複雑・ファジー小説

Re: シークレットガーデン 〜小さな箱庭〜 ( No.68 )
日時: 2014/04/08 13:55
名前: 姫凛 (ID: 4cNSRyfC)





-スキップ物語(遺体のない葬儀編)-




次の日の朝。

ランファに耳元で大声で叫ばれて起こされたルシアは、まだ眠い目をこすり渋々ベットから起き上がった。

寝室を出ると、シレーナが窓辺で静かに読書を楽しんでいた。

最初はどんなに声をかけても読書に集中して無反応だったが、本を読み終える頃になると「本をすべて読み終えそうだから新しい本が欲しい」と言った感じの事を言い、今日はシレーナの為に本屋へ行く事になった。

本にあまり興味のないランファはつまらなそうで、物凄く不機嫌だったが、ムラクモが運んできた豪勢な朝食を見てすぐに機嫌が直り上機嫌になった。

ルシアは思った。なんて現金な子だろう…と。

食事を済ませたのち、ムラクモにお勧めの本屋に案内してもらったが、その本屋は一風変わっており、万引き防止の為にと本屋なのに一切本が置かれておらず代わりに子猫たちが本棚で遊んでいる。

ランファが一匹の黒猫に話しかけると、なんと!その黒猫は人の言葉を話したのだっ。

実はこの猫たちはケットシーと呼ばれる妖精の一種で人の言葉が話せるらしい…。

変わり者の店主の趣味で一緒に暮らしているらしい。

ケットシーの黒猫に案内され店の奥に行くと不愛想な青年が本を読んでいた。

何を話しかけても無視な青年と暫く雑談をしようと試みていると、倉庫の方から美しい少女が現れた。

一瞬この美少女に一目惚れしそうになったルシアだったが実は、彼女が女装趣味の男だと知り幻滅。

だけど男と言っても家事全般は一通りこなし、料理の腕前はプロ級。

色々話しているうちに仲良くなり彼の家に招待され、手料理を堪能している時にあの悲劇はは起こった。

突如、爆発音と大地震が起こった。

地震が止むとすぐにランファが窓を開け、爆発場所をみるとあの本屋だった。

急いで向かってみたのだが店主を助ける事は叶わなかった。

だけどまだ遺体が発見されてない。

まだ希望はあるのに、大人たちの勝手な理由で店主の葬儀があげられ、店主は死んだことにされてしまった。

酷くショックを受けたルシア達はただひたすらに行き場のない怒りを抱え泣くことしか出来なかった。