複雑・ファジー小説

Re: 竜装機甲ドラグーン ( No.114 )
日時: 2014/04/21 10:40
名前: Frill ◆2t0t7TXjQI (ID: 9Zr7Ikip)

Act.12 死闘、誰がために 大砂海に潰える涙


 広大な砂漠を進む砂潜艦ヨルムガント。

 地球環境の変化により、未知なる大陸へと変貌した世界。

 砂の海を巨大な穂先で今日も豪快に突き進む。



 ヨルムガント艦長室。

 ヴェロニカ・マクヴァインが室内の壁に掛けられた一枚の写真を眼帯で覆われていない隻眼で見つめていた。

 写真には年端もいかない六人の少女が屈託のない笑みで笑い合っている姿が撮られている。

 何気ない日常の一コマ。

 かつて世界を救おうと、いや、救った少女たちがいた。

 文字通り己の命を賭けて。

 ヴェロニカにからかわれて、頬を染める、ミヅキ。

 うんざりとした仕草を取りながらも笑顔のシャオ。

 その小さな身体を羽交い絞めにし、抱きしめる満面のエウロペア。

 そしてそれを楽しそうに見詰め、寄り添うふたりの少女。

 アリーザと今は亡き、かつての友、ロゼ。


 自分たちの他にもたくさんの少女たちが共に笑い、共に泣き、共に戦い、儚く若い命を散らし、そして久遠へと旅立った。

 ヴェロニカは写真に映る少女たちを懐かしそうに、それでいて悲しそうに触れる。

 「あぐうぅっ!!?」

 唐突に激痛が走り抜ける義手。

 そして眼帯に覆われた右目。

 己の中の竜種細胞が活性化するのが解る。

 身体中をのたうつ無数の龍蛇が肉体を蝕み、暴れ出す。

 「ぐうううぅっ!!こ、この反応は・・・!?」

 ヴェロニカは身体中に這う悍ましい感覚を無理矢理、押さえながら、荒く呼吸をして写真を見る。

 視線の先には凛々しい微笑みの少女、ロゼ。

 「・・・終わっていないのか、ロゼ・・・?再び繰り返されるということなのか、終わりの始まりが・・・」




































 イスラエル、死海。

 天をも覆う暗黒の破壊のドーム。

 すべてを飲み込む巨大な闇の波動が吹き荒れる。

 暗澹の極光。

 闇行の帳。

 湖水は消滅し、奈落の底かと思わせる未曾有のクレーターが穿たれていた。

 その深淵の暗い闇のそこから、巨翼を羽ばたかせた複頭の禍々しい巨体の竜が赤い眼光を放ち、昇ってきた。

 その太い鉤爪には何かの生物のミイラの様な巨大物体が鷲掴まれており、それを上空で待機するヘリに見せる。

 「・・・こんなところにあったのね、六体目『ズメイ』が。・・・残る『オリジナル』は後、七体・・・。貴方とティアマト・アルヴァΩのおかげで探索がはかどるわ、ミカエラ」

 アリーザの労いの言葉に呼応するように、機体各所の複頭竜が巨大な雄叫びを木霊させるティアマト・アルヴァΩ。

 


 ヘリの操縦者に通信機から連絡が入り、アリーザに向けて何か情報が伝わる。

 一瞬顔をしかめ、憎悪の表情を見せるが、すぐに楽しそうに笑顔を作り、言う。

 「ミカエラ、ちょうどこの大陸南東の砂漠に昔の知り合いが来てるみたいだから、挨拶に行きましょう」

 ヘリが上昇、先導し、ティアマトの巨躯が飛翔、追進する。






 「・・・ついでに七体目も貰っておこうかしら・・・?」






 アリーザは意地の悪い、無邪気な笑みを浮かべた。