複雑・ファジー小説

Re: シークレットガーデン 〜小さな箱庭〜 ( No.69 )
日時: 2014/04/08 14:28
名前: 姫凛 (ID: FWNZhYRN)

第四章 監禁・脱走



「ん……」
意識がもうろうとしおぼろげな中
「ギャハハハッ!まさか、こんなに簡単に捕まえられるとわなぁ!!」
誰かの話し声が聞こえてきたのだ。
この独特の奇声な笑い声…何処かで聞いたことがあるような。
「黙れ、ザンク。起きたらどうするつもりだ?」
男の様なドスがきく低い声がする。
この…声…何処かで…聞いたことがあるような。
「あぁ?起きたなら殺せばいいだけだろぉ!?」
乱暴に言った男の後に
「…殺殺殺殺殺」
幼い少女の声と
「バカか?貴様は?」
何処かで聞いたことあるような、好青年の声が聞こえてきた。
「なんだと…ユウ?」
「王に言われているだろ。メシアの生き残りはまだ殺すなと」
メシアの生き残り。
その言葉が何故かルシアの中で引っかかった。
「ちっ、オレさまの知ったことかぁ!」
「殺殺殺殺殺殺殺…」
「つーか、エフォール!殺殺うるせぇ!!」
「…殺」
物騒に殺と言っていた少女は口を閉じる。


「ユウ、コロシアムの景品はどうなった?」
低い声の主は、好青年に訊いた。
おぼろげの意識の中、必要そうな単語はルシアも覚えていようと頑張る。
「あぁ、ちゃんと用意しましたよっ」
「殺殺殺殺殺殺殺」
「誰だって?あの競馬大会で荒稼ぎしてた雌豚だよ」
雌豚。この時、すぐには誰だか思いつかなかったが、正気な状態であればすぐにでも思い出せたかもしれない。
「あーーー!!殺したりねぇーー!!オレ様もコロシアムで殺しまくりたいぜぇ!ギャハハハッ!」
「ふんっ、ボクも遊びでうやってんじゃないんだ」
「ザンク。遊びたいのなら仕事をしろ」
「殺殺殺」
「あぁ?オレ様に命令するなぁ、雑魚ふぜいがぁぁぁ!!」
「やるかっ!」
「殺!」
一心不乱に戦闘が始まるかと思われたのだが


「…やめろ」
ドスのきいた低い声の主の一言でピリピリとした空気が一瞬やわらいだ。
「「叢?」」
叢。彼らは確かに低い声の主の事をそう呼んだ。
「…休憩は終わりだ。仕事に戻れ」
「ちっ」
「ふんっ、わかったよ」
「殺殺殺」
叢は彼らのリーダー格なのだろうか?叢の一言で、彼らは仕事場へ戻って行ったようだ。
「……ッ!?」
不意にルシアの頬に誰かの手が触れた。
誰の手だったのかはわからなかったが、触れた者の手がとても冷たくでも心地よかったと言う事だけは確かに覚えている。
その謎の人物も出て行きガタンッと大きな音がたてられ扉が閉まったようだ。


ゆっくり目を開けるとそこは鉄筋コンクリートに覆われた寂しい小さな部屋だった。
置かれているのはベットと備え付けトイレと洗面台以外はなにもないみたいだ。監視カメラがないので少しほっとした。
「ここはどこだろう…?みんなは…?それにさっきの奴ら…」
色々気になることはあるがひとまず今は
「ここから脱出しないとな」
唯一の出入り口の扉を軽く叩いてみると、軽い音がかえってきた。
どうやらごついのは見た目だけで、本体はそんなに頑丈じゃないみたいだ。これはチャンスだ、とおもいっきり体当たりしてみると、ドーンとやはり脆く崩れ去った。
音を聞いて見張りの者が来るんじゃないかと内心ドキドキしたが、誰も来なかった。
少しなんで?と逆に心配になったが、今は逃げるのが先決。そんなありがたい話はないのでありがたく逃げさせていただく。