複雑・ファジー小説
- Re: シークレットガーデン 〜小さな箱庭〜【女神の試練編】 ( No.177 )
- 日時: 2017/10/09 10:15
- 名前: 姫凛 ◆x7fHh6PldI (ID: B0dMG1jJ)
第八章 からくり遺跡-女神の試練編-
-知恵の試練
仲間達とも話し合い、ルシアが選んだ試練は[知恵の試練]
"あなた方はその試練を選びましたか”
謎の声は言う
"では向かって左側にある祠堂へ進みなさい”
謎の声の指示に従い五つある祠堂の一番左端にある祠堂。緑色の風になびく木の葉が描かれた扉の前に立つとその場にいた誰も触れていないのにも関わらず、自然と自動的に扉が開きルシア達御一行を祠堂の中へと招き入れる。
ゴクリと唾が喉を流通る。知恵の試練とはどのような試練なのだろうか_と。
「あてしょんぷりーず♪ ヨウコソ知恵の試練へ〜〜〜きゃはは♪」
「は?」
祠堂の中へ一歩足を踏み入れてすぐの事だった。石の壁で出来た祠堂の中を響く少し耳障りにも思える幼女を思わせる無邪気な甲高い声がルシア達を出迎える。
不規則に描かれた緑色の木の葉の画。扉に書かれていたものを模したような、子供のらくがきのような画、それが左右に広がる壁一面に描かれている。
「そんなにきょろきょろしちゃってどうしたのかな〜?? きゃはは♪」
謎の声は嬉々として言っている。その声に何故か嫌悪感を感じると同時に恐怖を感じるのは何故だ。
「さっきの奴とは違う奴なのか」
リアが声の主に向けて質問する。が、その質問には答えられませーんっと返され
「ここではアタシが質問する側なの!」
と怒られてしまった。ハァ? とみんな一様に首を傾げる。
謎の幼女のような声の主は知ってか知らずか、構わず話を勧め此処知恵の試練で行われる試練の内容の説明を始めた。
眼前に真っ直ぐと伸びる一本の通路。その先には大きな扉がありその扉の先にも六つ同じ扉があるらしい。扉を開くためには、これから彼女謎の声が出題する問題を計六問全て答え正解することが出来れば試練達成、此処から出られるらしい。
「全て答えて正解?」
少し可笑しい言葉に違和感を覚えるルシア。普通なら全問正解するということを優先とするところを何故この声の主は全て答えることを最優先事項にしているのだろうか。
「どうしたドウシター??? やっぱヤメちゃうのーきゃはは♪」
まさか。此処までやってきて何もせずに帰るなんてありえない。
少し気にはなるが、ここは謎の声の指示に従い、知恵の試練を受けることにし第一問の扉の前に立つ。
「あ、言い忘れたケドケド、一人にツキ答えていいモンダイは一門限りねっ。
誰がコタエルのかはジブン達で決めてイイヨ〜きゃはは♪」
付け足された新たなルールでも特に問題はなさそうだ。答える人物をこちらで決めていいのであったら得意分野の人がやればいいだけのこと。
——何故このタイミングで付け加えたのかそれが逆に不思議だ。
- Re: シークレットガーデン 〜小さな箱庭〜【知恵の試練編】 ( No.178 )
- 日時: 2017/10/10 12:12
- 名前: 姫凛 ◆x7fHh6PldI (ID: KACJfN4D)
読者の皆様も一緒に解いてみては如何でしょう。
◇◇◇◇◇
第一問「「アナログ時計が今、12時ピッタリを指している。
この時計が今から24時間(2周)回り続ける。
24時間経つ(2周回る)間に、長針と短針は何回重なるだろう?」
◇◇◇◇◇
扉の前に置かれた、両手で持てるサイズの置時計がひとつ。
答えがわからずみんな頭を悩ませ首を右へ左へ傾けている。答えられるのは一人だけ。仲間内で相談するのは駄目らしい。
「きゃははっ♪ しょうがないなぁ。最初の問題だしトクベツにヒントをひとつアゲルよ♪」
ヒント:分からない場合、1時間刻みで考えてみよう。
一時間に長針と短針は何回重なるかな?
ただしこの問題は少しワナが仕掛けられているようだ。
◇◇◇◇◇
第二問「川に立派でかなり大きなボートがあり、川の前に3組の夫婦がいる。
この夫婦達は川の向こう側へ渡りたいらしい。
仮にこの夫婦をA&a・B&b・C&cとしよう。
この夫婦達の婦人、夫がいない時に他の男と一緒にいることは許されない。
(例として、aはAがいない場合、BやCと一緒にいてはいけない)
さらにこのボート、男が漕ぐと片道1分×人数、女が漕ぐと2分×人数、時間がかかる。
さあ、この夫婦が無事に全員渡りきるのに、最低でも何分かかるでしょう?」
◇◇◇◇◇
一つ目の問題を解いたのはシル。朝から晩まで動物のお世話をして暮らしていたシルは、よく両親から何時までに何をして何時からなにをするのよ、と時計の時刻をみて教わっていたそうだ。
そして今度は二つ目の扉と問題がルシア達の行く道を塞ぐ。
六つの小さな人形と木々が生い茂る森に流れる川を再現したジオラマ。
—これを使って考えろという事か。
◇◇◇◇◇
第三問「ある殺人を犯した犯罪者がいた。
その犯罪者は自分の犯した罪の自首をしただけで、まだ肝心の死体や凶器は発見されていなかった。
犯罪者の唯一の身寄りは、自分の母だった。母は農家をやっていて、自分の作物で生計を立てていた。
そんな母から時々手紙が来るが、その中に、『もう自分の畑を耕せなくなった』とあった。
この犯罪者はどうにかして親孝行をしたいと考えた。
そして、あるアイデアを思い付いた。
どうも『ある人間達に自分の犯した罪の事を詳しく言うと、母の畑を耕しに行ってくれる』らしいのだが
さてその人間達とは誰のことだろう?
『ひらがな4文字』で答えてほしい」
◇◇◇◇◇
二つ目の問題を答えたのはシレーナだ。生まれは海の国だった彼女。山の国でもよく森で薬草を探す姿がみられた彼女はそのへんのことも詳しかったのかもしれない。
そして今度は三つ目の扉と問題がルシア達の行く道を塞ぐ。
いきなり不愉快な気持ちにさせる問題だ。
「きゃははっ♪これは難しいかもしれないからヒントをアゲチャウよ〜♪」
ヒント:罪を詳しく話したら、畑を耕してくれるとあるが…
罪に関することと畑がどう関係しているのだろう?
◇◇◇◇◇
第四問「次の『??』に当てはまる言葉は何だろう?
どうもその前の言葉に何か秘密があるらしいのだが…
皿+サイコロ=舞妓
家+ボール=研究
豆腐+寿司=朝刊
車+鉛筆=??
◇◇◇◇◇
三つ目の問題を答えたのはリア。答えた彼曰くこうゆうのは慣れてるからとのこと。アルトの死体を処理したときもそうだが、彼は死というものに他の人下よりも慣れ過ぎている部分があると思われる。
そして今度は四つ目の扉と問題がルシア達の行く道を塞ぐ。
文字が書かれた石板がひとつ。今度はこれを見て答えるのか。また難しい問題に行き詰まりを感じる。
「え〜またヒントがホシイの〜? 仕方ないなぁ、きゃははっ♪」
ヒント;足し算の式ということは、前の言葉の何かを足すと、答えが出てくることになるが…
◇◇◇◇◇
第五問「・甘い
・酸っぱい
・辛い
・苦い
・旨い
・しょっぱい
これらは全て味の種類(味覚)を表す形容詞たちだ。
この中に一つだけ仲間外れの形容詞があるという。それはどれだろうか?」
◇◇◇◇◇
四つ目の問題を解いたのはルシア。以外なことにも。昔から病弱で家の中でしか遊べないヨナの為にこんな感じの謎解きクイズみないなものを出し合って遊んでいたそうだ。
そして今度は四つ目の扉と問題がルシア達の行く道を塞ぐ。
◇◇◇◇◇
五つ目の問題を解いたのはランファ。本人曰く食べ物はお任せあれ♪ だそうだ。
そしてついに最終問題。六つ目の扉と問題がルシア達の前へ立ちふさがる。
扉の前にリボルバー式拳銃がひとつ台座の上に置かれていた。
「すごいスゴイ〜」
謎の幼女の嬉々とした声と拍手喝采が祠堂内に響きこだまする。きゃははっ♪という甲高い笑い声が頭の中で反響し頭痛が酷い。
「最後の問題がイッチバ〜ン簡単だよ♪」
「どうゆうふうに簡単なの」
「だってアタシの質問に答えるだけでいいんだもん♪」
ルールはこうだ。
装弾数は標準で六発の空のリボルバーの銃口を頭に向けて、謎の幼女がする六つの質問が[本当]の事だと思うなら何もせず、[嘘]だと思うなら引き金を引く、制限時間内にどちらの行動意思を示さなかった場合、一問につき一つ弾薬を装填される、ただそれだけのこと。だと声は平左に言う。
「ある意味私が最後で良かったわねっ」
ガンナーであるリティは慣れた手つきでリボルバーを手に取り、決めポーズを構える。
その姿を見てリアは小バカにしたように鼻でふんっと笑い
「そうだなある意味なっ」
「な、なによ…」
「問題の答えが解らなくて見てただけだなんて言えないもんなー」
「こ、このおおおぉぉ」
リアに構え引き金を引くがリボルバーは空砲、弾は発射されない。「危ないだろ馬鹿」「うるさいあんたの方が馬鹿よ!」とまた喧嘩を始める二人にあははとみんなで苦笑い。
謎の幼女はだんまりを決め込んでいる。以外だ。声の感じから察するにこうゆう修羅場は好きなのだとばかり思っていた。
リアとリティの喧嘩にある程度決着がついたところで
「——じゃあハジメチャオウカ♪」
「そうね。こんなところでこんな奴と犬死だけはごめんだものね」
「はいはい。そーですかっ」
謎の幼女からリティされる十個の質問。
—ルールは簡単 [本当]の事だと思うなら引き金を引かない
[嘘]だと思うなら引き金を引く
ただそれだけのこと_?
- Re: シークレットガーデン 〜小さな箱庭〜【知恵の試練編】 ( No.179 )
- 日時: 2017/10/10 12:09
- 名前: 姫凛 ◆x7fHh6PldI (ID: KACJfN4D)
扉の前に仁王立ちするリティ。その右手には光が反射し銀色に輝くリボルバー式拳銃が握りしめられている。それを自らの頭に押し当て瞼を閉じて集中する。
「じゃあサイショは簡単なシツモンにするね♪」
『あなたはリリアン族である』
—それは本当の事ね。[本当]の場合は引き金を引かない——つまり何もしないってことね。
「セ〜〜カイッ! まあその見た目でリリアンじゃナイって言われてもムリアルけどね=きゃははっ♪」
つかさず二つ目の質問。
『あなたは男性である』
—ふざけているのかしら? んなわけないでしょ! どっからどう見たって私は女! 答えは[嘘]
リティはカチリと引き金を引いた。このリボルバーは空砲。弾は出ない。
「セ〜〜カイッ! いくら怪力魔人でもニクタイはオンナだもんね〜きゃははっ♪」
—言わせておけば言いたい放題ねっこの子。あとで懲らしめてやろうかなっ。
そして三つ目の質問。
『あなたの出身地は海の国である』
—。
「ドッウシタノかな〜?? 答えないと弾入れちゃうよ〜♪」
——ちょっと考えていただけでしょ! そんなの[本当]決まっているわ!
「ブッブー!!」
—は?
「ザッンネ〜ン。違いま〜す。アナタのコキョウは和の国でした〜きゃははっ♪」
——意味が分からない。まだ山の国ならわかる。リリアン達の楽園 隠れ里があるから。
でもなに? 和の国ですって? なんでそんな全く関係のない場所が私の生まれ故郷なのよ。
悩み考え込むリティは無視され次の質問へ。
『あなたは父親・母親・妹の四人家族だった』
——。
答えられないリティ。だって彼女には過去の記憶がないから。
『攫われる前あなたは母親と二人で暮らしたかった』
——知らないわよ。そんなの。
「そんなんじゃコタエたことにナリマセッ〜〜ン」
幼い頃に人攫いに合い人身売買で売り飛ばされそうになったところを奇跡的にリオンの両親に救われて家族として暮らしていたリティ。
『あなたは母を殺せませんでした』
——母親の事なんてしらないけどね! 私が人殺しをした? そんなわけっ
「はいっ! 時間切れ〜〜〜」
リボルバーには二つ弾薬が装填されている。もし[嘘]だと思う質問があっても六分の二の確率で弾が発射される。
これでよけいども迂闊には答えられなくなった。
休憩なく容赦なく追い詰めるように質問は続けられる。
『あなたの父は死にました。死因は他殺でした』
——知らない。
『あなたの妹は死にました。死因は他殺でした』
——知らないっ。
『あなたの母親は殺されました』
——知らないって言っているでしょ!?
『あなたの手によって—』
——ッ。
一瞬脳に何かの映像がフラッシュバックしたように気がした。
地面には長い漆黒の夜空のような綺麗な髪の女性が血まみれで倒れていました。お腹には無数の刺し傷。彼女が着ていた白かった白衣が血で真っ赤に染まっています。
無言で女性の傍らに立つ少女の姿。赤黒い血で錆た手のひらサイズの小さな果物ナイフを握りしめ、彼女の顔は返り血でべっとりと赤黒く汚れて
—いやあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!
「きゃははっ♪きゃはははははははははははははははははははははははははははははははははっ♪」
リティの悲鳴。心が自信を護るためにあげた悲鳴。
嬉々とし狂った謎の幼女の笑い声。
二人の叫び声が祠堂内に響きこだまするその光景を傍で見ていることしか出来ないルシア達。
「じゃあ最後のシツモンだよ♪」
——やめて。もうやめ
『殺された。あなたにはもう愛するは家族はいない』
リボルバーには五つの弾薬を装填されている。六分の一の確率で運が良ければ弾は発射されない。しかし逆を言えば六分の五の確率で弾は発射される。弾はリティの頭を貫くだろう。
選んで欲しい——リティは引き金を引くべきか、否かを貴方(読者様)の手で。
——[本当]引き金を引かない
——[嘘]引き金を引く
- Re: シークレットガーデン 〜小さな箱庭〜【知恵の試練編】 ( No.180 )
- 日時: 2017/10/10 12:42
- 名前: 姫凛 ◆x7fHh6PldI (ID: KACJfN4D)
『殺された。あなたにはもう愛するは家族はいない』
—そんなの嘘に決まってる。さっき見えたモノがなんだったのかは分からない。
本当の家族とか記憶を失っている私に分かるわけない。
でも一つだけ確かなことがある。分かることがあるわ。
リオン。そしてリア。この二人は私の大切な友人であると同時に幼い頃からずっと一緒に育ってきた大事な家族も同然の存在。
彼らが居る限り、私は一人じゃない。家族は——いる! 六分の一の確率に賭けることにするわっ!
——[嘘]引き金を引く
リティは引き金に指をかけゆっくりと "それ"を引いた。
——パァァァァァンッ!!!
祠堂内に響き渡る一発の銃声。
「リティィィィィィィィィイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイ!!!!」
祠堂内に響き渡る愛する者を失った者の嘆きの叫び声。
「きゃはははははははははははははははっはははっはははははっはあっははははっ♪」
祠堂内に響き渡る謎の幼女の嬉々とした狂った笑い声。頭痛が治まりそうない。吐き気がこみ上げる。
まるでスローモーションのようにゆっくりと横に倒れ込むリティを地面に叩きつけられる前に受け止め抱きしめるリア。
「なんで…なんで…お前まで逝っちまうんだよ…。俺を独りにしないでくれよ……なぁリティ…。
もうふざけたりしないから、目を開けてくれ……リティ」
何度も彼女の名を呼びかけ蘇生を試みるが、頭から血を流す彼女にその声は届かない。
—即死だった。
死んでしまった者に回復魔法は効かない。回復魔法は傷を癒すもの。死者を蘇らせるものではない。
もし死者を蘇らせることが出来る者がいたとすれば、それは神以外ありえないだろう。
——だが神は人の子の願いなど聞き入れない。そして叶えるなどありえない。
観測するだけだ。直接的な干渉はしない。してはいけないのだ。
その証拠に女神が誕生した神殿と言われる場所で死者が出たのだから。
神々が提示したくだらないその場の退屈しのぎで始めたゲーム如きで。
[神々のお遊戯end]
- Re: シークレットガーデン 〜小さな箱庭〜【知恵の試練編】 ( No.181 )
- 日時: 2017/10/10 13:47
- 名前: 姫凛 ◆x7fHh6PldI (ID: KACJfN4D)
『殺された。あなたにはもう愛するは家族はいない』
——そんなこと急に言われても分からないわよ。
リティの頭の中は真っ白だった。何も考えられない。頭に押し付けていた銃口を頭から離しリボルバーを持っていた右腕を下してしまった。
「それはコタエル意思がナイトとってイイノかな〜?」
声からでも分かる謎の幼女はたぶん今悪い笑みを浮かべているのだろう。それは悪戯好きな幼子のように。少しずつ弱って行く獲物を見つめ楽しんでから丸のみにして食べる蛇のように。
「リティ」
絶望に打ち震え何もできないでいるリティに近づきリアは後ろから首に腕を回し優しく抱きしめた。リティの不安そうな声。震え小さな声しか出せない。よく見ると体も小刻みに震えているようだ。
リアは抱きしめたまま優しい口調で静かに
「もうわかっているんだろ?」
とリティの耳元で囁くように言った。
——嗚呼そうか。そうだよね。私達ずっと一緒に居たものね。
リオンとリアと私の三人。年齢もバラバラで性格もバラバラで顔を合わせればいっつも喧嘩になっちゃう。そんな私達だったのに何故かいつも息ピッタリで一緒に行動していたわよね。話すことは喧嘩ばかりだったけど。
楽しかった…。すっごく。嫌な事全部忘れられる暮らしにずっこく楽しかった。楽しいからこそこの時間が終わるのが怖かった。
大きくなるにつれて少しずつ思い出されていく記憶。亡くしたはずの恐怖。封印したはずの忌まわしい過去。
それを大好きな人たちに知られるのがすごく怖かった。だから私は逃げたの。リリアン達の隠れ里へ。あそこならもう怖い思いをしなくていいから、みんな同類だから。
でも、もうそれもお終いね。前を向いて歩き始めなければいけない時が来たんだね。
ありがとう——リア。
振り返ったリティはニコリと失ったパズルのピースが揃いパズルが完成した時のそうな満足そうな顔をすると右腕をあげもう一度、リボルバーの銃口を自身の頭に押し当て引き金に指をかける。
——[本当]引き金を引かない
「………」
重たい沈黙が流れる。
ルシア達後方でリティを選択を見守っていた者達は何がどうなって、今はどうなっているのか全く分からずお互いの顔を何度も何度も見合わせる。
そのおまぬけな姿を背にしてる為見えないリアは小声で「よく頑張ったな」と耳元で囁き頭をポンポンと軽く叩き抱きしめていた腕を放しリティから離れた。その行動にリティは振り返らず恥ずかしがりながらも「こんな時ばっかり年上ぶんなアホッ」と頬を赤く染め呟いた。
「………」
あははと笑う幼馴染二人の光景を見て胸を痛める少女が一人居たことは誰も知らない事実。
"よくぞ受け入れましたね"
「ッ!?」
突然頭の中に直接謎の声が語り掛けてきた。この優しい母親のような温かい声は、知恵の試練と呼ばれていた此処へ入る前に聞いたあの女性の声だ。
仲間達の顔を見てみるとどうやらみんなにもこの声が聞こえているようだ。みんな驚いた顔をしているから。
"リティごめんなさい。辛い過去を思い出させてしまって”
「いえ。むしろお礼を言わせてください。
きっとこんな機会を持たせてもらわなかったら私はずっと逃げていたままでした。
辛く忌まわしい過去から逃げて、現実も見ようとはしない。過去も未来もない地獄から救っていただいてありがとうございました」
リティは深々と頭を下げた。
"私は試練を与えただけ。それを乗り越えたのは紛れもないあなたの心の力。そして仲間の協力合ってのもの”
リティは振り返りルシア達の顔を一人一人見つめ、安心したように微笑む。その笑みにつられてこちらまで自然と笑みをこぼす。
"あなた方は試練を乗り越えました。
目を背きたくなるような真実を受け入れることが出来たあなた方こそが世界の命運を託すに値する者”
ギギギと何か重い物が引きずられ動かされている音が祠堂内に響き渡る。
目の前にある第六の扉がゆっくりと開かれようとしているのだ。
"さあ_道は開かれました。あなた方が欲した真実はすぐ目の前に"
「新しい明日の始まりか」
「これが終わったらどうするんですかリティさん?」
前を歩くリティにルシアが聞いてみた。リティはニカッととびっきりの笑顔で
「罪を償ってくるよっ」
——と言った。
扉が少しずつ開かれていき薄暗い祠堂外の光が差し込みます。
「眩しいっ」
その眩しさに思わずルシアは瞼を閉じ、目を隠す様に腕をクロスさせ光を遮る。
"目を開けてみなさい_ルシア"
優しくまるで母親のように頭の中に語り掛けてくる謎の声。母親の声に従う子供の様にルシアは声に従い、閉じた瞼を少しだけ開いた視界に入ってきたものは——
「ア〜ア。せっかく考えたゲームが終わっちゃったぁ〜」
道端に落ちている小石でも蹴るかのように謎の幼女は言う。不機嫌そうに。つまらなそうに。
「シュヴァルツァーならなんとかイイ感じ殺ってくれるかな?? きゃははっ♪」
ソウダヨ。あいつならキットもっと面白い殺し方をしてくれるはずダヨ! と声は独り言のように喜びのダンスでも踊っているように言っている。
「そうと決まればこんな世界軸とはオサラバダネ♪」
そう言った後。プツリと謎の幼女の声は聞こえなくなった。まるで最初からそんな者なんて存在していなかったかったかのように、静かに綺麗さっぱりと消えて無くなった。
ある女性の物語。
彼女の愛する家族はもうこの世界の何処にも存在しない。そして血で汚れてしまった彼女の手はもう綺麗にはならない。
幼い頃、父親と自分と妹を捨てて家を出て行った母親。
幼い頃、突然現れた人攫いの屈強の男達。幼子にはどうする事も出来ず攫われてしまった。
幼い頃、自分を攫って行った犯人のボスはまさかの母親だった。マフィアのボスと再婚し地に落ちた母。
幼い頃、再開した母親は別人になっていた。護るため。自分の身を護り此処から逃げる為
幼い頃、初めて握ったナイフで料理をしました。肉料理です。
幼い頃、お肉は何度も刺すことで柔らかくなると誰かから聞いた事がありました。
幼い頃、初めてやった料理は失敗してしまいました。出来たのは肉塊。お肉の塊でした。
幼い頃、雪白の騎士だったリオンの父親に拾われました。
—そして今日まで至るそうです。オワリ。
知恵の試練-終
- Re: シークレットガーデン 〜小さな箱庭〜【知恵の試練編】 ( No.182 )
- 日時: 2017/10/10 14:08
- 名前: 姫凛 ◆x7fHh6PldI (ID: KACJfN4D)
おまけ。>>178で出て来た問題の答え合わせ。
◇◇◇◇◇
第一問「「アナログ時計が今、12時ピッタリを指している。
この時計が今から24時間(2周)回り続ける。
24時間経つ(2周回る)間に、長針と短針は何回重なるだろう?」
◇◇◇◇◇
「さぁコタエは何かな〜??」
シル「22回だね」
「セイッカ〜〜〜イ! まあヒントをアゲタんだからセイカイしてくれないとコマルンダケドね〜きゃははっ♪」
『解説
12時間の内、1〜10時の間と12時ピッタリは各1回ずつ重なる。
11時は絶対に重ならないため、12時間の内に11回重なることとなる。
24時間のため、2倍して22回重なるという訳だ』
◇◇◇◇◇
第二問「川に立派でかなり大きなボートがあり、川の前に3組の夫婦がいる。
この夫婦達は川の向こう側へ渡りたいらしい。
仮にこの夫婦をA&a・B&b・C&cとしよう。
この夫婦達の婦人、夫がいない時に他の男と一緒にいることは許されない。
(例として、aはAがいない場合、BやCと一緒にいてはいけない)
さらにこのボート、男が漕ぐと片道1分×人数、女が漕ぐと2分×人数、時間がかかる。
さあ、この夫婦が無事に全員渡りきるのに、最低でも何分かかるでしょう?」
◇◇◇◇◇
「さぁコタエは何かな〜??」
シレーナ「6分」
「マタマタ大セイカ〜〜イ!」
『解説
かなり大きなボートということは、6人全員が乗れるだろう。
そして、男がボートを漕げは片道1分×6人で、6分かかるという訳だ。
今思うと、問題文のほとんどが要らない文だったことに気が着いたかい?
◇◇◇◇◇
第三問「ある殺人を犯した犯罪者がいた。
その犯罪者は自分の犯した罪の自首をしただけで、まだ肝心の死体や凶器は発見されていなかった。
犯罪者の唯一の身寄りは、自分の母だった。母は農家をやっていて、自分の作物で生計を立てていた。
そんな母から時々手紙が来るが、その中に、『もう自分の畑を耕せなくなった』とあった。
この犯罪者はどうにかして親孝行をしたいと考えた。
そして、あるアイデアを思い付いた。
どうも『ある人間達に自分の犯した罪の事を詳しく言うと、母の畑を耕しに行ってくれる』らしいのだが
さてその人間達とは誰のことだろう?
『ひらがな4文字』で答えてほしい」
◇◇◇◇◇
「さぁコタエは何かな〜??」
リア「ヒントなんていらないだろ。答えはけ・い・さ・つだ」
「おお〜セイカイだよ♪ ヒントはオオキナオセワダッタかな?」
『解説
犯罪者は警察にきっとこう言ったんだろう。
「俺の実家に俺が殺した被害者やその凶器が埋めてある」と。
本当にしろ嘘にしろ、畑は警察の捜索によって『耕された』訳だ。
その後、犯罪者は母に手紙を送った。
「これでまた野菜が作れるな」
◇◇◇◇◇
第四問「次の『??』に当てはまる言葉は何だろう?
どうもその前の言葉に何か秘密があるらしいのだが…
皿+サイコロ=舞妓
家+ボール=研究
豆腐+寿司=朝刊
車+鉛筆=??
◇◇◇◇◇
「さぁコタエは何かな〜??」
ルシア「少しひねりをいれないといけない難しい問題だったけど……答えは『台本』だっ」
「フフッ、セイカイだよっお兄ちゃん♪」
ルシア「え?」
『解説
答えの言葉は前の言葉の「数え方」を足したものだったんだ。
皿(枚)+サイコロ(個)=舞妓
家(軒)+ボール(球)=研究
豆腐(丁)+寿司(貫)=朝刊
車(台)+鉛筆(本)=台本
というわけさ』
◇◇◇◇◇
第五問「・甘い
・酸っぱい
・辛い
・苦い
・旨い
・しょっぱい
これらは全て味の種類(味覚)を表す形容詞たちだ。
この中に一つだけ仲間外れの形容詞があるという。それはどれだろうか?」
◇◇◇◇◇
「辛いは厳密に言うと味の種類じゃないよ〜。だから仲間外れって言った人はフセイカイ!」
ランファ「そりゃそうでしょーよ。だってこれ言葉遊びだもん。
辛い(からい)って読むんじゃなくて辛い(つらい)って読むんでしょっ」
「セイカイっきゃははっ♪」
『解説
辛い=つらい だったからだ。
漢字の読みは時に恐ろしいものだ』
◇◇◇◇◇
アナタは何問セイカイ出来たぁ? まさか一問も分からなかったってコトハナイよね〜? きゃははっ♪