複雑・ファジー小説

Re: 竜装機甲ドラグーン ( No.11 )
日時: 2014/03/24 23:53
名前: Frill ◆2t0t7TXjQI (ID: mA4EHToO)


 腕を掴まれたセツナは一瞬険しい表情をしたが、すぐに無表情になり、にべもなくマリアに言う。

 「・・・いい。食事は自室で取るから」

 そう言ってその場を離れようとするが、マリアは手を放さない。

 相変わらずニコニコしながら手を掴んでいる。いつも明るく振る舞い、何を考えてるのかが判らず、やりづらい少女だとセツナは思った。

 「・・・なに?何か用なの?」

 セツナは少しイラつきを覚えながら、微笑みを浮かべる少女に問う。

 「いつも君を見て思ったんだ。一人で食べるより皆で食べた方が美味しいって。折角食堂があるんだから♪」

 面倒だなと余計なお世話だと思いながらこの状況をどう切り抜けるのかを模索していると、ブロンドの少女が痺れを切らした様に言う。

 「ああ、もう!まどろっこしいですわね!ミス・セツナ、同じドラグーンパイロットととして親睦を深めようとしているのです。ですから、わたくし達と一緒に食事はいかかでしょうか?」

 単刀直入に切り出したエリーゼルがどうよ、と言わんばかりに鼻息を荒くし二人を見る。

 申し訳無さそうに苦笑いを浮かべるマリア。

 セツナは小さく溜息を吐く。

 「・・・わかった。一緒に行くから、この手をどけて」

 マリアは慌てて掴んでいた手を放し、照れたように舌を出す。

 「えへへへ、ごめんね?」

 二人の後について行くセツナ。

 ふと、先程マリアに掴まれた腕を見て、彼女を見る。

 震えていたのだ。

 セツナを掴む腕が確かに震えていた。

 強く掴まれたからだろう、少し赤く痣が残っている。

 まさか、拒絶される事を恐れたのか?

 いつも明るく振る舞い皆に好かれている少女。年相応に幼さを見せるが賢く愛嬌もある。マスコット的存在だ。そんな彼女との相手をセツナは得意では無かった。

 彼女だけではなく、もう一人の少女、エリーゼルもそうだ。なるべく他人とは関わり合いたくなかった。

 煩わしいから。

 自分にはやるべき事がある。

 他人に構ってる暇は無いのだ。

 そんな事を考えていたが、食堂に近づくにつれ、人の出入りが激しくなると憂鬱な気分になり、すぐにさっきの事など忘れてしまうセツナであった。