複雑・ファジー小説

Re: 竜装機甲ドラグーン ( No.1 )
日時: 2014/04/14 00:33
名前: Frill ◆2t0t7TXjQI (ID: BvZBUYdW)

 Act.1 竜を駆る、少女たち



 遥か上空、白い雲に覆われた領域。

 数千メートルはあろうかという巨大な戦艦が飛翔している。

 機動空中要塞バハムート。人類の拠点のひとつ、人間たちに残された未来へのフロンティア。

 ブリッジでは多数のオペレーターが忙しなくパネルを操作する。

 その中央の座席に妙齢の長い黒髪の美女が静かに見守る。

 突然鳴り響く警告音。モニターに映し出される映像。

 そこには背中に蝙蝠の様な羽を持つ醜悪な巨大な生物、『竜種』が映し出されていた。

 「艦に竜種の接近を確認!このままでは戦闘空域に接触します!接触時間まで十六分二十八秒!」

 オペレーターのひとりが報告する。

 中央の女性は鋭く眼を細め、そして命令を下す。

 「直ちにドラグーンを起動せよ!これより我が艦は戦闘モードに移行する!全乗組員、及びパイロット達に通達せよ!!」

 「了解!ブリッジより通達!竜種の接近を確認、これよりバハムートは戦闘モードに移行。全乗組員は安全の・・・」

 「竜種高速接近!!予定時間を大幅に変更!!接触までおよそ四分!!」

 「ドラグーンパイロット!こちら管制室!至急・・・」

 オペレーターたちの交差する声の中、新たなモニターの画面が映しだされ飄々とした少女の声が響く。

 「聞こえていますわ、こちらエリーゼル・ヴァン・ハイム。すでに準備は整えておりましてよ」

 画面に金髪のロングヘアーの美少女が紅いパイロットスーツを装着し、コックピットに座っている。

 次に別のモニターが現れ、陽気な可愛らしい少女の声がする。

 「はいはーい、こちらマリア・アースカード。準備はしっかり出来てるよ♪」

 映像にピンクのツインテールの幼げな美少女が黄色のパイロットスーツを着てウィンクする。

 そしてもうひとつのモニターの画像が開き、抑揚のない冷静な声がブリッジに届く。

 「・・・こちらセツナ・アオイ。ドラグーン機動準備完了。いつでもいける」

 黒髪のショートカットの美少女が蒼いパイロットスーツを着用し、凜とした眼差しで告げる。


 艦長ミヅキ・タチバナは美しい口元に僅かな笑みをたたえ、力強く宣言する。

 「全機ドラグーン、発進!!!目標、艦エリア内の竜種の殲滅!!駆逐せよ!!!!」

 「「「了解!!!」」」 


 巨大な戦艦の背部のハッチが開き、三機の巨人が現れる。

 オレンジカラーの明るい装飾の機体。流線型のフォルムで全体的に大きく丸く、鈍重な印象を与えるがそれにちなんだパワーとタフネスさを醸し出している。

 「さあさあ、いくよ、ヒュドラ!今日もいっぱい稼いじゃうから!!」

 ピンク髪の少女マリアがコックピット内で意気込む。



 ワインレッドの細身でしなやかな機体。背中に巨大なファンネルを幾つも装着し咲き誇る一輪の紅いバラを思わせる。その右手には巨大なライフルが装備され、まるで戦場に立つ紅の騎士の姿だ。

 「優雅に舞いますわよ、ペンドラゴン。我が一族の誇りに賭けて仇為す輩を華麗に仕留めて御覧に入れますわ」

 ブロンドの少女エリーゼルが不敵に微笑む。



 スカイブルーの鋭角的なフォルムの機体。背中には巨大な二枚の翼が取り付けられ、生物的な印象をより一層与える。右手には身の丈を超す巨大な長剣を持ち、さながら戦に向かう武者を彷彿とさせる。

 「・・・メインジェネレーター良好、駆動系サーキット異常なし。戦闘準備完了、ワイバーン発進する!!」

 黒髪の少女セツナが力強く叫ぶ。



 そして三機のドラグーンが戦艦を飛び立ち、雲が波立てる大空へと滑空していった。