複雑・ファジー小説

Re: シークレットガーデン 〜小さな箱庭〜 ( No.82 )
日時: 2014/04/13 09:30
名前: 姫凛 (ID: zKu0533M)

第五章 美しき雌豚と呼ばれた少女-コロシアム編-





「ん…ここ…は?」
ルシアが目を覚ますとそこは見知らぬ部屋だった。
壁の色はタンポポ色で三人家族の両親と娘の写真が飾られている。ここはあの写真の家族の家かなと考えているとドアがガチャと開く音がした。
「…あ、起きたのね」
「…ぁ」
部屋に入って来たのは、齢十くらいの女の子だった。背丈がヨナとあまり変わらない為、一瞬彼女をヨナと見間違えてしまった。ヨナが帰って来たのだと思ってしまったのだ。そんな事あるはずもないのに。
「まだ眠たそうな顔ね」
女の子はツンとした表情で言う。ルシアは何故か申し訳なく思い
「すみません…」
と謝った。すると
「プッ、ククッププッ」
女の子が笑いだし、笑うのを堪え始めた。何故笑われたのか、わからないルシアは僕、なにかおかしなことしたかな〜と寝起きのねぼけた頭で考えてみる。だがぼ〜としてうまく頭が働かない。


「貴方、おもしろいのね」
「…?」
「私、エリス。貴方は?」
「僕は、ルシア」
「ふーん、貴方にピッタリのひ弱な名前ね」
「は…はぁ…」
名前の事でなにか言われるのは初めてな為、どう対応していいのかわからず取り敢えず返事をした。
そんなルシアのまぬけな返事にまたふふっと笑った後
「朝ごはん出来てる。そこにある服に着替えて、降りてきて」
「…ご飯?」
ご飯と聞いてお腹がく〜と鳴った。
「プッ。正直なお腹ね」
「……」
ルシアは恥ずかしくなって思わず、布団の中に隠れる。
「ご飯冷めちゃうからすぐ来て。貴方も連れも待ってるから」
「…つれ?」
と言い終わると女の子は、部屋を出て行った。
やっとだんだん、頭が冴えてきて意識がしっかりしてきた。自分に何があったのか思い出してみる…。


「そうだ!ムラクモさんっ!!」
ドルファ主催のパーティーで気を失い気づけば何処だかわからない場所に監禁され、偶然居合わせたムラクモと脱出をはかり、そこの監守ロックスと戦い傷を負って気を失ったという事を思い出した。
先ほどの女の子が言っていた、連れと言うのはきっとムラクモの事だろう。
ルシアは急いで、ベットの近くに置いてあった着慣れない和服を試行錯誤しなんとか着替え、部屋を出て階段を下りる。
階段を下りると、
「ムラクモさんっ!」
「あっ、お先に失礼してまふっ」
モグモグと朝ごはんを食べているムラクモの姿があった。ムラクモが元気そうで取り敢えず、ルシアはほっと安心した。
テーブルの上には見たことのない料理が三人前並んでいた。おや?三人前?