりとも当たらない。
「ぐぬぬ——」
「よそ見はいけないわよ、死神さんっ」
「なぬ—」
当たらぬ火の玉(ファイアーボール)を乱射し疲れた死神に魔力(マナ)を回復させる隙など与えさせない。もう一つの武器でる鎌を振るう隙を与えさせない。
——ババババババババッバンッ!!!
早撃ちガンマンであるリティの流れるような銃弾が死神の動きを封じる。
銃弾を避け、宙を逃げようとする死神だがそれすらもリアは許さない。たとえ弾切れになったとしても
「シレーナちゃん!」
「………はいっ」
彼女の傍。後ろに隠れるように立っていたシレーナがリティの腰から銃弾を抜き取りそれを手渡しされたそれをマッハ、光の速度とでもいえるぐらいのスピードで弾をセットし発砲する。敵に一瞬のすきさえも見せない与えないのだ。
「貴様ら—」
憤怒を募らせた死神はまた胸の前で丸い球体を持つかのように指を曲げる。
「屍者の軍団するのも口惜しいは愚かな人の子らめ。この太陽魔法(ソーレマジーア)をもって黒焦げに—」
「—なるのはどっちかな?」
「—な」と声をあげた時はもう手遅れ。遅すぎた。死神の眼前には秘かに忍び寄っていたランファの不敵な笑みが。
ニヤリと悪戯っ子のように笑うランファは背に背負っている自分の背丈よりも巨大な大剣を抜き取りそのまま振り下ろす。脳天から真っ直ぐに。
「—————っ」
死神の声にならぬ叫び嗚咽が響いた。たじろいた死神の一瞬の隙を見逃さず
「鎌貰いですっ」
シルが自身の身体よりもはるかに巨大な鎌を奪った。ギラリと刃先。着地した際に落としそうになったが慌てて握り直し大事そうに持ち直す。
「—貴様らァァァァァァ!!」
「「これでぇぇぇ」」
一直線に走り続けていたルシアとリアが同時に地面を蹴り上げ死神目がけて飛び上がる。
「「終わりだァァァァ!!!」」
同時に放たれた斬撃はクロスする。×に切り付けられた死神は
「おのれぇぇぇぇぇぇ女神に絆(ほだ)された人の子の分際でぇぇぇぇぇ!!!」
怒号の断末魔を叫び 黒い靄となり その場から消え去った__。
辺りは静寂に包まれた。
「終った…の?」
最初に口を開いたのは誰だっただろう_?
「やったのか?」
「やったんだよ!」
- Re: シークレットガーデン 〜小さな箱庭〜【女神の試練編】 ( No.176 )
- 日時: 2017/10/08 07:25
- 名前: 姫凛 ◆x7fHh6PldI (ID: IkQo2inh)
「終った…の?」
最初に口を開いたのは誰だっただろう_?
「やった…の?」
「やった……やったんだよ! アタシ達!!」
「本当に? 本当の本当にっ」
「なのよねっ!? 間違いないのよね!?」
「まーた、変な薄気味悪い笑い声出しながらご登場ってことはないだろなぁ?」
一回沈黙。死神”ディオス・デ・ラ・ムエルテ”が眠っていた封じられていたと思われる大きな棺の中をみんなで恐る恐るチェックしてみる。
異常はない。中身は空っぽだ。
"よくぞ倒されました"
またあの声が頭の中に直接語り掛けてくる。
此処力の試練と呼ばれる祠堂に入れと指示したあの女性の声だ。
ルシアは仲間たちと顔を見合わせる。みんなにもこの声は聞こえているようだ。
"かつての英雄達ですら弱体させ封じることがやっとだった”ディオス・デ・ラ・ムエルテ”をよくぞ倒されました"
「あぁそういえばあの鎌持ったおっさんそんな名前だったけ、ふ〜ん」
「り、リアさんっ」
リアの暴言に少しひやひやさせられつつ
"あの者を倒すことが出来たあなた方は世界の命運を託すに値する者”
ギギギと何か重い物が引きずられ動かされている音が祠堂内に響き渡る。
なんの音だと。辺りを見回してみると
「扉が!」
「……開く」
祠堂唯一の出入り口である巨大な扉。岩で出来ているそれは押しても引いてもビクともしない。死神
”ディオス・デ・ラ・ムエルテ”の強烈な斬撃でもっても斬ることが出来なかった頑丈な扉。それが今まさにすこしずつだが開かれようとしているのだ。
やっと出られる。外に出られるのか…と思うと自然に安堵のため息がでてしまう。
"さあ_道は開かれました。あなた方が欲した真実はすぐ目の前に"
「アッタシがイッチバ〜ン」
「あ。待ってランファ!」
誰よりも先に走り出したランファを追いかけ二番手に扉の前へ立ったルシアの視界は
「眩しいっ」
薄暗い暗闇の祠堂に差し込む外の世界からの暖かな日差しの眩しさに思わず目を庇うように腕で隠し瞼を閉じる。
"目を開けてみなさい_ルシア"
優しくまるで母親のように語り掛けてくる謎の声。その声に従いうっすらと瞼を開き、視界に入ってきた光に眩しさを感じつつも、慣れた数秒後、ルシアが見たものは——
力の試練-終