複雑・ファジー小説

Re: 竜装機甲ドラグーン ( No.103 )
日時: 2014/04/17 23:09
名前: Frill ◆2t0t7TXjQI (ID: tVNOFy45)

 リンドブルム・ウィグルが六翼の羽刃を囲い込むように展開し、ティアマト・アプスーに肉迫する。

 「ふふふふっ!!ダンスの演目も新たなプレリュードになりましたよ、ミカエラ!!!」

 醜い血管を身体中に浮き立たせ、ギラギラした目を見開き襲い来るセレス。

 ミカエラがティアマト・アプスーの龍蛇のアームを幾重にも大きく広げ、曲刀を振りかざし迎え討つ。

 「・・・私は負けないっ・・・!!負けてなるものかっ!!!」

 リンドブルムの刃の翼が生き物ようにしなり蛇首の頭を刎ね、そして刻む。

 機体を縦横無尽に翼刃が切り抜け、断ち裂いていく。



 双刀を斬り捌きながらティアマトが続々とアームを再生、展開させ喰らい付き、装甲を噛み砕く。

 隙あらば龍蛇の群れが黒い閃光を放ち機体を貫く。



 双方互いに破壊と再生の終わらぬ攻防を繰り返し、激しく攻撃し合う。


 「ミカエラ、それで全力ですか?もっと、私を楽しませてくださいっ!!ル・ガル・ブラディ・カリ・ス!!!!」

 機体全体から幾つもの巨大なブレードを生成すると、ドリル状に突き貫くよう、高速回転させて突進し、ティアマトのコックピット胸部を抉るリンドブルム。

 さらに逃げられないよう、六枚の翼が四肢を串刺しに固定する。

 「があぁぁあああぁあああっっっっ!!!?」

 機体を大きく揺るがし、凄まじい衝撃がコックピットのミカエラを襲う。

 「ふふふっ、はははははっ!!!このままあなたごと真っ二つにしてあげますよ、ミカエラっ!!!!」

 火花と機片を散らすティアマトの機体。

 龍蛇が一斉に口腔を開き、一点に黒い光を集約させる。

 「・・・セレスゥウウウッ!!!思い上がるなぁああああっ!!!!アビス・ダークストリーム!!!!!!」

 空を暗転させ、黒く明滅する閃光が撃ち出される。

 至近距離でリンドブルムに直撃する破壊の極光、

 「喰らええええええっ!!!セレスウウゥゥ!!!!消し飛べえええええええっっっ!!!!!」

 黒い閃光の死柱がそのまま機体をぐんぐんと押し返し、海中に叩き込み埋没させると、光が漏れ大爆発が発生する。




 波柱が天高く噴き上げ、巨大な渦潮が轟々と形成される。



 「・・・はあっ、はあっ、はあっ・・・。こ、これで私の、勝ちだ・・・」


 ミカエラが荒い息を吐きながら海上をうねる波群を見つめていると、二機のドラグーン、ケツァルカトルとユルングが近くにやって来た。


 「Oh!ミカエラ!!Victory!!!ヤリましター!!セレスをkillしてやったネー!!!」

 「これでもう奴らにデカい顔させずに済むよ。まあ、いつかあたしが脳天ぶち抜くつもりだったし」

 スフィーダとリヴァネがホッとしたように話している、と。

 二機の機体の背後から巨大な刃がぞろりと忍び寄る。

 「残念でしたね、お二人さん。逆にデリートしてあげます」

 「アッ?」

 「えっ?」


 瞬間、ケツァルカトルとユルングを貫こうとする翼の刃。


 「チィイイイッッ!!! スフィーダ!!!リヴァネ!!!」


 いち早く気付たミカエラ。


 ティアマトが二機を勢いよく弾き飛ばす。



 その胸部を凶刃が幾重にも貫き刺す。




 海中から姿を現す、半壊した機体が肉塊に包まれたリンドブルム。


 ティアマトのコックピットが鮮血に染まるのが映り込み、モニター画面が消えた。


 「ミカエラ!!?」

 「なっ!?」


 愕然とするスフィーダとリヴァネ。



 リンドブルムのコックピットに血濡れのセレスが狂気の笑みを浮かべ、貫いたティアマトを高く掲げ上げた。